24:上級になりました!
あれから、平和な日々が続いている。
幾つかのスキルが上級になった。『ゲート』には『ダスク』等のように王級だの聖級だの神級だのは無いので、上級が1番上の級である。
採掘……Lv31。上級。硫黄・石油・石炭・岩塩等も採掘出来るようになった。
伐採……Lv31。上級。植林も出来るようになった。
採取……Lv31。上級。砂利・真珠・樹液等の採取も出来るようになった。
釣り……Lv31。上級。鯨等も釣れるようになった。
農業……Lv31。上級。家畜の飼育等も出来るようになった。
解体……Lv31。上級。ドラゴン等の巨大モンスター・建築物等の解体も出来るようになった。
幾つか突っ込みたい所があるんだけど。何処に植林するんだとか・鯨って釣れるのかとか・建築物にHPってあるのかとか。
木工……Lv31。上級。橋・家等も造れるようになった。
金工……Lv31。上級。城・船等も造れるようになった。
調理……Lv31。上級。麺・お菓子も作れるようになった。
調合……Lv31。上級。スパイス等も調合出来るようになった。
裁縫……Lv31。上級。和服等も作れるようになった。
装飾……Lv31。上級。【陶芸】で製作した物にも装飾が出来るようになった。効果音等を変えられるようになった。
陶芸……Lv31。上級。磁器も製作出来るようになった。
効果音?
音楽……Lv31。上級。攻撃・防御・回復等の効果が付くようになった。
舞踊……Lv31。上級。攻撃・防御・回復等の効果が付くようになった。
絵画……Lv31。上級。紙以外にも描けるようになった。描いた物を具現化し、攻撃等に使えるようになった。
あれ? クエスト以外に使い道無いんじゃなかったっけ? ……誰もが中級で見限ったのかな?
騎乗……Lv15。中級。PT内の【騎乗】を覚えていない人全員に、【騎乗】Lv1を一時付与。
運転……Lv18。中級。PT内の【運転】を覚えていない人全員に、【運転】Lv1を一時付与。
通訳……Lv20。中級。
魔物使い……Lv12。中級。ペットを1度に2頭使えるようになった。
アレンジ……Lv31。上級。【陶芸】と【絵画】もアレンジ出来るようになった。
行商……Lv28。中級。
見破る……Lv28。中級。
解錠……Lv20。中級。
忍び足……Lv28。中級。
細工……Lv28。中級。
危険察知……Lv28。中級。
暗視……Lv21。中級。
素材入手マスタリー……Lv3。素材入手量1.6倍。
加工マスタリー……Lv3。熟練度上昇1.6倍。
芸術マスタリー……Lv3。熟練度上昇1.6倍。
呼吸の守り……Lv1。
歩行の助け……Lv5。
水泳……Lv1。
防寒……Lv1。
因みに、SPは6あるけど取っておく事にした。
-------------------------------------------------
Lvはと言うと、クルマとサイズが共にLv40・私がLv42である。
狩り場はLv40以上推奨の砂浜エリアに移っている。
しかし、この平穏は何時までもは続かないだろう。
そろそろ、プリンスの追放が解かれる頃だから。
「フジさんって~、××のフジ様のファンなんでしょう!?」
夕方。王都の【市場】に露店を出した時、ショートカットの少年キャラにそう詰め寄られた。
人気アニメの登場人物に、フジと呼ばれるキャラがいるのは知っていたけれど……。
「違います」
「隠さなくても良いのにぃ!」
彼女――ネナベだろう――は既に友達気取りで、私の肩をバシッと叩いた。そこへやって来たシノブが気の毒そうな視線をくれて、露店を開く。
彼女は私が乗って来ない事もお構い無しに、何話のあのシーンが良かった等の話をベラベラと話す。同意を求めておきながら返事を待たずに、まるで同意されたかのように話を続けて行く。しかも、大声で腐女子丸出しの話まで始めた。
「おい。あんたなぁ……そう言う話は、TPOを弁えろ」
「はぁ?! 他人の話に水を差さないでくれる?!」
シノブが注意するが、彼女は不快を露わに言い返した。
「ちょっと! あんたのアバター××様なんでしょう!? ××様の姿で女言葉使わないで!」
そんな彼女に、ツインテールの女性キャラが食って掛かった。
××様は、主人公だったような……?
「大体最初っから聞いてたけど、この人、フジ様と同じなのは名前と性別だけじゃない!」
「そうよね~。フジさんは、××の××のファンなんでしょう? そっくりだし!」
有名なゲームだから名前は知っているけど、そのキャラは知らないな。
<警告!>
姦しく言い合う3人に、管理AIが動いた。
-------------------------------------------------
「『フジが遭ったトラブルまとめ』が、有名プレイヤー纏めサイトに掲載されているぞ」
睨み合いながら3人が立ち去った後、シノブが口を開いた。
「そんなもの、纏めないで欲しいですね……」
「確認されている物だけでも4ヶ月で9件か。凄いな」
ホントにね。……御祓いでもして貰おうかな? って、私が祓われてしまう! ……いや、その方が良いのかな? 私と一緒に居て、クルマとサイズは大丈夫なんだろうか?
「あ、そうだ。屏風絵出来ましたよ。四季の絵で良かったですか?」
私は、屏風を取り出してシノブに見せた。
「……良いな。これなら、部屋に合うよ」
シノブは満足そうに頷いた。
-------------------------------------------------
「ところで、2人共? SP5以上余っていませんか?」
サイズがログインしたのでクルマと共にギルドエリアに戻った私は、2人にそう尋ねた。
「余っているが?」
「私も余っている。どうしたんだ?」
「レアクエストを受けたんです」
私は、『急募! 楽器の演奏が出来る人!』と書かれた青い紙を見せる。
「フルートとヴァイオリンとオルガンが足りないそうで……」
「スキル【音楽】を覚えて欲しいと?」
「そうです。……駄目ですか?」
2人は顔を見合わせた。
「……私は別に構わないが、スキルレベル1で大丈夫なのか?」
クルマが心配そうに確認する。
「はい。もう明日なので」
「明日?!」
因みに、明日は土曜日である。
「正確には、明日・明後日の2日間ですが」
「分かった。覚えよう」
「済みません」
私は渋々と言った様子のサイズに頭を下げた。
「ところで、スキルは必須なのか?」
「この曲目全て演奏出来るなら、スキル無しでも良いそうですよ」
2人にプログラムと楽譜を見せる。
「……これなら、演奏出来るな。私はヴァイオリンで」
「クルマ、ヴァイオリンを弾けるんですか!?」
「ああ。子供の頃、習わされたからな」
裕福なご家庭なのかな?
「ブランクがあるなら弾けなくなってないか?」
サイズがそう言うので、ギルド倉庫に入れておいたヴァイオリンを弾いて貰った。
「……Lv1並みには弾けたんじゃないか?」
「いやいや。もっと上手いですよ」
クルマの謙遜にそう返す。
「大したもんだ。フジ、オルガンを弾いてみても良いか? 学校の音楽の授業でやった程度だが、スキル無しで弾けるかもしれない」
サイズは暫く練習しただけで、滑らかに弾けるようになっていた。
スキル無しじゃ楽器弾けないのは、私だけか~。