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20:酒場にて

素材入手系スキル

  素材入手マスタリー(5SP)……パッシブ。素材入手量が増える。素材入手スキル全て中級以上である事。レベルはSP消費で上げる。最大10まで。


 加工系スキル

  加工マスタリー(5SP)……パッシブ。加工の熟練度が上がり易くなる。加工スキル全て中級以上である事。レベルはSP消費で上げる。最大10まで。


 芸術系スキル

  芸術マスタリー(5SP)……パッシブ。芸術の熟練度が上がり易くなる。芸術スキル全て中級以上である事。レベルはSP消費で上げる。最大10まで。


 その他のスキル

  呼吸の守り(8SP)……パッシブ。毒ガスの中でも平気。

  歩行の助け(8SP)……パッシブ。砂浜等でも平らな地面のように行動出来る。

  水泳(5SP)……鎧等を装備したまま泳げるようになる。

  防寒(5SP)……零度までの寒さが平気になる。


 これで、残り31SP。【素材入手マスタリー】と【加工マスタリー】と【芸術マスタリー】をLv3に上げて、1SP残った。


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 さて、Lv40になったので、Cランク昇格試験を申し込む事にした。

 【サン】の冒険者ギルドに移動し、昇格試験を受けたいと告げる。

「Cランク昇格試験は、毎週土曜日の午後10時から行います。ご都合は宜しいでしょうか?」

「はい」

「受験料3万ルマを当日頂きますので、ご用意ください」



 試験の申し込みを終えた私は、クエストを受けてから、【サン】の西のフィールドへ初めて足を踏み入れた。このエリアの魔物はLv25以上推奨なので、今の私には問題無いだろう。今日からは、此処でスキルを鍛えよう。

 『経験値3倍の巻物』を使い、【危険察知】と【忍び足】を発動して魔物を回避しながら農家を目指す。魔物から家と畑を守る物は、何故か背の低い柵だけだった。どうやって、身を守っているんだろう?

 それはさて置き、私は、この家への届け物のクエストを終えると、近くに在った【農業】ポイントで夜までスキル上げに励んだ。


 午後9時頃にはサイズもログインしたので、ある事を話す。

「2人共、ギルドへの献金ありがとうございました。1番安い家なら2軒建てられる金額になりましたが、どうしますか?」

「私はそれで構わない」

「私もそれで良い」

 サイズがそう言うと、クルマも同意した。

「じゃあ、建てますね。替えたくなったら言ってください。資金さえあれば、何時でも建て替えますから」

 2人は頷くと、サイズはギルド倉庫に家具を取りに・クルマはコテージ風の家の中に移動する。

「あ、私が【木工】で作った家具が大量にありますので、気に入ったのがあれば、どうぞ」

 露店で売るのが追い付かない程だ。武器や防具や家具は、薬や料理と違って同じ性能でも纏め置きが出来ないから困る。


 クルマはアースカラーでシンプルに・サイズはモノクロでシンプルに、ついでに、私はパステルカラーでシンプルに整え、その日の活動を終えた。


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 翌日。私は朝早くから【市場】に露店を出し、露店名を『家具のウィステリア』に変更した。

 LvUPし続けた露店は、もう露店と言える物では無くなっている。その内2階建てとかになるんじゃないだろうな?

「おはよう。フジ」

 隣に来たシノブに挨拶される。

「おはようございます」

「今日は家具なんだな」

「はい。シノブも如何ですか? この猫家具セットとか」

 尚、私が【アレンジ】した部分は色のみである。

「普通のは無いのか?」

 緑色の猫家具はお気に召さなかったらしい。

「有りますが、何が良いですか?」

「屏風。屏風絵が描かれた品を。……ギルドショップで買える家具の中には無いんだよ」

 シノブがギルドエリアに建てた家は、日本家屋なのだろうか?

「屏風絵ですか……。実は、【装飾】に屏風絵は無いんですよね。まあ、スキルレベルが上がれば、描けるようになるかもしれませんが。或いは、【絵画】の方かも……」

「そうか……作れるようになったら教えてくれ」

「はい」


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 夜になり、私は【サン】の宿屋兼酒場で食事を摂る事にした。酒は飲めないので飲まない。

「離婚成立と元嫁の逮捕を祝って……乾杯!」

 中に入った途端そんな声が聞こえた。そちらを見れば、見覚えがある男が独りで祝杯を上げていた。確か……【市場】で、私が彼の奥さん『シロガネーゼ』を怒らせてしまったんだった。どうやら、シロガネーゼは逮捕されたらしい。

「こんばんは」

「ああ! あの時はどうも、ご迷惑をおかけしまして……」

「いえ、こちらこそ……」

 彼は、自分から離婚の経緯を話してくれた。

 シロガネーゼが自分の親に涙ながらに夫が如何に酷い男であるかを語った所、腹を立てた母親が『離婚して、もっと良い男と結婚しなさい!』と騒ぎ、シロガネーゼもその気になりあっと言う間に離婚が成立したのだそうだ。慰謝料は、シロガネーゼは欲しがったが、彼女の母親が手切れ金と相殺と言ったらしい。つまり、『慰謝料を貰わないでやる代わりに、娘に二度と近付くな』と言う事だ。

 ところで、実際、彼女は慰謝料を貰える立場なのだろうか? ……毎日吐く程の料理がわざとじゃないなら、貰えるのかな?

「それで、何をして逮捕されたんですか?」

「住居侵入と殺人未遂ですよ」

 離婚後、実家に戻ったシロガネーゼは自慢の料理を両親に振る舞った。その結果、2人は入院。シロガネーゼは母親からしこたま怒られた。

 しかし、反省せずに、『私の料理が不味くなったのは、どう考えても元夫の所為』と逆恨みし、彼の家に窓を割って侵入。ゲーム中と知って、VRゲーム機を強制終了させた。勿論、2月の事件(私が死んだ事件)のように死ぬ事を期待して。……だが、彼は死ななかった。

「で、台所から包丁を持ち出して襲いかかって来た所に、警察が到着したんです。お隣さんが、家の窓が割られた音で気付いて通報してくれて」

「命の恩人ですね」

「本当に。……元嫁は正当防衛だと主張していましたけど、警察は普通に逮捕してくれました」

「『元嫁なら許してあげたら?』なんて言われなくて良かったですね」

「ですね。まあ、元嫁の友人には言われましたけど」

 自分の友達が、親に怒られたら他人に責任転嫁した揚句殺そうとするような人間だと解っていて言ったんだろうか? 次は自分かもしれないのに。

「大変でしたね。1杯奢りますよ」

「や、そんな、悪いですよ。……良いんですか? 済みませんねぇ」


 彼に1杯奢って辺りを見渡すと、奥の席にヒグマが独りで座っているのを見付けた。大量の酒瓶がテーブルの上に乗っている。……追加注文したと言う事は、ほぼ全部空き瓶なのだろう。

「こんばんは、ヒグマ」

「おお! フジじゃないか!」

 顔が真っ赤だし、酒臭い。

「随分飲んでますね」

「自棄酒だよ! 飲まなきゃやってられるかってんだ! ……本当はリアルで飲みたいけど、身体に悪いからな」

 健康診断で引っかかったのだろうか? それとも、予防だろうか?

「自棄酒ですか……」

「ああ。会社でな……あの、クソアマ!」


 どうやら、今日の晩御飯はヒグマの愚痴になりそうだ。

2014/11/14 フィールドを南から西に変更。

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