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19:異世界からの侵略者3

 さて、気分を変えて、本日はイベント『異世界からの侵略者』最終日である。ラスボスは何処に出現するのだろうか? そして、どんなモンスターなのだろうか?


<イベント『異世界からの侵略者』の最後の1体が王都【サン】に出現しました。日付が変わるまでに討伐を完了出来なかった場合、全プレイヤーの全てのLvが3DOWNします。侵略者のHPは回復しますので、頑張って下さい>


 今、『3』DOWNって言った?! しかも、HPが回復するとか言ったような…?

「フジ、【危険察知】を!」

 辺りを見渡し巨大なモンスターが目に入らない事に気付く。私は、一足先にそれに気付いたサイズの言葉に従った。

「近くに居ます!」

 マップに表示されたエネミーを表す赤い点を見て、私はそう叫んだ。

「何処に……?」

 サイズとクルマは辺りを見回すが、私は道の先を歩く人々を見ていた。

「透明か、或いは、あの中の誰かです」

 それが聞こえたのか偶然なのか、1人が剣を抜いて周りの人々を斬り殺した。

「完全人型か……!」

「フジ! 【見破る】!」

 クルマに言われ、私は慌ててスキルを使った。

「Lv250! それ以外は判りません!」

 そう言えば、ドラゴンやスケルトンはLv幾つだったのだろう?

「ラスボスにしては低いな」

「『ダスク』のLvがこちらと同じとは限らない」

 サイズは油断無く言う。

 ラスボスはこちらに気付いて、一瞬にして間合いを詰めた。サイズとクルマは自力で飛び退り、私はヴェルに助けられた。

「ヴェル!」

 私の代わりにヴェルが斬られた事に気付き、名を叫ぶ。

「……へぇ? 『ゲート』にも俺が1撃で殺せない魔物がいるんだ?」

 まるで、『ダスク』のプレイヤーの様な事を言うラスボス。

「ヴェル!」

 私はヴェルの名を呼びながら、【冒険者鞄】から薬瓶を出した。

「回復なんてさせねーよ」

 ラスボスは、私では無く薬瓶を砕いた。濃厚な薬品の匂いが辺りを覆う。

 直後、サイズとクルマがラスボスに斬りかかった。

「チッ! 弱い奴から甚振ろうと思ったのに!」

 私は2人がラスボスを引き付けている間に、今度こそヴェルに回復薬を使った。

「Lvの割には強いじゃねえか! 装備の強さだけじゃねえな!」

 ラスボスは楽しげにそう言うと、スキルを使って2人を倒した。全快したヴェルが威嚇の声を上げて襲いかかる。

 逃げるべきなのだろうが、私はラスボスのHPバーを見た。半分以下に減っている。

「何だと!?」

 ヴェルに剣を振り下ろしたラスボスは、背後から降り降ろされた剣と突き出された剣をその身に受けた。200以上Lv差があるのに大ダメージを受けた様子から、防御力はそれほど高く無いらしいと判った。

「死んだ筈だ!」

 ラスボスに攻撃したのは、先程HPが0になった筈のクルマとサイズだ。

「まさか、蘇生アイテム?!」

 その通り。金の宝箱から出現した物である。

 そして、そんな事を言っている間にも2人と1頭は追撃し、ラスボスはスキルでそれを防いだ。

「あいつが侵略者か?!」

 他のプレイヤーが気付いて駆け寄って来る。

「チッ!」

 ラスボスは舌打ちすると、アイテムを使用した。残り1割を切っていたHPが半分以上に回復する。

「本気出すか」

 ラスボスの装備があっと言う間に別の物になった。軽装備から重装備へ。見るからに攻撃力・防御力共に高そうだ。

 スキルを使ったのか知らないが、例の最強PTすら1撃で屠られた。

「……お前等……一体、幾つ蘇生アイテムもってやがる?」

 たったの3つずつです。

「まあ、良い。アイテムが無くなるまで殺してやるよ!」

 私は、ラスボスのHPバーを見る。後、1割か。

 突然、ラスボスが倒れた。その隙をサイズ達が見逃す筈も無い。

「『ダスク』のプレイヤーだと思ったんだけど、違うのかな?」

 私は、呼吸困難に陥り最早苦しむしか出来ないラスボスを見てそう呟いた。

「さっきのコレね、毒薬なんだ」

 薬瓶を見せての言葉を冥土の土産に、ラスボスは消滅した。


「『ダスク』のプレイヤーみたいでしたが、それにしては毒耐性も無いし……変な感じでしたね?」

 私は、クルマとサイズに同意を求める。

 尚、私が毒の影響を受けなかったのは、防具に『毒無効』が付いているからだ。

「『ダスク』のプレイヤーそのものでは無いのだろう」

「誰かをモデルにはしているだろうが」

「なるほど。それなら、Lv250なのに毒対策していなかったのも納得です」

『フジ様。肉獲れた?』

 ヴェルがとんでもない事を尋ねて来た。

「ジャイアント・キャットって……人間も食べるの?!」

 私の言葉に、サイズとクルマもギョッとしたようにヴェルを見る。

『食べても良いよ?』

「人肉は獲れない仕様だから!」


<『異世界からの侵略者』の7体目が討伐されました。明日の褒賞送信を持ちまして、今回のイベントを終了致します。お疲れさまでした>


-------------------------------------------------


「チッ! この俺が、あんな低Lvの奴にやられるなんて!」

 『ダスク』に戻ったラスボスは、怒りに任せて奴隷を蹴り飛ばした。

「縛りプレイじゃなかったら、毒なんか! クソ!」

 彼は犯罪者プレイをしていて指名手配されていた。

 そんな彼が『侵略者』となる事を引き受けた理由は、その報酬が『全ての罪を無かった事にする』だったからだ。彼はあるアイテムが欲しかった。だが、それは犯罪者プレイヤーには絶対に入手出来ない物なのだ。しかし、アバターを作り直す事はしたくない。

 だから、この話が舞い込んで来た時、彼は一も二も無く引き受けた。【初心者向け】のプレイヤーになんか負ける筈が無いと。

 その結果は、既にご覧の通り。

 もし、彼がどう負けたのかを仲の良い誰かに話したならば、盛大に馬鹿にされるだろう。

 毒に侵された事に気付かないなんて、お前はそれでも『ダスク』のプレイヤーか。【初心者向け】がお似合いだ……と。


-------------------------------------------------


 翌日。折角の日曜日だが、クルマもサイズも用事があってログインは夜になるらしい。

 昨日ドロップしたLv250用装備は、ギルド倉庫の肥やしにしておこう。

 私は倉庫から集会所に移動すると、伝言板のLvを確認する。

 『サイズ Lv35』・『クルマ Lv33』・『フジ Lv40』。……ラスボスがLv250だったからか、一気にLvUPしている。『経験値3倍の巻物』を使っておけば良かった。


 スキルレベルはこんな感じである。


  採掘……Lv18。中級。

  伐採……Lv18。中級。

  採取……Lv18。中級。

  釣り……Lv18。中級。

  農業……Lv18。中級。

  解体……Lv18。中級。


  木工……Lv18。中級。

  金工……Lv18。中級。

  調理……Lv18。中級。

  調合……Lv18。中級。

  裁縫……Lv18。中級。

  装飾……Lv18。中級。

  陶芸……Lv11。中級。陶器も製作出来るようになった。


  音楽……Lv18。中級。

  舞踊……Lv18。中級。

  絵画……Lv11。中級。絵の具を使えるようになった。


  騎乗……Lv10。初級。

  運転……Lv10。初級。

  通訳……Lv12。中級。翻訳も出来るようになった。

  魔物使い……Lv7。初級。

  アレンジ……Lv18。中級。

  行商……Lv13。中級。フィールドでも露店を出せるようになった。


  見破る……Lv15。中級。

  解錠……Lv12。中級。

  忍び足……Lv15。中級。

  細工……Lv15。中級。

  危険察知……Lv15。中級。

  暗視……Lv11。中級。より明るく見えるようになった。


 SPは現在72有る。さて、何を覚えようか?

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