15:ビッグ・アントの巣
ギルドチャットで2人と話し合い、30分後に【サン】の冒険者ギルドで待ち合わせる事に決まった。
私は、時間までにスキルを確認する事にした。
採掘……Lv12。中級。宝石の原石が採掘出来るようになった。
伐採……Lv12。中級。固い木・太い木も伐採出来るようになった。
採取……Lv12。中級。昆虫採取も出来るようになった。
釣り……Lv12。中級。貝等も釣れるようになった。
農業……Lv12。中級。花・果物が収穫出来るようになった。
解体……Lv12。中級。ストーンゴーレム等の非生物も解体出来るようになった。
木工……Lv12。中級。家具等を製作出来るようになった。
金工……Lv12。中級。アクセサリーを製作出来るようになった。
調理……Lv12。中級。揚げる・蒸す料理が出来るようになった。
調合……Lv12。中級。化粧品等を作れるようになった。
裁縫……Lv12。中級。皮細工・ヌイグルミ製作が出来るようになった。
装飾…L…v12。中級。【裁縫】で製作した物にも装飾が出来るようになった。
音楽……Lv12。中級。ポピュラー音楽が演奏出来るようになった。
舞踊……Lv12。中級。社交ダンス以外も踊れるようになった。
騎乗……Lv3。初級。
運転……Lv4。初級。
通訳……Lv8。初級。
魔物使い……Lv3。初級。
アレンジ……Lv12。中級。音楽や舞踊等もアレンジ出来るようになった。
行商……Lv10。初級。
見破る……Lv8。初級。
解錠……Lv10。初級。
忍び足……Lv8。初級。
細工……Lv8。初級。
危険察知……Lv8。初級。
そう言えば、午前中にLvUPしてLv24になったんだった。
盗賊系スキル
暗視(3SP)……暗闇でも明るく見える。
以上を覚える。【スマッシュ】は……どうしようか? ……ビッグ・アントが手強かったら覚えよう。
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「ここか」
【サン】から徒歩約1時間。橋を越え、ストーンゴーレムのいる荒野から南東に向かった先にある林。そこに、『ビッグ・アントの巣』は在った。
クエストを受けて『空飛ぶ絨毯』でやって来た私達は、絨毯を降りると巣の近くに居る働き蟻を倒した。
「それじゃあ、私のスキル上げを兼ねてのんびり行きましょう」
「ああ」
「分かった」
ダンジョンに入ると、【危険察知】と【暗視】と【忍び足】を使いビッグ・アントに近付き、【細工】で罠を仕掛ける。
【見破る】を使い弓を射ると、近くに居た全てのビッグ・アントがこちらに向かって来た。
「下がって!」
2人にそう指示して急いで罠から距離を取ったが、予想以上の爆風で吹き飛ばされた。
「……痛……済みません! 大丈夫ですか、2人共?!」
下敷きにしてしまった2人から退きつつ、そう声をかける。……リアルなら肉片になっているな。それでも、HPは半分も減って無い。
「……大丈夫だが……地雷なら先に言ってくれ……」
「以降、大地雷禁止で」
サイズに睨まれた。
「はい。済みませんでした……」
「宝箱が金だけで、しかも、上級でもないのに解錠成功のみって……」
大分奥に進んだ所で、サイズが呆れたように呟いた。
「私も、昨日見た時には驚いたものだ」
クルマは、もう慣れたらしい。
「ところで、先程から聞こえるブチブチという音は……?」
「振り向くな」
私が宝箱を開けながら尋ねると、2人は口を揃えてそう答えた。……ヴェルが何かを食べている気がするけれど、気の所為だな。うん。
「あれが、ビッグ・アントの女王か……」
漸くボスの元に辿り着いた我々は、部屋を覗き込んで姿を確認した。
これまで見たビッグ・アントとは違い羽が有る。
「直ぐ行きますか? 何か食べますか?」
「直ぐで問題無いだろう」
サイズの判断で、料理でのステータスUPはせずに襲いかかる事になった。尤も、2人はそれぞれ本人のみ上昇させるスキルを使うんだけどね。
「じゃあ、ヴェル……女王蟻以外お願いね」
『うん!』
2人の戦いぶりを見ていると、クルマは1撃のダメージ量重視のスキル構成・サイズは連続攻撃重視のスキル構成のようだった。え? 見てないで攻撃しろって? ……いや、2人の間に割り込むのはちょっと……素人には難しいです。この人達、本職? Lv30未満でこれなら、Lv100とかどんなに凄いんだろう?
仕方ないので弓に持ち替え、2人の邪魔をしない辺りに攻撃を……無理だ! 何処に攻撃しても邪魔しそうな気がする!
『終わった!』
ヴェルの手伝いでもしようかと思ったら、そう言われてしまった。
そう言う訳で、私に出来る事と言ったら……。
「解毒薬足りてる?」
「ああ!」
「問題無い!」
……ボスのHPバーを見るだけの簡単なお仕事です。
「良し! クエストはこれで全部終了したな?」
「ああ」
「はい」
ボスを倒し終えて直ぐのサイズの質問に、私とクルマは肯定を返した。クエストアイテムが蜂蜜なのが不思議だ。
【冒険者鞄】を確認していた私は、2人に尋ねた。
「Lv30用の品質『最高』の剣と槍がドロップしましたが、要りますか?」
二人が頷いたので、クルマに槍を・サイズに剣をそれぞれ素材と交換で渡す。
「しかし……VRなのに手渡し出来ないとはな」
「盗難防止らしいがな……」
不思議そうなクルマに、サイズが不満そうに教えた。
「ところで、『足跡フェロモン』と言うアイテムがドロップしたんですけど……?」
「餌を取りに行く時に、そのフェロモンを辿るんじゃなかったか?」
私の疑問にクルマが答えた。
「うっかり円を描いてしまうと、延々と回り続けるらしいな」
「へー。……それが手に入ったと言う事は……試せと言う事ですね!」
「……そうなのか?」
クルマはサイズに尋ねた。
「さあ? 用途不明アイテムとされているが」
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外に出た私は、早速『足跡フェロモン』を地面に円状に噴射した。
離れた所で見ていると、近くに居たビッグ・アントが寄って来て円状に歩き始めた。……こういう所をリアルにするとか、『ゲート』の製作スタッフの拘りが解らない。
「で、アレをどうするんだ?」
「え? 放置で」
サイズに尋ねられた私は、そう答えた。
「……鬼畜だな」
後日2人から聞いたが、ビッグ・アントがグルグル回っているのを目撃した人がいたらしく、動画を撮って『バグ?』と公式掲示板にUPしたらしい。アイテム使用によるものですと回答が有ったとか。