表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/70

要観察対象(エルンスト)

報告書を書きながら、昼間の魔具店で出会った少女を思い出していた。


あの少女。

フィーネ、といったか。


以前、沈石粉を使って、魔石の中の魔力の流れを可視化してみせた少女だ。


しかも——

暴走した魔具の魔石に沈石粉をかけ、流れを読み、詰まりを見つけたという。


そして、一瞬の判断で穴を開け、沈石粉の塊を詰め込んだ。こんな方法で魔具を鎮めたのは、初めて見た。


時間的な余裕は、ほとんどなかったはずだ。

そんな状況で、冷静、かつ、誰もやったことがない的確な判断を、年端もいかない少女がやってのけた。


人助けという名目で、自分がどうなるかも顧みずに。


偶然だけでできることではない。

おそらく彼女は、普段から物事の本質を見抜く目を持っている。


——非常に、危なっかしい。


しかも、彼女は魔法使いではない。

ただの一般人だ。


一般人は、魔石に関わるべきではない。


過去に、止める術を持たないまま魔石に触れ、悲惨な事故を起こした例はいくつもある。


記憶を辿る。


瓦礫。

焦土。

崩れ落ちた家。


制御されなかった力は、必ず形を壊す。


だからこそ、中央監査庁は存在する。


——力は、人を殺す。


さらに過去の記憶を掘り返そうとした頭を、軽く振って切り替える。


それにしても。


魔石の魔力の流れを可視化する。

そんなことが本当に可能だとは思わなかった。


もし事実なら、魔法使いの常識を覆す。


自分も、このことを未だに扱いあぐねている。

中央には報告を出したが、どう扱われることやら。


ただ、世紀の発見を成し得た可能性があるにもかかわらず、

彼女は誇ることも、威張ることもなかった。

事故を減らしたいと、そう、言っていた。


魔石に関わるな、と強く言っておいたが…どうだろうか。

彼女の性格はわからない。

ただ、——目が。

静かな、しかし強い光が、忠告の後も消えていなかった。

威圧したときに、俯くことなく、見返していた。

再び首を突っ込む可能性は高い。


実際、日中、魔具店で彼女は一つの魔具を一心不乱に見つめていた。


沈石粉は使っていない。

線は、見えないはずだ。


店主に聞くと、不具合のある魔具だという。

しかも、それを誰にも話していない、と。


ではなぜ、彼女はあの魔具を見ていたのか。


また、彼女にしか見えない何かを、見ていたのか。


——放っておくと危ない。


彼女は、危険人物になり得る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ