第7話 人気イラストレーターと買い物
「ごめん、待たせた?」
「いや、今来たばっかりだよ。今日も可愛いね聖奈」
「からかってるんならぶっ殺すよ?」
「からかってるわけではなく、本心なんだけどね」
約束の休日、僕は聖奈と待ち合わせをしていた。
聖奈と遊ぶのが久しぶりで楽しみ過ぎて早く来すぎてしまった。
普段のだらしないというか、部屋着とは違って今日はしっかりと身なりを整えていた。
可愛らしい白いブラウスを羽織って下にはカーキ色のパラシュートパンツを穿いていて見違えるほどに美しかった。
ウルフカットの茶髪と翡翠色の綺麗な瞳も相まって落ち着いた雰囲気を醸し出す美少女だった。
「そうやって浩人は女の子を口説き落として来たの?」
「なんだか、ものすごく人聞きが悪いんだけど。というか、こんなこと聖奈とかにしか言わないし」
僕はこういう事は莉乃姉さんとか聖奈にしか言わない。
というか、言えない。
恥かしいからね。
「……もう、やだこの幼馴染」
「なんでよ」
「何でもいいでしょ! それよりも早く買い物に行くよ!」
「う、うん」
なんで怒られたのかもあんまりわかってないけど、そこまで機嫌が悪くはなさそうなので良しとしよう。
それにしても、聖奈は本当に大きくなったような気がする。
こうやって二人で遊ぶ機会が今まで全くなかったからこうして私服を見る機会もなかったわけだけど、改めて見ると聖奈は本当に美少女だ。
昔も可愛いと思っていたけど、今は美人だと思うようにもなった。
「ん? 私の顔に何かついてる?」
「いや、そういうわけじゃないんだけど僕たちも成長したなって」
「そりゃそうでしょ。もう高校二年生なんだから。私たちが昔みたいにずっといた時よりは成長してるでしょ」
何当たり前のこと言ってるの? とでも言いたそうな顔をしている。
「まあ、そうなんだけどさ。それよりも買いたいものって決まってるのか?」
「う~ん、夏服とか新しい液タブとか見たいものは結構あるよ。とりあえず、夏服を見て回ってそれが終わったら液タブをちゃんと見に行こうかなって思ってる」
「了解。とりあえず夏服だね」
聖奈は服にはあんまり関心が無いイメージがあるんだけど、それも変わったらしい。
まあ、女の子だもんな。
年齢を重ねれば身だしなみとかオシャレなことに興味が湧いてもおかしくない。
それに、僕としても可愛い聖奈を見ることができるのは僕としても嬉しい事だし。
何よりも今の聖奈を一人で歩かせたら変な男に絡まれそうで怖い。
「うん。休みの日に付き合ってもらって悪いね」
「別に気にしなくていいよ。聖奈にはお世話になってるわけだし」
「そう言うのは気にしなくてもいいんだけどね。それよりも二回目の配信はいつするの?」
「特に決めてはないけど、明日にしようかなと。一応告知もツッタカターでしてるし」
莉乃姉さんからはあんまり期間を開けすぎないほうがいいと言われてるし、僕も配信をするのは嫌いじゃない。
いろんなコメントを見るのも楽しいし、配信を見てくれるたくさんの人がいると思うだけでやる気にある。
「そか、浩人もちゃんと配信をすることに前向きなんだね」
「うん。せっかく聖奈に立ち絵を描いてもらって、莉乃姉さんにアドバイスをもらってるんだ。ちゃんと配信しないとね」
僕はいろんな人に支えられてる。
莉乃姉さんにも、聖奈にも。
だからこそ配信をやめるなんてことは考えられないし、どうせやるのなら真剣に取り組みたい。
目標は10万人だ。
行けるなら莉乃姉さんの隣に立てるような配信者になりたい。
でも、最初に掲げる目標が高すぎると折れてしまう。
「頑張って、応援してるから」
「うん」
聖奈に激励を貰いながら僕は明日の配信の事を考える。
何をするのかはもう決まっているし。
全力で頑張らないとな。
◇
「これどう思う?」
試着室からさっき手に取った服を纏った聖奈が出てくる。
上にはまっしろの薄い半袖のパーカーを着ている。
下には短いショートパンツを穿いていて健康的な足がこれでもかというほどに晒されていた。
正直言ってめちゃくちゃ可愛い。
「凄く似合ってると思う。落ち着いた雰囲気もあって物凄く可愛いと思う」
聖奈はめちゃくちゃ元気! というタイプの女の子じゃない。
どちらかと言うと、落ち着いているタイプで莉乃姉さん……じゃなくて甘雲このりの性格や雰囲気に似ている。
だから、と言うと変だけど落ち着いている雰囲気の服が凄く似合っている。
「そ、そうかな。えへへ」
「そうだよ。聖奈は凄く可愛いんだからもっとオシャレに気を使えばいいのに」
「でも、そんなに外に出るわけじゃないし。そこまで気を使う時間もないから」
「それもそうか。聖奈は僕なんかと違って忙しいもんな」
つい忘れてしまいそうになるけど、この幼馴染は超人気のイラストレーター。
本来はこうして遊んでいる時間が遅いほどには忙殺されているはずなんだ。
そこまで気を使える余裕はないか。
全く、僕はそこに気を使えないなんてダメな奴だな。
「あれ? もしかして、浩人?」
「……は?」
せっかく聖奈と二人で楽しい時間だったのに。
どうやら神様は僕のことが心底嫌いらしい。
内心ではため息を禁じ得ないのであった。
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