第46話 太陽のような葵さん
「にしても、結構観客居るんだな」
「ね! ここまで人がいるなんて思ってなかったよ」
「莉乃さんも来たことないんですか?」
「私もバスケとかしてる友達はいなかったからないね。だから結構楽しみ。なんか、熱気があるって言うかそんな感じ」
二階の観客席に座った僕たちは試合が始まるのを待つ。
いや、葵さんに挨拶しに行った方が良いか?
じゃあ、控室付近に行ってみるかな。
「ごめん。ちょっと知り合いに挨拶してくるよ。何かあったら連絡してくれ」
「わかったよ。行ってらっしゃい、ひろくん」
「なにもないと思うけど気を付けて行ってきてね」
二人を観客席に残して僕は一階の選手控室付近に行ってみることにした。
幸い、試合開始時間が迫っているわけでもないのでゆっくり探すことができる。
しばらくうろうろしていると視界の隅に綺麗な黄金が映った。
「葵さん?」
「あっ!? 天雲くんだ! 本当に来てくれたんだね」
「約束したしね。そりゃあ見に来るよ。もう少しで試合だよね?」
「うん! 私の活躍を観客席からじっくり見てるんだよ!」
手をブンブン振って葵さんは控室の中に消えていった。
いつもはサイドテールなのに対して、今はポニーテールにしている。
服装に関しても、普段の制服ではなく青を基調としたバスケのユニフォームを着ていて普段よりシュッとした雰囲気になっていた。
「本当に葵さんは元気でいいな。見ていて飽きない」
僕の周りにいる人とはまた少し違った感じの人だから変わっていて全く飽きない。
それどころか、関わっているとこっちまで元気をもらえるような気がするんだ。
是非とも葵さんには勝って欲しい。
「じゃあ、上に戻るか」
葵さんに挨拶をするという目的も果たせたわけだし、後は試合が始まるまで二階の観客席でゆっくりしているとしよう。
莉乃姉さんと聖奈が絡まれているかもしれないし。
「ただいま」
「おかえり。知り合いの人とは挨拶できた?」
「うん。すっごく気合入ってたよ」
「今更だけど、ひろくんが今日応援に来てる人って女の子?」
「言ってなかったっけ? そうそう。女の子だよ。言ってなかったっけ?」
聞かれてないから言わなかったけど、そう言えばちゃんと説明はしてなかったな。
でも、別に僕が誰の応援をしても関係ないと思うんだけど。
「そ、そうだったの?」
「ひろくんも中々やるね~」
青ざめる聖奈とにやける莉乃姉さん。
何故だか、カオスな展開が僕の周囲に展開されていた。
どうしてこうなった……
「なんでそんなに睨んでくるんですかね? 聖奈さん」
「別に……なんでもないもん。浩人なんて知らない」
プイっとそっぽを向いて頬を膨らませる聖奈は可愛いけどなんで機嫌が悪くなってしまったのか理解ができない。
でも、そんなことを言うと聖奈は絶対に怒るだろうし……
僕はどうするのが正解なんだ。
「ええ、僕何かしたか?」
「ふふっ、ひろくんと聖奈ちゃんは相変わらず仲がいいんだね。お姉ちゃんはちょっと安心だよ」
そんな僕たちの様子を莉乃姉さんは楽しそうに笑いながら見守っていた。
そんなじゃれ合いをしていると放送が鳴り響いて、バスケの試合が宣言された。
葵さんの背番号は10番。
エースと呼ばれるチームの中心人物だ。
「どんなもんなのか楽しみだ」
久しぶりに胸がドキドキする。
初めて配信をした時以来だな。
ここまでわくわくするのは。
僕は試合が始まるのを見て、興奮が抑えられないでいた。
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