第45話 三人で試合観戦
「ひろくん嫌い」
「そろそろ機嫌直してよ。莉乃姉さん」
配信を終えた僕たちはリビングでくつろいでいたわけだけど、莉乃姉さんが半泣きしてから凄く機嫌が悪い。
僕もちょっと悪乗りをしてしまったから本当に申し訳ないと思っている。
「お疲れ様で~すって、やっぱりこうなってたか」
「聖奈か。お疲れ」
聖奈には合鍵を渡してあるし、今日は元々夏休み中の予定について話し合うつもりだったので驚きはない。
でも、この状況下で聖奈が来てくれるのは非常に助かる。
僕と莉乃姉さんの二人だったら空気が地獄のままだったかもしれない。
「聖奈ちゃん……ひろくんが虐めてくるの」
「あはは、配信の件ですよね。すごくおもしろかったですよ」
「私は全然面白くなかったんだけど……ひろくんがいつもより生き生きして私のことをいじってくるし」
いじけたようにそっぽを向きながら莉乃姉さんはぼそぼそと何かを言っていた。
本当に拗ねてる時は目を見てくれないんだよね。
どうしたものか。
「まあまあ、それよりも夏休みの予定決めましょ。何するか」
「だな。莉乃姉さん謝るから機嫌直してくれよ」
「いいよ。その代わり今度久しぶりにマッサージしてよ。配信ばっかりしてると肩とか腰が痛くなっちゃって」
「それくらいならお安い御用だよ。じゃあ、夏にどこに行くのか決めようか」
僕たちはリビングで座って話し合いを始める。
夏にどこに行くのか。
何をするのか。
いつ行くのか。
些細なことを話しあう時間が凄く楽しい。
莉乃姉さんと聖奈と三人でゆっくり話すのは久しぶりで幸せな時間だった。
◇
「にしても、かなり人気になったな」
エゴサをしながら僕はそう思う。
調べてみれば、僕の配信の感想がたくさん投稿されていた。
暖かいコメントもあれば、批判的なコメントもある。
甘雲このりのおかげで有名になっただけだろとか。
「まあ、間違いではないから否定できないんだけどね」
間違いじゃないし、僕自身も莉乃姉さんのおかげで有名になれた自覚はある。
僕一人だったらそもそもVtuberになろうなんて考えもしなかっただろうし。
莉乃姉さんの配信の切り忘れのおかげで一気にここまで駆け上がってくることができた。
「だから、こんなコメント見ても何も思わないな」
電車に揺られながら僕はコメントを適当に流し見る。
暖かいコメントで胸がほっこりして、アンチコメントに対してはいいねをする。
そんな作業を目的地に着くまで繰り返していた。
「ここが会場か」
大きな市民体育館。
今日は葵さんのバスケの試合を見に来ていた。
隣には、妙に機嫌のいい聖奈とそんな聖奈と楽しそうに話している莉乃姉さんがいる。
今日試合を見に行くことを二人に伝えたらウキウキで見てみたい! と言われたため三人で観戦に来たんだ。
「いやぁ~私バスケの観戦なんて初めてかも」
「私もです。浩人が行かなかったら私も絶対に来てないですし」
それもそうかもしれないけど、聖奈はそもそもあまり外に出ないという突っ込みは置いておいた。
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