第44話 半泣きこのり姉さん
「こんヒロ~失恋弟こと甘雲ヒロだ」
「こんくも~甘い雲みたいに儚い美少女こと甘雲このりだぞ~よろしく~」
予定時間になったから俺は配信をつけて挨拶をする。
今日は最初からコラボ配信であることを告知してたから最初からこのり姉さんの立ち絵を表示してある。
「というわけで、今日は甘雲家コラボ配信。内容は告知してあった通り協力型のホラーゲーム配信だ。このり姉さんは普段からホラーとか怖いのを全くと言っていい程見ないし、やらないから珍しいこのり姉さんのリスナーは期待しておくと良いぞ!」
「最初から私の普段の様子を暴露するのはやめて欲しいんだけど? あと、絶対にそんな変な反応はしないから。絶対に」
先ほどまではあんなにやりたく無さそうに震えた声を出していたのに、今となってはその面影は全くない。普段通りの甘雲このりがそこにはいた。
歴が長いだけあってそういった点の切り替えが凄まじい。
僕も参考にしていかなければ。
「と、言ってるがまあゲーム本編が始まればわかるだろ」
今日僕たちがするゲームは最近人気の二人で協力して謎を解いていくタイプのホラーゲームだ。
シリーズ作品で僕たちがプレイするのは三作品目。
なんで一作目からプレイしないかと言うと、二人で協力プレイができるのが三作品目からだから。
多少のつながりはあるらしいけど、前作をプレイしてないと全く内容がわからないとかそういう事は無いそうなので安心したい。
「むぅ~今日のヒロくんは何か意地悪だ。意地悪なヒロくんお姉ちゃん嫌いだぞ~」
「意地悪って言われるほどひどい事はしてないとおもんだけど。ホラーゲームになったのはリスナーアンケートだし。責めるべきは僕じゃなくてリスナーじゃないかな?」
このり姉さんに恨みを買うのは嫌だったから僕はそれとなく標的をリスナーたちに移した。ごめんリスナー。でも、君たちがホラーゲームに票を入れたのもまた事実。
甘んじて受け入れてくれ。
「確かに。アンケートでホラーゲームに票を入れた人は表に出なさい。
直々に説教してやるから」
「まあまあ、落ち着いて。リスナーを責めるよりも先にこのり姉さんはゲームを起動して。怖いのはわかるけど、いつまでも雑談してたら趣旨が変わっちゃうし」
今日は雑談配信ではなくゲーム配信だ。
多少の雑談をすることは全く持って構わないけど、雑談がメインになるのはあまりよろしくない。
このり姉さんを促してさっそく僕たちはホラーゲームを開始する。
序盤はそれぞれ薄暗い室内に閉じ込められている状態からこのり姉さんと合流するまでだ。
正直、ここまではチュートリアルのようなもので僕もこのり姉さんも特に怖がることなくサクサクと進めることができた。
「いやぁ~ホラーゲームって言ってもこんなもんか。余裕だね!」
「このり姉さん……そう言うのってフラグって言うんだぜ?」
このり姉さんはチュートリアルが終わった程度でめちゃくちゃ調子に乗っていた。
まあ、そう言うこのり姉さんも可愛いんだけど。
しかし、僕もリスナーも余裕綽々なこのり姉さんを見たいわけじゃないんだ。
僕たちはこのり姉さんが本気で怖がって悲鳴をあげているところを見たいんだ。
そのためにリスナーはホラーゲームに投票をしたんだろうし、僕もそれを見たいがために選択肢にホラーゲームを入れたのだから。
「ないない! このくらいなら私にかかれば余裕だって!」
「その自信がいつまでもつのやら」
ここらへんでチュートリアルが完全に終わった。
二人が合流して薄暗い室内で歩きまわっているとおぞましい見た目の化け物がいきなり出てくる。
「ひゃぁ!?」
「ほら、ビビってるじゃん」
「び、ビビッてないし」
「無理があるって。ひゃって可愛い声が出ちゃってるよ」
そうそう、これでいいんだ。
コメント欄もこの展開を望んでいたらしく、めちゃくちゃ盛り上がっている。
いつものダウナー系のこのり姉さんはこんな風に悲鳴を上げたりしないから。
「そ、それよりも早く進めよう」
「だね。今日でそれなりの所まで進めたいね」
その後も僕たちはそれなりの速度でゲームを進めていった。
物語りの中盤位の所まで進めてこのり姉さんがあまりの怖さに半泣きになってしまった時点で配信終了となった。
なんか、申し訳ないことしたかな?
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