第43話 甘雲家コラボ配信
「ねぇひろくん? 本当にやるの? お姉ちゃん的には他のゲームでも良いかな~って思うんだけどな?」
「いやいや、リスナーさんのアンケートでコラボゲーム配信の内容はホラーゲームに決まったんだから腹を括らないと!」
莉乃姉さんにオムライスを作った日に配信のことを相談したら、「それならリスナーさんに聞いてゲームの内容を決めればいいじゃん!」と言われたためその通りにしたらホラーゲームになった。
昔からホラーが苦手な莉乃姉さんは最後の最後まで抵抗したけどもうアンケートで決まったことだからと無理やり配信をすることにした。
「で、でもぉ。私のキャラが崩れちゃうっていうかさ」
「大丈夫。莉乃姉さんのキャラは失恋弟事件から結構崩れちゃってるから」
最初はダウナー系のキャラでやっていたし、最近までそれで通っていたらしいけどあの一件以降ブラコンVtuberや意外とお茶目なのかも? というような意見やコメントが多数みられるようになった。
まあ、普段の莉乃姉さんが出てきたといった方が良いのかもしれない。
「むぅ~確かに。最近私のことを皆がポンコツキャラとして扱うんだよぉ~」
「実際に配信を切り忘れるやらかしをしてるわけだしね」
「それを言われると何も言い返せない……」
「そんなことよりも莉乃姉さん、配信準備終わったの? もう三十分もないよ?」
既にツッタカターで告知はしている。
久しぶりの姉弟配信という事もあって注目度もそれなりに高めだった。
巷では僕たちの姉弟配信を甘雲家というタグで投稿している人を散見する。
今度からタグを甘雲家にしようか。
「一応できてるよ? ゲームのダウンロードもしたし、配信の枠もたてたし。準備はできてるんだけど、やっぱりやりたくないな~って」
「本当に昔からホラー系苦手だよね」
「そりゃそうでしょ! 怖いものが得意な女の子なんてこの世に存在しないんだから」
「なんという偏見。絶対にいるからね? 怖いのが大好きな女の子とか」
でも、僕の身の回りにはそういうタイプはいないかもしれない。
聖奈もホラー系は凄く苦手だし、莉乃姉さんは見ての通り。
葵さんはどうなんだろう?
聞いたことが無いからわかんないや。
考えてみたら、僕の交友関係上にいる女性は三人しかいなかった。
「そんなことないもん! でも、配信の告知もしちゃったし枠も立てちゃったからもう逃げられないんだよね。はぁ、怖いの嫌だなぁ~」
「まあまあ。二人で頑張ろうよ。幸いな事にこれからやるホラーゲームは協力できる奴だから。一人でやるよりかは幾分かマシでしょ」
「た、確かに! 頼りにしてるからねひろくん」
「ほどほどにね」
僕がそう言うと莉乃姉さんは少し安心したのかとぼとぼ自分の部屋に戻っていった。
よし、僕も配信の準備が出来てるかちゃんと確認しないとな。
ゲームのダウンロードは終わってるし、枠も立ててある。
告知もちゃんとしてるから後は配信予定時刻を待つだけ。
「あ、通話アプリに先に入っとくか」
莉乃姉さんと作ったグループに入って声が入っているかチェックする。
二人とも問題がないようで配信の準備は完璧だった。
「やっぱり、この時間はどれだけやってもなれないな」
どれだけやってもとは言っても、デビューしてから三か月も経っていない。
だけど、この配信の準備が完全に終わって配信開始の時間を待つこの時はどうしても慣れる気がしない。
「慣れないとな。いつまでも配信前にこんなに緊張してたら心臓が持たないからね」
この年で心臓病とかで死にたくはない。
まだまだ配信業は続けたいし、やりたいことだってある。
「ん?」
僕が緊張でおかしくなりそうなときにスマホが震える。
確認をしてみれば、メッセージが一件。
聖奈からの一言「頑張れ!」と。
「ははっ、あの子は本当に僕が本気で困ってる時に勇気をくれるな」
一言見ただけで、緊張が和らいだ。
やってやるぞ! という気持ちが胸の奥底から溢れてくる。
「よしっ! 絶対に配信を成功させよう」
今日はこの配信が終わったら聖奈と莉乃姉さんの三人で話し合いをする予定だ。
だから、ちゃんと成功して気持ちよく夏休みの予定を決めたい。
僕は自分の頬を叩いてやる気を出す。
配信開始まで残り十分、パソコンの画面とにらめっこして過ごした。
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