第41話 ツンデレ幼馴染の膝枕
「じゃあ、やるか。とりあえず最初はオムライスとかで良いかな」
「うん! やったこと無いから丁寧に教えてくれると嬉しい」
「もちろん。ちゃんと教えるよ。聖奈は今まで料理したことなかったよな?」
「うん。知ってるでしょ。私が今まで包丁を握ったことないってさ」
聖奈は昔から料理を全くしなかった。
しなかったというよりは、する必要が無かったんだけど。
ちょっと前までは聖奈の家にはご両親がいたし、ご両親が出張に行ってからは僕がこうやってご飯を作りに来てる。
だから機会が無かったんだ。
「まあね。じゃあ、安全第一で行こう。怪我とかはしないようにね」
「お願いします」
メインは一旦僕がやろう。
手順を実践しながら都度都度解説を加えていく感じで教えれば何とかなるだろ。
◇
「できた! すごいすごい! 私でも作れたよ浩人!」
あれから数十分経って僕たちはリビングで出来上がったオムライスを見つめていた。
一回目だからめちゃくちゃ綺麗な出来上がりとかではないけど、一発目で出来たにしてはとてもいい出来上がりだった。
これからも継続してやっていけば僕がお役御免になる日も近いのかもしれないな。
「初めて作ったのにすごいな。めっちゃ美味しそうだ」
「浩人が丁寧に教えてくれたからだよ。ありがとね」
久しぶりに聖奈は本気ではしゃいでいるようで見ているこっちも楽しくなった。
でも、なんでいきなり聖奈は料理を作ろうとしたんだろう?
好きな奴でもできたとか?
だとしたら、僕がこうやって聖奈の家に来る時間も無くなってくるんだろうな。
少し寂しいけど、一生一緒にいるってのは無理だし。
「僕はほとんど何にもしてないよ。聖奈が頑張ったからできたんだ。それよりも食べようか」
「うん。えっとね、私が作ったほうを食べてもらってもいい? 初めて作った料理、浩人に食べてほしくて……」
モジモジしながら聖奈は僕の顔をチラチラ見てくる。
今日はなんだか可愛い聖奈がたくさん見れて嬉しいな。
本当に聖奈のおかげで最近疲れてた心が急速に癒されるような感じがする。
配信の事を考えないといけないけど、今日は聖奈と久しぶりにゆっくりしたい。
「もちろん。嬉しいよ。聖奈が初めて作った料理を食べれるなんてね。なんか成長を感じて嬉しいよ」
「浩人は私のお父さんなの? まあ、似たようなものかもしれないけどさ」
二人して笑いながら昼食の時間を楽しんだ。
聖奈とは高校が違うから滅多に一緒にお昼ご飯を食べる機会なんて無いから、新鮮でいい。
今度から暇な土日も昼ご飯を作りに来ようかな。
◇
「でも、聖奈はどうしていきなり料理を作りたいなんて言い出したんだ?」
「別になんだっていいでしょ。そういう気分だったの」
ソファーに隣り合って座っている僕たちの間に流れる空気は落ち着いたものだ。
普段から聖奈とはこんな風に緩い空気感で接することが出来てこの時間は非常に貴重だと思っている。
「そういうもんか」
昔から気分屋なところがある聖奈だからそう言われてもあんまり疑問には思わないけど、何故だか今日はごまかしているように聞こえた。
何かを隠してるのか、それとも言いたくない何かがあるのか。
「そう言うもんだよ。というか、浩人最近なんかあったでしょ」
「なんで?」
「そりゃ、わかるでしょ。幼馴染なんだし。疲れてはいるんだろうけど、それだけじゃないよね。精神的に疲れてるって感じかな。大丈夫そう? 学校で何かあった?」
聖奈の前では隠してたのに、バレてたのか。
本当に僕のことをよく見てくれてるな。
莉乃姉さんもだけど、聖奈も僕のことをよく見てくれている。
ありがたいけど、変な心配をかけちゃったかな。
「いや、何もないよ。本当に」
「もう。私の前では変に強がらないでよ。ほら」
隣に座っていた聖奈が僕の体を強く引っ張る。
いきなりの事で対応できなくてあっけなく僕の体は聖奈の方に傾く。
「聖奈、何を?」
「膝枕でしょ。どう? 美少女の膝枕は」
「すごく良いけど。なんでいきなり?」
流石に大胆過ぎる。
僕たちは幼馴染だけど、普段から過度なスキンシップをするような関係ではない。
だから、いきなりこんなことを恥ずかしがり屋な聖奈がするのは珍しい。
聖奈の方にも何かあったのかな……
心配になってくる。
「こうでもしないと浩人は話してくれないでしょ。ちゃんと目を見て話してよ」
端正な聖奈の顔が凄く近い。
さっきまで緩い空気だったのに、今はそんな空気感じゃない。
僕の心臓は物凄い速度で早鐘を打っている。
こうしてみると本当に可愛い。
まつ毛長いし、目は澄んでて綺麗だし。
「わかったって。顔近づけないでよ。恥ずかしい」
「私も恥ずかしいんだからね。早く話してよ。何かあったんでしょ」
「そこまで言うなら話すよ。もう解決したしさ」
聖奈に根負けした僕は最近学校であったことを話した。
隠し事をしてもすぐにバレるだろうし、この体勢で聖奈に何かされても逃げられないだろうから。
◇
「なにそれ許せない!」
「まあ、まあ。もう解決したからさ。今はそんなことないしさ。心配してくれてありがとな」
「いや、心配するなんて当たり前だし。それよりもごめんね。近くに居たのに気が付いてあげれなくて」
「謝る事じゃないって。僕が聖奈に隠そうとしてたんだしさ」
上を見てみると聖奈は泣きそうな顔をして俯いていた。
凄く申し訳ないと思ったし、何よりも泣きそうな聖奈を放っておけなかった。
だから僕は、一旦膝枕から起き上がってソファーに座って今度は逆に聖奈に膝枕をする。
「なにこれ」
「いや、聖奈が泣きそうだったから。僕なんかが膝枕しても嬉しくないと思うけどさ。今は僕で我慢してくれよ」
「いや、浩人にこうしてもらうの気持ちいいから好きだよ。凄く心地いい」
猫みたいに丸まって聖奈は僕の膝を堪能していた。
その様子が可愛すぎてついつい頭を撫でてしまう。
サラサラした髪は撫でてて気持ちいいし、しっかり手入れをしていることが伝わってくる。
「ならよかったよ。それより、聖奈もなんかあった?」
「なんでそんなこと聞くの?」
「いや、いつもと雰囲気が違うなって思ってさ。何もないならいいんだけど、何かあったら聞かせてよ」
僕は聖奈の髪を撫でながら返答を待つのだった。
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