第31話 次は対談配信
「ヒロくんって呼んでもいい? 私のことは桔梗で良いからさ」
「はい。全然大丈夫です。よろしくお願いします。桔梗さん」
「硬い硬い。もっと柔らかくて良いのに。このりんも最初はそんな風にガチガチで面白かったな~考えてみると似てるかも」
面白そうに笑いながら桔梗さんは話を続ける。
配信の時だけ明るい人というわけではなく、常に明るい人なのだろう。
僕は勝手にそう思った。
「そうなんですか?」
「うん。このりんも初めて話したときは凄く緊張しててね。あの時は面白かったな~」
「ちょ、ちょっときょうちゃん。その話はしないでって言ったのに! もう」
「ごめんごめん。ヒロくんが可愛かったらついね。でもこの話をしたほうがヒロくんの緊張も解けるかなって思ったんだけど、どうかな?」
桔梗さんの言うとおり莉乃姉さんも僕と同じように緊張していたと知ってなんだか少しだけ安心した。
おかげで、話しやすくなったような気がする。
「おかげさまで少し緊張が解けました。ありがとうございます桔梗さん」
「全然良いってことよ~そんじゃあ、どんなコラボ内容にするかをちゃちゃっと決めちゃいましょうか」
「はい。お願いします!」
「よろしく~」
莉乃姉さんはいつもみたいに抜けた感じで返事をしている。
よほど仲良くなっているんだなと思う。
莉乃姉さんは人見知りだからこんな風に誰かと親しくなることはあまりなかったから桔梗さんのこの接しやすさが莉乃姉さんを少し変えたんだと実感する。
「内容自体は三人でのコラボってこと以外決まってないよね?」
「うん。私はヒロくんが幅広く活動できるように色んな人と関わって欲しいって思ってきょうちゃんを紹介したからね~」
「なるほど。じゃあ、内容はゲーム配信でも雑談配信でもなんでもいいってわけだ」
「そゆこと~まあ、できればヒロくんがちゃんと話せるような配信の方がありがたいけどね」
僕がちゃんと話すことができるような配信か。
考えてみれば難しい。
桔梗さんみたいなVtuber界のレジェンドと一緒に配信をして平常運転ができるだろうか?
難しいけど、やるしかない。
せっかく莉乃姉さんが用意してくれた機会だし、無駄には絶対にしたくないから。
「僕はどんな配信でも行けます! やらせてください」
「良い気合いだね~お姉さんそう言うの嫌いじゃないよ! じゃあさ、ここいらで雑談配信ってのはどうだい? まあ、雑談というか対談配信だけどね」
対談配信というのは配信者同士が様々な議題について話し合うような雑談配信の形式の事だったはず。
三人で何かの話題について話すことを決めておけば、そこまで困らずに配信することが出来そうだ。
「いいね~きょうちゃんの対談配信って面白くて人気だし。そう言えば、私もきょうちゃんの対談配信に招待してもらったっけな」
「懐かしいね~あの時はまだまだガチガチで私に敬語だったよね」
「やめてってば恥ずかしいから。でも、あれのおかげで私もここまでビッグに慣れた気がするし。そういう点では本当に感謝しかないよ」
「じゃあ、次の配信は三人で対談配信ってことで良いかな?」
「そうだね。まあ、私は司会的なポジションでやろうかな。実際は二人で対談してもらって私が進行する感じでいい?」
二人の中でどんどんと配信内容が決まっていく。
こんな風に簡単に決まるものなのかと思ってしまうけど、二人はVtuber界でもかなり人気の人たちだ。
僕が二人みたいにやろうとしてうまくいくはずがない。
「僕はそれで大丈夫です。桔梗さんはどうですか?」
「私もおっけ~ヤバかったらこのりんが止めてくれるってことだもんね?」
「まあ、頑張りはするけど。放送禁止用語とかはやめてよね? 配信なんだから」
「そこら辺は安心してよ。これでも長い事Vtuberやってんだから、コンプライアンスは順守してるよ。バンされたりしたら溜まったもんじゃないからね!」
桔梗さんは声音からでもわかるくらいにドヤっていた。
顔を知らないはずなのにドヤ顔をしているのが目に浮かぶ。
「じゃあ、そういう事で。告知とかは私達全員のアカウントでやるとして、サムネイルとかはどうする?」
「全員やればいいんじゃない? ヒロくんはこのりんが教えればいいし。出来上がったやつを送ってくれたら私も確認するからさ」
「ありがとうございます。桔梗さんに恥をかかせないように頑張ります」
「そんなに硬くならないでいいって言ってるのに。失敗しても私とこのりんがフォローするから今回はのびのびとやってみなよ。何事も挑戦だからさ」
Vtuber界にレジェンドにこんな励ましの言葉を貰って感動した。
この優しい人柄があったからこそ厳しいVtuber界を生き残ってこれたんだろうな。
僕も桔梗さんみたいにみんなから好かれるVtuberになりたい。
そのためにも今回の対談配信を成功させないと。
「ありがとうございます! 精一杯頑張ってみます」
「よろしい! 頑張るのも良いけどせっかくなんだから楽しんでね! じゃあ、私はこの後このりんと司会進行について話すからまたね~」
「はい。じゃあ、失礼します」
「じゃね~」
「ヒロくんお疲れ様~後で決まったことを伝えるからヒロくんは対談でどんな話をするのか考えておいてね」
莉乃姉さんにそう言われて僕は桔梗さんと何を話すのかを考える。
ちゃんとした質問を考えておかないと盛り上がる物も盛り上がらない。
頑張らないと!
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