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Vtuberの姉が配信切り忘れた結果、失恋弟としてトレンド入りした僕もVtuberになることになった  作者: 夜空 叶ト


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第29話 変な違和感とバスケの大会

 いつものように校門をくぐってすぐに僕は違和感を覚えた。

 普段は特に誰からも見られないような平凡な学生の自覚がある僕だが、今日はやけに見られている気がする。

 これが自意識過剰なら何の問題もないんだが、そうではないような気がしてならない。

 背中に何かが這っているかのような気持ち悪さ。

 でも、なんでこんな感覚を覚えているのかわからない。


「おっはよ~天雲くん! 昨日のヒロくんの配信みた?」


「あ、ああ。見たよ。収益化記念配信だったっけ?」


「そうそう! グッズが出るんだよね! 私なんてすぐに買っちゃったよ」


「マジで?」


 あのグッズはフルセットで一万円ちょいしたはずだ。

 聖奈と莉乃姉さんと話し合った結果、その位の値段設定が妥当だという結論に至った。

 普通の学生が手を出すのにはちょっと高すぎる値段設定かもしれないと思ったのだが。

 どうなのだろうか。


「マジマジ。だって凄く欲しかったんだもん! 届くのが今から凄く楽しみだよ」


「そうなんだ。流石にグッズには手を出せないな。ちょっと高すぎるしな」


 実際は僕は製作者なわけだから二セットくらいは手元に届く。

 だから買う必要が無いし、何なら藤波さんが買ってくれたお金は僕の元に少し入ってくる。

 なんだか申し訳ない気持ちになってしまうな。


「ええ~なんでよ。めちゃくちゃ良いグッズなのに」


「良いグッズなのはわかるよ。イラストの担当がユッキー先生だし」


「ユッキー先生良いよね! 絵のタッチが本当に好きなんだよね」


 それは僕も思う。

 昔から聖奈が絵を描いていたのは知ってたし、絵を描くのが好きなことも知ってた。

 だけど、気が付けば超有名なイラストレーターになっていたんだから人生本当に何があるかわからない。


「わかる。ていうか、本当に好きなんだね。甘雲ヒロさんが」


「大好きだよ! デビューしてすぐだけどヒロくんの魅力は物凄いからね! 今度はいつ配信するのかな。楽しみだな~」


 教室に向かう道中、藤波さんはすっかり興奮した様子でそう捲し立ててくる。

 ここまで誰かを好きになれるなんてすごいな。

 僕には到底まねできそうにない。

 というか、さっき感じた違和感はなんだったんだ?

 今はそこまで誰かに見られている気配を感じない。

 一体なぜ?


「そう言えばそろそろ夏休みだけど藤波さんは何か予定とか決まってるの?」


「大体部活かな。天雲くんも応援に来てくれるんでしょ? 約束したもんね?」


「そんなに圧をかけなくても忘れてないって。夏休みの中旬くらいに大会でしょ。もちろん行くって」


「ならよかった。こんな風に推しの話をちゃんとできる男の子の友達は初めてだからな~というか、誰かを大会に誘ったのも初めてかもしれないし」


 藤波さんは可愛らしく小首をかしげてそう言う。

 美しくギャルギャルしい見た目なのに、仕草は可愛いのだからそのギャップで風邪を引きそうだった。

 そんな僕たちを周囲の生徒は珍獣でも見るかのような目でポカンとしながら見つめてきている。

 まあ、今まで仲良くしていたところを誰かに見られたことは無いし、何もよりも今の僕は悪評が広がりまくっている。

 そんな僕と藤波さんみたいな美少女が一緒に歩いていると邪推するような人間がいてもおかしくはない。


「そうなんだ。てっきり毎回いろんな人を誘ってるのかと思ったよ」


「そんなことないよ? 私こう見えて意外と人見知りだからさ」


「じゃあ、なんで僕とはこんなに親しくしてくれるの?」


 今まで特段仲が良かったというわけではなかった。

 この前小田がVtuberのおすすめをしてくれた時に話したときから妙に距離をつめられている気がする。

 もちろん嫌なわけじゃないんだけど、理由は少し気になったりする。

 詮索するような事でもないから詮索はしないんだけど。


「そりゃあ、最初に推しの話をしたのが天雲くんだし。何なら初めて学校で推しの話をした人だから何も隠さなくてもいいって思ったからかな」


「なるほど。それはなんかありがとう?」


「何でお礼言ってるの? 私が勝手に話してるだけなのに。それよりもバスケの試合絶対に見に来てよね!」


「わかってるよ。本当に楽しみにしてる。何か変更があったら連絡してね」


 バスケの試合を見に行くのは本当に楽しみだ。

 だって、バスケの試合を見たことなんてほとんどないし見た経験を配信で話したりもできる。

 一石二鳥だ。

 僕は配信活動をするためにもいろんな話のタネを用意しないといけない。

 ありがたい限りだ。


「うん! 絶対に勝って見せるからね!」


 藤波さんは可愛くピースしてから教室の方に小走りで走っていった。

 もしかしたら、変な噂が収まってるかもと思ったけど、そんなことは全くなかった。

 それどころか、学校中に変な噂が広がっていて居心地が悪くて仕方なかったよ。


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