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Vtuberの姉が配信切り忘れた結果、失恋弟としてトレンド入りした僕もVtuberになることになった  作者: 夜空 叶ト


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第17話 膝枕と登録者数10万人突破

「相変わらず無理をする癖は治ってないんだね。浩人は」


「ん?」


 意識が戻ると後頭部から柔らかい感触が伝わってきた。

 アレ?

 僕はあれからどうなったんだっけ?

 学校から帰ったのは覚えてる。

 でも、ここはどこなんだ?

 目を開けるとそこには、聖奈が居た。

 心配そうに翡翠色の瞳を揺らしながら。


「目が覚めた?」


「うん、ここは?」


「私の部屋だよ。道端で倒れてたから連れてきたの」


 どうやら、あの後バッチリぶっ倒れたらしい。

 聖奈に結局迷惑をかけちゃったな。


「ありがとう。重くなかったか?」


「重かったよ。だから、貸し1ね」


 いたずらっ子みたいにウインクしてくる聖奈はとっても可愛くて見惚れてしまった。

 そうか、膝枕されてるのか。

 全世界の男の夢だろう膝枕をされているけど、今はそれを意識する余裕がないほどには体調が悪かった。

 さっきから全身の悪寒が止まらない。


「ああ、本当に迷惑かけてごめん」


「こういう時はありがとうでしょ。何に謝られてるかわかんないよ」


「そっか。そうだよな。ありがとう聖奈」


 おでこにデコピンをかまされる。

 確かに今回は僕が悪かった。

 昔から何かあるとすぐに謝る癖は直ってないみたいだ。


「うん。いいよ。それよりもかなり熱出てるからゆっくりしててよ。このベッドは使ってていいからさ」


「申し訳ないって、聖奈も仕事あるだろ?」


「こんな状態の幼馴染の看病もできない程忙しくないし。そもそも仕事が溜まってても看病できないんならそんな仕事辞めるし。普段から浩人は私の夕飯をつくったり色々お世話してくれるんだから、これくらいはさせて」


 聖奈はそれだけ言うと、僕を膝から丁寧に降ろしてくれる。

 柔らかい感触が伝わってきた後頭部から冷たい感触に変わった。

 きっと氷枕を用意してくれたのだろう。

 ありがたい事この上ない。


「本当にありがとう」


「良いの良いの。それよりも莉乃さんには連絡したからね。大学が終わったら来てくれるってさ」


「わざわざ連絡してくれてありがとうね」


 莉乃姉さんに迷惑をかけたくなかったけど、こうして聖奈に迷惑をかけてしまった以上はしょうがない。

 今回は完全に僕の落ち度だ。

 体調管理が全くできていなかった。


「いや、それはいいんだけどさ。今日の夕飯は私が作るけどいい?」


「えっ!? 聖奈って家事出来たの?」


「失礼な。できるよ。一人暮らししてから浩人が面倒を見てくれてたからする機会がなかっただけで、一応できるからね! 今日はそれを証明して進ぜよう」


「本当に大丈夫? 僕も手伝うよ?」


 どうにも、聖奈が家事している所が想像できない。

 手を切ったりしないだろうか?

 やけどしたりするかもしれない。

 そう思うとメチャクチャ心配だ。


「そんなに心配そうな目で見なくても大丈夫だよ。指切ったりしないし。とりあえず浩人はゆっくり寝てて。薬も持ってくるから」


「でも……」


「本当に大丈夫だって。浩人は本当にゆっくりしてて。さっき計った時39度あったんだから」


 そこまでの高熱が出ているなんて思いもしなかった。

 でも、言われてみれば納得だ。

 悪寒が止まらないし、頭が割れそうなくらい痛い。

 関節も動かすごとにギシギシとして痛みが走る。

 典型的な熱の症状だった。


「ありがと」


「良いってば。それよりも今はちゃんと寝なよ。じゃないと治らないから」


 聖奈がキッチンの方に向かったのを見て目を瞑る。

 意識を保っているのも厳しかったようで、僕の意識はすぐに夢の中へと落ちて行った。


 ◇


「うひゃ~顔真っ赤だね。本当に大丈夫?」


「さっきよりは結構マシになったかな。行き倒れてたらしいし」


「聖奈ちゃんに感謝しなきゃね。でも、どうして体調崩したの? ひろくんって基本的に生活習慣はちゃんとしてるじゃん」


「ちょっと悩み事があってね。考えてたら中々寝付けなくって」


 莉乃姉さんならば話しても大丈夫。

 僕の関係者だし、何よりも肉親だ。

 それに、僕をVtuberの道に進ませたもの莉乃姉さんなのだから。

 相談する相手としては申し分ないけど、今は相談するような元気もない。


「なるほどね。悩みがあるなら聞くよ。もちろん今じゃないけどね」


「助かるよ。風邪が治ったらぜひとも相談させてくれ。ちょっと一人で考えてても答えが出なさそうだから」


「うん! まあ、最近のひろくんはいろいろあったし、精神的な疲労も溜まってたんじゃないの? Vtuberとしてデビューしたから環境だって変わったし」


「確かに環境の変化に精神が追い付いてない感は否めないね」


 世界が狭すぎるという問題だってある。

 このまま聖奈にイラストの件で頼りっぱなしというわけにも行かないし、学校での振る舞いも考えないといけない。

 藤波さんが僕のことを推していて、小田が莉乃姉さん経由で僕の配信を見ている以上は迂闊な発言をしたら積みだ。

 それに、藤波さんくらい僕のことをちゃんと推してくれている人なら日常的な会話で気づかれてしまう可能性だってある。

 考えないといけない事は山積みなのに、解決方法がわかっている問題はほとんどない。


「だろうね。今日は聖奈ちゃんが夕飯を作ってくれるらしいから私と聖奈ちゃんの夕飯は気にしなくてもいいからね。あと、ひろくんの夕飯はおかゆを作ってくれるらしいから」


「ありがとうって聖奈に伝えておいてくれ」


「かしこまり~」


 莉乃姉さんはハイテンションでそう言って部屋から出て行った。

 毎回毎回なんであのテンションなのに配信になるとそこまでダウナー系になれるのか。

 もはや、尊敬してしまう。

 まあ、登録者的にも圧倒的に上だからもともと尊敬はしてるんだけど。


「あ、そうそうひろくんのチャンネルもう登録者数が10万人突破してたよ! 凄く早いね!」


「……マジですか?」


 普通そんなに早く10万人とか行くもんなの?

 そもそも、まだ収益化記念すらしてないんだけども。

 一体何がどうなってんだ?


「マジマジ。なんかね、この前の歌枠がバズったっぽくて人気急上昇! トレンドにも乗ってたし本当にすごいね。このままじゃすぐに追い抜かされちゃうかも」


「何言ってるんですか。莉乃さんのチャンネルだって最近めちゃくちゃ伸びてるじゃないですか。特に浩人の初配信以降は特にね!」


「ああ~言われてみればそうかも。自分のチャンネルなんて最近あんまり意識してなかったから」


 ジト目で聖奈が入ってくる。

 手には小さな鍋がなったおぼんを持っていた。

 本当に料理できたんだな。

 なんだか、娘の成長を目の当たりにした親のような気分になる。


「で、浩人はなんでそんなに涙ぐみそうになってるの?」


「いや、聖奈も成長したんだな〜と思うと嬉しくて……」


「なんか腹立つ。風邪治ったら一発ビンタするからね」


「できればやめて欲しいな〜」


 そんな軽口を叩いていると重かった体が幾分か軽くなったように思う。

 やっぱり人との会話は大切だ。

 と、そんな感想を抱くのだった。


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