第13話 歌枠大成功!
歌枠は思いのほか盛り上がった。
自分が用意していた数曲を歌い終わってから十曲くらいリクエストに応えて歌った。
みんながリクエストしてくれる曲は最近はやってたアニメのオープニング曲だったり、流行っている曲だったりと一度は聞いたことがある曲で何とか歌いきることができた。
今回も同時視聴者数は一万人を超えていてそこまで落ち込まずに済んだ。
「というわけで、結構歌って喉も疲れてきたからそろそろ終わりにしようかなって思うんだけど最後に一曲だけ歌おっかな!」
コメント欄のアンコールに押されて最後に一曲歌うことにした。
歌う歌はリクエストで募集していて、その瞬間かなりの数のコメントが流れる。
その中で僕のファンマークをつけた名前のユーザーさんのコメントが目に入ったからその人のリクエスト曲を歌う事にしよう。
名前がふじみんさんか。
「では、最後に選ばれたリクエスト曲はスイートクラウド! ってこれこのり姉さんのオリジナル曲じゃん。じゃあ、張り切って歌うから最後まで盛り上がって行こう!」
莉乃姉さんのオリジナル曲は何回も聞いてるからそれなりにうまく歌えた。
コメント欄でもかなり褒められていて嬉しかったし、リクエストしてくれたふじみんさんには感謝しかない。
「じゃあ、今日の歌枠はこれまで! みんな来てくれて本当にありがとうな! おつヒロ~」
配信を閉じてから、背伸びをする。
何とも言えない開放感が訪れて気分が良くなる。
「おっ!? 収益化通ってる! これって結構すごい事なんじゃないのかな……」
まだ、Vtuberの界隈に詳しいわけじゃないけど収益化って言うのはかなりすごいことな気がする。
莉乃姉さんもすごい事だって言ってた気がするし。
「おつかれ~ひろくん。最後の私のオリジナル曲本当に良かったよ!」
「ありがとう莉乃姉さん! あと、収益化通ったよ!」
「本当? おめでとう! めっちゃ速いね! 流石は私の弟だね。えらいぞ~」
莉乃姉さんはわしゃわしゃと僕の頭を撫でてくる。
こういうスキンシップはずっと昔からされてたけど、そろそろ僕も高校生なんだからやめて欲しいと思わなくもない。
でも、それを前に言ったら凄くしょんぼりしたからもう言わないことにした。
不愉快ってわけでもないし。
「ありがと。これも莉乃姉さんがちゃんと配信のやり方とかを教えてくれたおかげだよ」
「ふふ~ん。これからもどんどん頼ってよね」
胸を張って莉乃姉さんは顔をにやけさせている。
凄く可愛い。
頭からぴょこんと出たアホ毛がゆらゆらと揺れていて可愛い。
なんでこんなにも可愛い莉乃姉さんに彼氏ができないのか疑問で仕方ないけど、出来たらできたでショックを受けそうなので当分は彼氏を作らないで欲しい。
泣いちゃうからね。
「そうさせてもらうよ。次は収益化記念配信とかをすればいいのかな?」
「そうだね。私も初めて収益化した時は記念配信したし、グッズも出したね。ひろくんはグッズ出さないの?」
「出したいんだけど、どうやってグッズを作ればいいのかわかんなくて」
Vtuberの人が結構な頻度でグッズを出しているのを見てはいるんだけど、どうやってグッズを作ればいいのかわからなかった僕は初配信記念グッズすら出していない。
次に収益化記念配信をするならグッズを出したいところではあるんだけど、どうすればいいからわからなかったから莉乃姉さんに聞いておきたい。
「まずはどういうグッズを出すかを決めて、そのグッズに使う絵を聖奈ちゃんに描いてもらってグッズを発注すればいいよ。で、配信でそのことを伝えればいいと思う。販売形式は絶対に受注生産ね」
「わかった。今から聖奈に相談しに行くよ。どっちみち夕飯を作らないといけないしさ」
「ん。行ってらっしゃい。気を付けてね」
莉乃姉さんのアドバイスを聖奈に話すために僕はいつもみたいに聖奈の家を訪れたが、またもやインターホンを押しても反応がない。
合鍵を使って家に入ると聖奈は部屋でペンライトを振り回して推し活に励んでいた。
推しが後ろにいることに全く気が付かずに。
「聖奈、おはよう。いや、こんばんわか」
「へっ!? なんで浩人が!?」
「そろそろ夕飯の時間だから。また、僕の配信見てくれてたんだ。ありがとね」
「ちっ、違うから! 私が描いた立ち絵がどんなふうに動いてるか見たかっただけだから!」
その言い訳は少し前にも聞いたし、両手にペンライトを握ってるし頭には例のハチマキがまかれてるからその言い訳は無理な気がするんだけど。
追及すると聖奈は拗ねちゃうし、この聖奈は可愛いからまあいいか。
「そか。それよりも相談したいことがあるんだけど良いか?」
「うん、全然大丈夫だけど浩人が私に相談なんて珍しいね。配信関係?」
「その通り。えっと、今日の配信で収益化したから記念グッズを出そうと思うんだけどそのイラストを描いてくれないかなと思いまして」
「え!? 収益化したの? おめでと! 本当にすごい」
聖奈は目を輝かせて僕に詰め寄ってきてくれる。
家を出ていないこともあって、色白で陶器のような綺麗な肌が近づいてきてドキドキしてしまう。
自然と女の子特有の甘いような匂いが鼻孔をくすぐる。
「ありがと。それでさっきも話したけど、グッズのイラストとかって描いてもらえるかな? もちろん忙しいようなら断ってくれても全然良いんだけど」
つい忘れてしまいそうになるけど、聖奈は超有名な神絵師のユッキーだ。
僕以外にも小説のイラストとか他のVtuberの立ち絵を描いたりと予定があるはず。
「いや、予定はぎっしりしてないから大丈夫だけど。どういうグッズを出すのかは決めてるの?」
「それが明確に決まってるわけじゃないんだけどさ。どういうのにしたらいいかも含めて相談に乗ってほしい」
「全然良いよ~夕飯食べながらにしない? ちょっとおなか減ったぁ~」
「わかったよ。すぐに作るから待っててくれな」
こうして、僕は聖奈の夕飯を作りにキッチンに向かうのだった。
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