異世界転移
この作品はpixivに投稿したものを少し変えたものを投稿したものです。
それは、病院帰りだった。
ぼくに向かって車が突っ込んでくる。
しかし、反応するのが遅れ、
ドォォン!!
車に撥ね飛ばされた。
耳鳴りがするほどの音が辺りに響く。
ゴムのように体がはね、洗濯機のなかにいるようにぐるぐると視界が回る。そして、ズズズと体が引きずられ、跳ねるのをやめた。
自分の腹から血が出てくるのがわかる。痛い、痛いのだが叫びが出ない。血なのか痛みでなのかわからないが、熱い。腹が熱い。目の前が、真っ暗だ。何も、見えない。生きてる証になるのは痛みと熱、それと、音。
だんだんと、痛覚もなくなっていき、熱さもしなかった。音も、徐々に遠退いていく。
ぼくはそのまま意識を失った。
目を開ける。自分に意識があり、生きていることを知らされる。
目覚め、とは違う感覚。不思議な感じで、不気味な感じ。
さっきの出来事を思いだし、ハッと顔を上げ、周りを見渡す。
そこは見覚えのない景色だった。
辺りは真っ暗で、ぼくの上からどこからともなく光が降り注ぐ。
ぼくは椅子に座っていた。
そして、ぼくの目の前に女性が立っている。
見た目は20歳くらい。身長は180cm程度。
白い布を着ていて、髪の毛はロングで白く、その髪は、光に当てられ輝いている。
背中から、翼のようなものが生えている。
ぼくから見て右側の翼が白く、左側の翼が黒い。
──例えるならば天使だろうか。
女性が口を開く。
「自己紹介をしましょう。私は、転移神『アルツ・フォローネ』」
「天界にて、死んでしまった人間を導く者です。」
転移神……?
「あなたは?」
「ぼ、ぼくの名前は『佐々木みのり』です……。」
一体ここはどこなんだ?転移神とやらがいるし、意味がわからない……。頭を抱え、悩む。が、やはり凡人には理解できない。
質問してみるのが吉かと考え、女神に質問をすることにした。
「あっ、あの……質問して、いいですか……?」
「どうぞ。スリーサイズ以外なら……。」
「興味ありませんよっ!」
まずい、反射的に突っ込みをしてしまった……。
というか神様なのに以外と変なこと言う!
「……なんで少し悲しい顔してるんですか!?いや、あの!ぼくが聞きたいのはここはどこかってことです!」
全く……。なんなんだこの人……。いや、神様か?
「ここは天界に存在する転移空間。死んだ善人を天国か異世界へと送る場所です。」
転移空間……。ものすごくかっこいい名前だ……。
あれ?
「善人……?」
「はい。みのりさん、あなたは生きている間、善い行いをたくさんしてきたはずです。」
「え?そう、なんですか……?」
ぼくってそんないいことしてたっけ?
「この転移空間にいることがなによりの証拠です。」
そう、なのかな……?
「そして、みのりさん。あなたは天国へ行くか……。はたまた、異世界へ行くか……。選んでもらいます。」
「異世界?天国?」
どういうことなんだ?
「説明が必要ですか?」
「……メリットとデメリットだけ」
説明するしてくれるのは正直ありがたいな……。
「わかりました。まずは天国から。天国は平和な空間で異世界やあなたが生きていた世界と違う場所に存在します。苦しむことはないでしょう。暇潰しもありますし。」
「しかし、暇です。」
「暇潰しあるのにィ!?」
ヤバい、また突っ込みが!
「別の生物に転生することもできますが、記憶が消えてしまいます。」
結構デメリットある感じか……。ここは慎重に選ぼう……。
「次に異世界。死んだりしますが、生きていた頃と同じようにできます。さらに、魔王を倒せば英雄扱いされてハーレムです。」
ハーレム?というか
「え?魔王?」
「はい。今現在、異世界は魔王に支配されているのです。」
「さぁ、みのりさん。選ぶのです!平和を選ぶか、新たな体験を選ぶか!」
女神は両腕を上げ、こちらに選択肢を示す。
「あの話がはやいです!というか、魔王?ぇ?魔王?」
「大丈夫です!異世界に行く場合は好きなものを一つ持っていけますので!」
「なにその『無人島に行くならなに持っていく?』みたいなそれ!」
「例えば、何かしらの『能力』とか!」
人差し指をたて、こちらに迫る。
「能……力?」
選ばれし能力とかか?
「はい。こっちで選ばせてもらいますが、もし強い能力だったら……。」
なるほど……。アリでは?
「マジすか……。じゃ、じゃあ行ってもいいかなぁ……。」
「行きます?」
「ちょっ、と待ってください……。異世界に行ったら文字読めないとかありませんよね?」
今思ったら結構異世界に行くのもデメリットあるかも……。慎重に慎重に……。
「大丈夫です!生きるのに必須な能力は転移させるときに付けますので!」
えー!めっちゃいいじゃん……。異世界ライフありでは?
「じゃあ行ってみよっかなぁ……。」
「行きます?」
「……はい。」
結局、異世界へと行く決意を示すと、一瞬、女神が喜んだように顔を緩める。が、すぐにその顔は引き締まり、真剣な顔をする。
「では、魔法陣に立ってください。」
ボワンっ、と、白く淡い光を放つ魔法陣が地面に現れた。
「す、すごい!魔法陣が……!」
ドキドキと、己の心臓が速く脈打つのが感じ取れる。
「心の準備は?」
ふー……。深呼吸して、覚悟決めて……。
「……はい!」
「では、佐々木みのりさん!無事、魔王を倒すのです!」
そう女神が言ったとき、ぼくの体が、フワッと宙に浮いた。
「う、浮いてる?!」
「みのりさん!頑張ってください!」
これでぼくはついに異世界デビュー!?
「が、頑張ります!」
こうして、ぼくの異世界ライフが始まる!
「はー……。ノルマ達成っと。」
「みのりさん。ですか……。魔王を無事倒してくれるといいですけどね」




