終わりの始まり
No8159260785 矢来 善正 14歳
21xx年 7月21日
今日も言語になっていない声が聞こえる。
ついにこの世界が青から緑になって3年。
ある宇宙飛行士は言ったらしい。「地球は青かった。」そんな言葉があったらしいが今となっては地球の大部分は緑になっているだろう。整備する人間が居なくて急に緑化が進んだ。、、、、まあ、良い意味ではないが。今の時刻は7時28分。もうそろそろ「あの」声が聞こえてくる頃だ。
「みんなおはようー!GMだよ!今日は6人も消えて、318人になりました!」
このクソみたいな声が聞こえてきた。いやなら切れば良いと思うだろうが切れない。まあ、、、、脳に直接聞こえてくるんだ。
318人。それは現在の「生存人数」。
ゾンビ化する前はついに90億人は越えようかという程「人」がいたのに、今は、、
まあいい。こんなくだらない事を考えていてもしょうがない。「今日」生き残る事を考えねばならない。だがその前に、、、
「今日のヒントはー?みんな見つけてくれないから大ヒント出しまーす!えーとっ?
1日本 2陸地 3なんかうるさそう
だよ!今日もヒントを頼りに探してね!」
おお!今日はやっと使えそうなヒントが2個あるのと、今までずっと海か海かと心配していたが、その一つが消えるヒントが貰えた。
大分大きい。今までで使えるヒントといったら、もう10....いや11.....1096日が経過し、30..3288個のヒントを貰っているのに、使えそうなヒントは5個程度しかない。海の高さよりは低い事。標高200mは超えない事。山奥ではない事。日本である事。陸地である事。アジア内である事。半径5km以内に「生存者」がきたことがない事。、、、、あと何かあった気がするが、まあいい。アジア内と言うのは日本と被っているからもう関係はない。残りは、
「っぽい」がついてたり、「かもしれない」
など信用のつかないものだ。今日も愛車に乗ってゾンビから逃げる。そして始まりを思い出す。
この世界になったのは夏休みに入る時だ。家で友達と話していたら、急にニュースにゾンビが出てきて、「夏祭りのお化け屋敷か?大分再現度高いな、、、」と思っていたら訪れた。
外から言語として成り立っていない声が聞こえた。ママとパパは仕事で、その時はまだマイクロチップ埋め込みしてから数日しか経って無かったから、電話の機能もまだ使えなく、取り敢えず自転車に乗って漕いだ。漕ぎ続けた。もう知らない土地まで来ていた。何キロ漕いだのだろうか。怖さと言うのは人間を動かす。無我夢中で漕ぎ、足がもう動かないとなってやっと気づいた。ここが一体どこなのか?あの声は一体なんだったのだろうか。その時は一切分かっていなかった。分かったのはその数日後だった。人のいない空き家に入り、「ごめんなさい」と思いながら漁った。そこには水があり、食糧があった。そしてメモらしきものがあった。数日間なにも飲まず食わずだったので、飲み、食べた。数日ぶりのご飯はどんな高級料理よりも美味しかっただろう。そして次に目が見たのはメモだった。そのメモにはこう書かれていた。
「わたしはゾンビに噛まれてしまいました
このままゾンビとなり、人に迷惑をかける程度なら自分から、、、、」もうそこからは想像通りだった。でも最後は見逃せなかった。
「、、、、もし、このメモを読んだ人がいるならば、そこの棚にある写真を家族に渡して欲しいです。私のNoは、、、」
ここまで読んで気づいた。今自分は人の命よりも重いものを何も感じず壊した。最初食糧を取るときに、棚にもないかないかと思い、乱暴に棚を探した。写真は額縁と共に落ちた。その人はおそらく人に迷惑をかけないように自分1人で人から見つからない場所で1人静かに息を引き取ったのだろう。そんな自分の命が助かる可能性だって0じゃないのに「命」を捨て、大事な家族を、大事な写真を、ゾンビになってしまってしたくないこともするかもしれないから、、、いやそんな単純じゃない。見知らぬ人まで、つまり「僕」まで気遣って守った写真を、壊してはないといえ、ガラスの破片で傷をつかせてしまった。
たった写真1枚じゃ無かった。
人1人の命の詰まった写真を
「お腹がすいた(喉が渇いた)」
などというしょうもない理由で命がかかってるわけでもない「気持ち」で、、
壊した。
許されない事をした。絶対に届ける。そして罪滅ぼしでもいいからゾンビ化させた「GM」を許さない。
たった2回しか聞いてない「GM」の声が再生された。
とても憎たらしく思えた。そしてその家の駐車場にあるバイクを操作して逃げた。父のバイクの操作を見ていたからバイクに乗るのにはそんなに苦労しなかった。
その気持ちが今生きている理由になっているのは皮肉だろうか。
今日もバイクのエンジン音が聞こえる。




