9話
裏口で次の街に入り込み計画を立てるべく、移動をしながら探索を続けていく。路地裏や道には、善人という仮面を貼り付けた信者が何人か紛れ込んでいるのだった。
そして、大体のマップ把握が終わる。1つの建物を中心として雑に建てられている。そのため、死角となる部分が多く発生している。それにより、隠密行動がもっと楽になるのだった。
「街並みの把握は終わりましたか?」
「ああ壊すのなら、南西の門だな」
中央から奥に進むほど、道が狭くなっている。そのため、混乱状態になったとしても兵士が入ってくるのに時間がかかるのだった。
「この街に優秀な兵士はいるのか?」
「んー。来たばかりなので特に何も・・・」
手をパンパンと2回拍手をする。そして、1人の女が現れるのだった。どうせ、このタイミングで現れるのは知っているものだけだろう。
「この街にいる優秀な兵士を知っているのか?」
「1人優れたものがいるわ〜」
香水臭いな。
「そいつの名前と得意武器とシチュエーションを教えろ」
「頭のいい坊やだこと、食べちゃいたいくらいよ」
「カニバは勘弁してくれ。それよりも情報を聞かせろ」
「まあいいわ。後ろのものに殺されたくないし。この中で一番優秀なのは、クリムゾンってやつよ。確か返り血の悪魔だったかしら」
「返り血の悪魔!?やつは王都で王族の護衛をしているはず」
「貴族を殴ったことでの左遷だったはずよ。もっと情報は集めなさい」
まあ、正直そこはどうでもいい。とりあえず一番聞きたいことは、弱みだ。
「そいつの弱みは?」
「んー。・・・確かこの街にいる病弱な幼子を守っていた。いや、治療のために薬や金を出して面倒を見ていたに近いかな〜。女への耐性には強いから、この美貌も役に立たないのよ」
「その幼子の病気が治る可能性は?」
「ほとんどなし。なんたって私たちが生み出した病気だからね」
「そろそろ厚化粧とその声を解いたらどうです?顔なし」
「はー?この顔結構上手に作れたんだけどな〜。あと[顔なし]は可愛くないから、[ノーフェイス]って呼びなさい。元の姿は可愛くないから戻さないわよ」
「他に気をつけるべき敵は?」
「その赤の悪魔くらいよ。得意武器は槍、けど左遷の時に呪いをかけられて使えない状態。その呪いが解けるまでは1年あったはずよ。その呪いが解かれると、王都に帰還の合図になっているはずよ。だから、叩くのなら今かしら?戦い方はそこの男に聞いたほうが早いわよ。10回は殺しあっているはずだから」
「ええ、奴のことは親の顔よりも見た敵です。奴の得意武器は槍なのはあっています。それにプラスして魔法が飛んでくることも考えていなければなりません。正面から行うよりも、奇襲をした時が殺しやすい展開となります」
それなら、奇襲が来できる状況を生み出すことはこの人にとっては容易なはず、となれば他にスキルを持っている可能性が高いだろう。それがあるから、暗殺に失敗しているのだ。
「ですが、やつが持っているスキルによって邪魔をされています。そのスキル名は[危機感値]です。何人もの犠牲を出しつつ、スキルを観察した時にその全貌は明らかになっています」
そして語られるスキルの内容はこうだった。
まず1つ目は特定の人物が危機的な状況になれば感知をする。情報伝達系の能力だ。
2つ目は、特定の人物に当たる人は3人付けることができる。1つは自分にもう1つは雇い主に、最後の1つは国王にとなっている。
そのため、王を殺すことを目的とした奇襲は失敗し、こいつが現れることになる。それが今や悪魔の力を強めている名声にもなっているのだった。悪魔って名前になっている理由がよくわからないけど…。
3つ目、自分につけた場合は、奇襲や暗殺も察知する能力になるらしい。いわゆるチートとかだ。それにより、毒殺、馬車の転落事故といったものが起きない状態になるのだった。
そりゃあ、暗殺は失敗するよなとしか思わない。そして、天啓が降りたことで最初の俺がいた街にまで戻っていたらしい。
「今度その幼子に暗殺かな?あと、王都組に連絡できる道具あるの?」
「もちろんありますとも。何をご所望で?」
「あと、この悪魔の雇い主は?」
「そちらも王都にいますよ」
「とりあえず、国王と雇い主に別日に暗殺をしてみて。悪魔の方は、要監視対象。悪魔の忠誠心は?」
「暗殺対象は分かりました。その順番は?悪魔の忠誠心はとても高いです」
「国王、元雇い主、雇い主、幼子の順番。とりあえず、俺は冒険者を続けるよ。そうだな〜。今回の名前はコールとでもしておこうかな?一応ほぼ毎日戻ってくる予定だから、その時に結果を教えてね?反応したものだけでいいから」