8話
とりあえず、一つの町が滅びることになった。といっても減った人数は数万人だ。億単位を誇る人間の千分の一にもみたない。世界的には、他の国と同様に都市に人口が集中しているタイプのものだ。
そのため、都市を滅ぼすことができれば、大きくことが進むだろう。それにはまだ能力が足りない。それと、戦争でも引き起こすことができれば、大きく人間が減ることになるだろう。だが、その場合は俺も巻き込まれかねない。
だから、今はどうしようもないだろう。燃え盛る街を離れつつ、そんなことを考えるのだった。目標は次の街に移る。討伐に動いたものや、その討伐対象であるゴブリンキングは使い捨てだ。どうでもいい。
街の中に他に生き残っているものは存在していないようだ。生者探知により、そのことが分かったのだった。そして、残っている四体のゴブリンキングをこの場所にいるように命令を出し、奪った馬車でその街を離れるのだった。
そして、持っていた冒険者のカードを燃やし、その人物が登録していたと言う証拠をなくすのだった。
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五日後
ゴブリンキングを討伐していたものが帰ってくるのだった。そしてすぐに目に入るものは、壊滅している町だ。急いで近寄り、中を確認しようとする。その場所にいるのはゴブリンキングだけであり、その人影もない。
そう、腹をすかせたゴブリンキングが全ての人間を食べたのだった。家として存在していた建物は全て破壊され、潰されている家がほとんどだ。貴族が住んでいる屋敷は跡形もなく燃えている。火が使われていたことを表している。
そして、隠密ができる冒険者が、その街の中に入り状況を確認するのだった。その冒険者が通った道を辿りながら全ての人が街の中に入っていく。そこで見たものは、血溜まりだ。地面に血が吸われ、赤く染まっている。
ここで人間が死んだことは確実だ。この冒険者は観察能力が優れている。血溜まりが一箇所にしかできていないことに気がつく。そこから領民が殺されたのが人間である可能性に行き着くのだった。
中にいるゴブリンキングが殺したのなら、追いかけられ、それから逃げるようにバラバラになって逃げるはずだ。だが、一箇所にまとまっていることから、殺したのは人間なのでは?と考えたのだ。
だが、ゴブリンキングの頭がよく、周囲を囲いながら追い詰められた可能性がある。そして、火が燃えていることで一箇所に集まる行動が加速するのでは?と考えたのだった。この二択に絞られた。
人間の手か、ゴブリンキングの手かだ。領主が他のところから怒りを買った可能性もある。だから、人間に殺された可能性が大きくなるだろう。犯行の主軸がテイマーなことから、テイマーを犯人とし近くの街にテイマーに警戒するように通達を出すのだった。
命令手段は空を飛ぶ鳥だ。空は地面よりも魔物の数が少ない。そのため、馬車や徒歩よりも早く到着することができるのだ。