7話
ゴブリンキングが討伐されると信じ、安心しているようだ。街の空気が明るく、穏やかになっている。そんな手薄になっているところに、複数体の影がやってくる。ゴブリンキングの襲来だ。
ドンッ、ドンと扉を叩く音が聞こえる。その音は次第に強くなっていく。少し穏やかになり、騒がしくなる街が一瞬にして静まり返るのだった。そして、その扉から離れるように移動を始める。
冒険者や貴族の兵士は?どうなった?そんな疑問が溢れる中、さっさと街を捨てて逃げなければならない。だが、逃げる準備もしていなかったため、何も準備をしていない状況だ。ただ、していたのは商人だけだった。
兵士が負け、この街が襲われた時に逃げるためだった。その商人の周りに多数の人が集まり、一緒に乗せてくれ!、この子達だけでも!取り囲みながらそう伝えるのだった。
この状況だともう、馬を動かすことができない。出口は三箇所存在している。そのうち、このゴブリンキングから最も遠いところに逃げようと皆必死に走るのだった。
だが、その門はすでに閉鎖されており、開くことはできない。その門の裏には、岩が設置されていたのだった。そのため、閉じている門を開けるには裏にある岩を破壊しなければならない。
強いものはゴブリン討伐に動き、この街には弱いものしか残っていない。貴族の方も、箔付けのために一緒にゴブリン討伐に動いている。誰もこの状況を収めるものが存在していないのだった。
それを見たものは一斉に後ろを向き、自分たちの家に入り運が良ければ生き残ることができるように体制を敷こうと考えたのだった。ゴブリンキングがゆっくりと、ゆっくりと近づいてくる。
そして、家の中に逃げ込もうとしていた時だった。街全体に火が放たれる。黒いローブを着た集団がその家々の屋根上に立ち、見下ろしているのだった。
ここ最近多くなってきている人間狩りの集団だ。討伐依頼も出ているほどで、誰がこの集団なのかもわからない状況だった。それ故に厄介だ。目的はわかっている。人間の全滅、これが狙いだというのはバレている。
だが、人数や場所がわからないため、殺しに行くことが不可能だ。
「邪神教・・・」
誰かがそう呟くのだった。おそらく冒険者の一人だろう。その呟きと同時に、邪神教の情報が頭の中をすり抜け、表に出る。情報や噂を知っているもは震えながら、許しをこう。
中には仲間に入るから命を許してくれ、と言い出すのだった。
「司教様」
邪神教の一人が膝を突き、許しを得たのか耳打ちをする。その内容は、入り口付近のオークキングに向かってきた冒険者の全滅だ。時間の余裕が生まれるのだった。
「さあ問おう。仲間になりたいものは膝を突き首を垂れろ」
一瞬の判断の後に首が下げられる。それと同時に首を下げなかったものの首が飛ばされるのだった。
「その心は本物か、今見極めよ。その邪の心を持つもの、その全ての魂を頂かんとす」
広範囲の魔法を発動させようとするのだった。その内容は、嘘をついているものは自動での皆殺しだ。その嘘をついた内容、それは仲間になるかどうかだ。仲間になるといったものが本心であれば、その体は残る。
だが、その本心が嘘であれば、死ぬ。それだけのことだ。さあ判別は?全員が嘘だった。ということで死刑執行だ。首が切断され、胴体の前に落ちていく。それと同時に体が爆ぜ、肉塊とかした。
その場に落ちた肉の塊から溜まっていた血がゆっくりと地面に落ち、深くドロドロとした水たまりを作っていくのだった。
邪神教の司教、この懸賞金は、日本円で一兆と破格の懸賞金がつけられている。そして、二つ名は審問官だ。この能力がその名を表しているのだった。