6話
side冒険者ギルド
「ゴブリンが、森から出てきた模様!」
先ほどの兵士が息を切らしながら、ギルド内に入り大声を出す。ギルド内はざわつき始めるのだった。オークキングと戦うとは誰も想定していないのだから、そうなるのは当然のことだ。
「被害は!?」
「子供が1人!」
「もう出ていたか・・・」
ギルドの受付の裏から、1人の髭を生やしたおっさんが出てくる。人間を食べた熊が人間の味を覚え人喰い熊になるように、他の魔物もその可能性を秘めている。
「総員!ゴブリンキングの捜索に移る!動けるものは俺に従え!」
「おお!!!」
夕暮れの日が沈み出す直前にこんなやり取りがされていた。
「貴族のところに話は持っていったのか?」
「はい!貴族の兵士と協力することになりそうです!」
「ありったけの食糧を集めろ!」
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side主人公
「まずは一人目の討伐おめでとうございます。次のターゲットはどうしましょうか?」
「最初の作戦通りにだ」
「かしこまりました。ところで何のスキルを手に入れました?」
「探知系だ」
「なんとも優れたスキルですね!神もあなたの誕生と成長に祝福をなされているのでしょう」
「御託はもういい」
「お前の千里眼ではどんな感じだ?」
「少々お待ちを・・・。ただいま、貴族邸では武器の手入れと馬車の準備、冒険者は武器の調達や食糧の調達ですね。探索に行くのも時間の問題かと」
「現在のゴブリンキングの数は?」
「8体です」
「食糧の売り出しは?」
「闇市まで手を伸ばしているので順調ですね」
ゴブリンキングは通常一つのコロニー(棲家)に一体だけだ。だが、増やすにも裏技が存在している。数百のゴブリンがいる集落にはゴブリンキングが生まれる。なら、そのキング種が消えた場合どうなるのか?それはゴブリンキングが新たに生まれると言うことだ。これを繰り返していくと、キング種の大量生産をすることができた。
その全戦力をこの街を滅ぼすのに当てる。最低限の守備ができるように、何人かは中に残っているのだろう。と言っても最大戦力と比べると見劣りするのは必須だ。チャンスは今回だろう。方法がバレると、対策をされてしまう。だから、対策をされる前に殺せばいい。
どこかに逃げようとする馬車も準備されている。情報力が高い商人だろう。荷物は全て捨て、金と食料だけで逃げようとしていたのだった。最速で出て行き、これ以上数を増やされないようにするために、冒険者と貴族の兵士をまとめたグループはゴブリンキングがいる森の中へと向かうのだった。