3話
転生した姿は、ただの少年のキルだ。生まれたばかりのころ、教会にて鑑定の儀を受けることで、その所持しているスキルが判明する。いわば、その所持している最初のスキルで全て決まるのだった。
今回の最初のスキルは、テイムスキルだった。魔物使いや動物使いがもつとされているスキルだ。少年キルの出生は、スラム街の少年だった。今、復讐劇の幕が上がる。というわけでもない。何人かの協力者は既にいる。というか、あの邪神にも信者が存在しているようだ。獣人を滅ぼそうとするグループ、エルフを殺そうとするグループ、魔人(魔族)を殺そうとするグループそして、1番人数が多いとされているのは、人間を滅ぼそうとするグループだ。
その教会に拾われ、殺人鬼へと仕立て上げられる。まあ、外で最初に死ぬよりかはまだマシだろう。無理やりではあるが、1体の魔物のテイムは完了している。凶暴だが、薬によって精神を落とし込み、テイムしたものだ。
危険度で言えばベテランが倒すことができる程度のものだ。いろいろな場所に、この人類を滅ぼそうとするグループは存在している。もちろん、要注意人物図鑑というものが追加されており、年々少しづつではあるが増えているようだ。剣聖であったり、賢者であったり、教皇であったりとさまざまだ。何より、転生者という言葉を目にする。やはり、俺以外にも転生者が存在しているようだ。
スラム街の人間で、生きていく上ではコネで何かしらの商隊に入るか、役職で生産ギルドに入る必要がある。だが、キル少年はコネもスキルもない。その結果、入ることになるのは冒険者ギルドだった。まあ、ありきたりというところだ。才能がないもの、宝を求めて冒険したいもの、強くなりたいものがこの場所に集まる。
少年が入ってきたが、誰も気に留めることはない。誰もが通ってきた道だ。身なりからそんなスラムの人間だというのがわかるのだろう。哀れみの目を向けてくる。そんな中、1人の青年がつかかってくるのだった。
「そこのちびっ子。俺様を誰だと思っている?貴様を仲間に入れてやろうと言っているこの俺様の名前を言ってみろ」
痛いお子ちゃまの登場だ。大体での背の高さから推測をすると、7歳程度というのが基本だろう。
「誰?」
「バーン様だ覚えておけ!」
「登録して」
そう受付嬢に言うのだった。ここで変に敬語を使っても怪しまれるだけだ。適当に命令語を使う方が怪しまれない。
「小さい子だねー。ちゃんとご飯を食べてるのかい?登録だね。名前と持っているスキルを言いな」
「キル、スキルはテイム」
「冒険者の説明をしておくよ冒険者はZから上がっていってAが最後になるよ」
「最初に受けるべきは?」
「薬草摘みかしら?3回こなすことで1つ上に上がるから頑張ってこなすんだよー」
そう言いながら受付をしていた人から言われるのだった。薬草摘みは常時張り出されている依頼だ。誰でも受けることができ、金額は1回こなせば、1日を最低限で生きていくことができる金額が書かれている。
継続してすることができるのか?や投げ捨てないかを見るためのテストのようなものだ。2日間かけてそのクエストを行うことでランクがYに上がる。Aになるには国から認められるほどの実績が必要になるらしい。どうせ滅ぶんだ。関係のないことだ。だが、自身の強さを表すにはちょうどいい指標になる。格下かどうかを見極めることがある程度は容易になるな。