2話 転生と依頼
暖かで少し薄気味悪い光に当てられ、目をこすりながら体を起こす。
「マブっ、つーかどこだ?ここ」
白く、ただ白い空間が視界の隅から隅まで広がる。無の空間だ。登り道も下り道のない、ただの平行線のような空間だ。動いても、動いても見える景色は変わらず、気が悪くなりそうだ。
「めんどくさ、進むだけ無駄だろ」
そう言いながら地面に座り込む
(これが地獄とかか?変化がないものの方がきついだろ)
目の前の空間に穴が開き、1つの黒い羽が落ちていく。そして、地面に当たると同時に色付くのだった。
「やあ、やあ犯罪者君。君に指令を与えよう」
「拒否権はないやつだろ?早く言え」
「少しは脳の処理がおかしくなるだろうと思ったんだけどなー。そうだねー。僕の名前は適当に邪神ちゃんとでも呼んでねー」
気が抜けるような、語尾を伸ばす喋り方だ。
「僕が管理している惑星がねー。人間が多くなりすぎて、邪魔なんだよねー。だから全部の人間を殺してほしいんだよー」
「1部残せとかじゃなくてか?」
「全部かなー。文明そもそものリセットだよ?君がいる地球でもよく行われていたことだよ?全部殺し終われば、こっちで建物の破壊をしておくから大丈夫だよ」
「破壊と再生は表裏一体か」
「そうそう、他の神は理解してくれないんだけどねー。で受けるの?」
微笑みながら話していた神の顔が一瞬にして真顔に変わる。
「ああ、もちろんだ。」
「世界の仕組みの説明をしておこうか。世界の名前とかどうでもいいから、システムの説明をしようか。まず、ゲームとかであるようなレベルアップは存在していないからねー。ステータスで殴るとかはないよ?つまらないからね。代わりにある程度の生き物を殺すとスキルが獲得できるよ。ちなみにこのスキルはランダムだよ。その神の陣営ごとにスキルが違うからねー」
「お前のスキルは何が手に入る?」
「気になる?」
「ああ」
「なんと、全部だよ」
「さて君にはこの世界に転生をしてもらうよ」
急に2体に分裂をする。
「まだ、話していないこともあるよね?」
「あった?」
「人間を殺しても」
「「スキルを手に入れることができる」」
「忘れていたよ、ありがとうねー」
殺す用の種族リストと書かれた紙を渡される。残っている種族ごとの人数や一番近くにいる方角を示す矢印が書かれている。
「これに書いているものを全て殺すことで、君の依頼は達成だよ」
「ステータスを見れば確認できるからねー。早めに全滅させないと、ゴキブリのように増えていくからねー。めんどくさいこと極まりだよ」
「最後にしつ」
「「良き、殺人ライフを」」
そう言いながら足元に穴が開き、落とされる。