12話
王都に到着した日の夜のことだ。
あの神からもらっていた人間図鑑のようなものを開き、転生者の情報を見る。見たい内容は転生者のスキル構成だ。
転生者特典で、何かしらの能力を有している可能性がある。その確認をしておこうと考えたのだった。
「転生者、転生者…」
そのページを開き、能力を確認する。やはりチートスキルを持ってして生まれてきたようだ。
「チートスキルはレベルアップか…。それよりも、今いるのは王都か」
運がいいのか、悪いのか。転生者が現在いるのは、王都だったのだ。運命の悪戯だろう。
転生者のチートスキル「レベルアップ」の効果は、魔物を殺すことで経験値に変え、自分のステータスを上げるというものだ。この世界の住人であれば、そのレベルアップは異質だ。
レベルアップではなく、スキルを獲得できるのが基本の世界でレベルアップはチート以外の何者でもない。
[スキルだけの世界で、俺だけレベルアップだった件]とかの本が書けそうだな。なぜこいつがここに来ているのかを知る必要もあるな。
その辺りのことを聞いておく必要があるな。暗殺ギルドのことだ。情報系のことも知っているだろう。地図には丁寧に本拠地も出ている。そのため、道に迷うことはなく、暗殺ギルドにまで行くことができるだろう。
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「そういえば、冒険者ギルドへの挨拶とかはいらないよな?」
「もちろんですとも。依頼できているのであれば、必要ですけどそれ以外なら異質ですぞ」
とりあえず、暗殺ギルドへと向かうか。屋台で軽い朝食をとり、路地裏にある喫茶店に足を運ぶのだった。
その店の中はあまり人がおらず、クッションに腰掛けコーヒーを飲んでいるものが多いのだった。寂れた喫茶店といった感じだ。カウンターの右から3つ目の席に座る。
「お客さん、注文は?」
「ブラックコーヒーで」
「砂糖は?」
「大量、…いや甘すぎるのは苦手だからやっぱりなし」
「ミルクはどうします?」
「少し、味が変わるくらい」
「個室にご招待しますね」
「ああ、頼む」
これが情報屋兼暗殺ギルドへの合言葉だ。そして、奥の個室へと案内されるわけもなく、地下通路へと案内されるのだった。このあたりの地区は、暗殺ギルドが所有している土地だ。そして、表向きは澄んでいる人に貸し出しを行なっている。
自分達で作り出したのだった。そのため、地下の通路はバレていない。そして、少し進むのだった。
「合言葉は?」
二段階警備だった。そのため最初の暗号を聞いたものが入ってきたとしても、ここで帰らされるという仕組みになっているのだった。もちろん、洗脳を施してだ。
そのため、一般人がこの場所を知っていることはないのだった。
「我らは闇、この世の全てを覆い隠すほどの闇だ。人間の血で染まった時に、その正体はあらわとなる」
なんとも厨二くさいセリフだろう。考えた人の頭でも殴って訂正させたいところだ。