11話
王都へと移動を開始するのだった。その際に司祭から、紙を3枚ほど預かった。
そのうち、1つは書かれているのは王都のマップについてだった。広い紙で、几帳面に折られているのがよくわかる。紙質は良いが、良すぎても疑われるため、外から見るには品質が低く見えるように細工されているのだった。
そして、残り2枚は挨拶の書かれた紙と今後の指示内容だろう。偽装を避けるために、開封をしてはいけないと言われているのだった。
多くの人が乗っている馬車に乗り、王都へと移動を開始する。
「坊主は、何しに王都へ行くんだ?」
「学校ですね」
「商社の人間だったか…」
貴族は自分の馬車を持っており、その馬車を使うことで移動をしているのだろう。そのため、共同馬車に乗っているような人間を貴族と勘違いすることがないのだった。
「今は冒険者として家出中ですけどね。あなた方は?」
「俺たちは冒険者ギルドでの仕事探しってところだな」
「依頼の数が少ないですからね〜」
今は世界中が平和と言っていいほどの空気感だ。そのため、傭兵業や兵士として動くような対人戦をメインとして動く人にとっては仕事がないような状態だった。
そんな人たちが依頼を受けるため、地方の方では仕事が減っていく。その皺寄せが隣の街へと続いていくのだった。だが、活気あふれる王都となれば、依頼がなくなることはない。
さらに鉱山が近くになることから、鉱山掘りの依頼があるのだった。しかもいい金属が出れば、依頼料とプラスして大量の金を手に入れることができる。
そんなわきあいあいとしながら、王都へと移動をするのだった。およそ3週間を掛けて、王都に到着するのだった。
特に検問されることはなく、冒険者のカードを見せることですんなりと通されるのだった。世界中で使われているカードだからこその信頼度といったところだ。
「では、またどこかで!」
そう言いながら冒険者の人たちに手を振り、別れを告げるのだった。良い子を演じるのは辛いものだ。
あの密室の状況で全員を殺すことは困難だ。弓使いを装っていることから、魔法で奇襲を仕掛けると1人は殺すことができただろう。だが、それだけだ。乗っている全員を殺すことはできない。そのため、うずうずしながらもおとなしくしていたのだった。
王都に到着したことから、路地裏から目的としている店にたどり着くのだった。大々的に、雑貨屋として活動している商店だ。農業具から調理器具まで幅広い品揃えを誇っている。
入ってくるやいな、奥の部屋にまで案内された。
「司祭様から、お話は伺っております。この家を自由にお使いください。また、王都のことについては我々にご相談を…」
そう言いながら、軽い会釈をしてくるのだった。
冒険者ギルドの近くなことから、大きな暴動は起きることがない。そのため、安全な場所なのだ。そのため、大きなことが起きれば疑われかねない。だから、行動する前に何かしら伝えるように釘を刺されているのだった。
「まずは、暗殺ギルドの場所かな?」
「とりあえず、今日は遅いので明日お伝えしますね」