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1話 死刑執行
その男は裁判所の法廷に立っている。
「〇〇被告の判決は死刑とする」
(あーぼやけて何も耳に入ってこねー。バレる前にもっと人を殺救済しておけばよかったなー)
大量殺人の容疑で捕まっていた存在Aに判決が言い渡される。弁護士は弁護のしようがなく、匙を投げるのだった。そのため、弁護士はおらずこの判決は確定となる。その8年後のことだ。首を吊り、死刑が確定した。
ガコンッと被告人が立っている足元にある蓋が開く音が聞こえる。そして全身が宙を浮き、重力に従い地面に引き寄せられる。落下を始めた自分の体重を支える最後の鍵は、その首元にぶら下がっている縄だ。それがかえって自分自身の首を締め付け、呼吸ができなくなる。
意識がだんだん薄れていく。唾を飲み込もうも、縄に遮られ口の中に残り、口からこぼれ落ちる。酸欠による痙攣も始まる。ただ、人間の生きとし生きる本能が縄の隙間に指をはめ助かろうとしているのだった。だが、その抵抗も虚しく首が吊られ、完全に抵抗する力がなくなる。その抵抗していた腕は太もも横に添えられるのだった。