苦言
愛のムチ
私はあまり受けたことが無い
そもそも叱られることが少ない、ほぼ無かった
末っ子として生まれ、姉たちより何もかも出来がよかったので親からは可愛がられ褒められた
その反動で姉には散々いじめられたが
それは、嫉妬の嫌がらせであって、愛のムチではなかった
学校でも優等生で勉強も運動もできて、友人関係で困ったこともなかった
部活ではキャプテンで、クラスでは学級委員だった
先生には期待されて叱咤激励されることはよくあったが、ムチではなかった
先生どうしの張り合いで、隣のクラスの担任に攻撃されたことはあったが、それも足を引っ張ろうとされただけで愛のムチとは違った
その人のために、苦言を呈する
耳が痛い愛の言葉を贈る
自分が言う側なら数えきれないほどある
両親に、姉たちに、友人に、伝えてきた
愛のムチと、理解してくれたのだろうか?
耳触りのいい言葉を言うこともできる
相手の欲しがる言葉は、手に取るようにわかる
きっと、人の心につけいることは簡単だ
大人になって、人間関係をスムーズにするために、要領よく切り抜けるために言葉に気を遣う、お世辞を言うことが多くなった
一時期は、本心をいっさい言えなくなったりもした
紆余曲折を経て、今は、心からの言葉を発するように心がけている
おべんちゃらを言う気も無い
おべっかも使わない、お世辞も言わない
素直に思ったことを、伝える
ポジティブな言葉を使い、愛と感謝を伝える
自分がそうしていると、周りもそうしてくれる
世界は、心の映し鏡
私と関わる人に対して、苦言を呈する時
親しい間柄にしか、言わない
通りすがりのおじさんに注意したりはしない
求められてのアドバイスが一番いいのだが
独身時代は、いつも友人の恋愛相談を受けていた
結婚に導いたカップル数組
結婚相談所でもやろうかな
私、男性を見る目には自信があるので
親になって、ママ友たちの親子関係で意見を言うこともあったが、これはハードルが高い
家庭の問題に口を挟むことはマナー違反という、暗黙の了解の上に成り立つ友人関係
子どもの友人関係にも影響が出るので、
相当仲が良い場合に、慎重に言葉を選んで伝えるくらいだった
自分の考えを伝える
自分が良いと思うことが、必ずしも相手の望む答ではない
それでも、その人にとってもその人の周囲にとってもよくないと思ったら、伝える
身内や親しい友人の怒りを買い、拒否されることもあった
私も、傷つき悲しい気持ちになった
が、必ずその後で相手から関係の修復を望まれる
(正直、私としてはもう懲り懲りなのだが)
おずおずとお詫びの品を手に近づいてくる
どういう経緯があって、どんな考えに至ったのかはわからない
勝手に怒って離れていって、また勝手に戻ってくる
私はいつも通り接するだけだ
嫌われることを恐れていない
だって、愛のムチだから
それで離れていくならそれまでだ
時間がかかっても、わかってくれたならそれは、とても嬉しい
これからも、私は苦言を呈する
私なりの愛を伝える
愛と、感謝を伝えて生きていきたい