episode 9
どうも、ノウミと申します。
まだまだ作品数、話数としては少ないですが、これから皆様の元へ、面白かったと思って頂けるような作品を随時掲載していきますので、楽しみに読んでいただければと思います。
沢山の小説がある中で、沢山の面白い作品がある中で私の作品を読んでいただけた事を“読んでよかった”と思っていただける様にお届けします。
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「どうしたのその足?」
どうして会いたいときに会えないのに、このタイミングで……。
一番、会いたくなかったよ。
「練習中に転んじゃってさ、へました」
必死に顔を作れ、声を振り絞れ。
情けない姿を見せたくないだけだ。
元気な演技を続けろ。
「そうなんだ、大変だったね」
「そうでもないよ、2~3カ月で治るし」
そんな簡単なもんじゃない。
でも感情を表に出すな、耐えろ。
話しを何とか変えるんだ。
「そういえばどうしてここに?」
確かに気になった、こんなところで会うのは珍しい。
「あの日以降会えなかったから驚いたよ」
少し嫌味に聞こえたかもしれない。
でも、それぐらいは言いたい気持ちがある。
あの日から僕は、あの場所で待っていたのだから。
でも、そんな僕の言葉はすぐに公開することになる。
「実はね、ここに入院してるの」
「えっ」
「もう長くないんだって、私」
「それ…って」
悲しそうな表情を浮かべる流川さんを、見ていられなかった。
すぐに言葉を取り消したい。
もっと違う言い方をしたかった。
あんなことを言ったのだ、次の言葉が出ない。
「体の調子がいい時だけ、気分転換に公園に行ってたの」
そんなこと知らない、聞いてない。
言い訳ばかりが募り、何も答えれない。
「ごめんね、あの日行けなくて」
「いや、それは…ごめん」
そんな言葉しか出なかった。
それ以上の言葉は、何も思い浮かばない。
「じゃあ私、検診があるから行くね、またね」
そういって流川さんは病院の中へ消えていく。
僕は、その背中を見ることすらできなかった。
一度出してしまった言葉は消えません。
消す代わりにそれ以上の何かを与えることはできます。
また次話でお会いしましょう(^^)