06 オーク討伐
次の日、しっかり休んだ俺たちは、アジャケ村に向かうため馬車を手配した。馬車に揺られていると、アキトがモラに話しかけた。
「そういや、モラ姉さんはどうしてオーク討伐を?」
「ちょっと欲しいものがあってね。だから私の邪魔はしないでねん」
モラにウインクされてアキトはメロメロだった。見てられん。
俺が呆れていると、馬を引いている男が話しかけてきた。
「お兄さんたち、この先のアジャケ村に行くのかい?」
「はい、そうですけど」
「なら、気を付けた方がいいよ。ここのところ、魔物が活発化しているからね」
「わかりました。ありがとうございます!」
魔物の活発化。俺はそのフレーズが気になった。コルポ村でのドラゴンとの戦い。森で襲ってきた大蛇。もしかしたら何か原因でもあるのか?
俺は考えてみたが、答えは出なかった。すると、モラが肩を叩いてきた。
「タクト君、あまり考えこんじゃだめよ? きっと後々わかってくるわ」
「そうですね……」
「さぁ、お兄さんたち。アジャケ村に着いたよ」
「ありがとうございました!」
俺がお礼を言ったら、男は頭を下げて行ってしまった。俺たちは村に入ると、とても静かだった。コルポ村となんか違うな。
「村の人いないっすね」
「どこかにいるかもしれないから、手分けして探そう」
「それはどうかしら」
「モラさん?」
「皆、オークにおびえて家の中にいるんじゃない?」
「……しかし、家の中にも人の気配はないぞ?」
ずっと黙っていたツルギが話し出した。どうやら意識を集中していたらしい。
「一応村長の家に行ってみよう」
そして俺たちは村長の家に向かった。そこは明かりもついていて人の気配があった。
「よかった。誰かいるみたいだ」
俺が中に入ると、数人の大人の女性と子どもが何人かいた。
「これはこれは、冒険者の方たち。よくいらっしゃいました!」
奥に座っていた老人がこちらに近づいてきた。女性たちはざわついている。
「俺たちオークを討伐に来ました」
「おぉ! それは有り難い。見ての通り村の男たちは、オークを倒しに行ってそのまま帰らないのです」
多分、その人たちはもう……
俺が俯いていると、ツルギが口を開いた。
「……恐らく、その者たちはすでに殺されているであろう。帰ってこないのがその証拠だ」
「ツルギ!」
「タクト。事実は隠しておくわけにはいかぬ。ちゃんと伝えなければ」
俺がツルギに掴みかかろうとすると、老人がそれを制した。
「大丈夫です。うすうすわかっておりました。しかし、このままではこの村までオークがやってきてしまう。お願いです。どうか、オークが来る前に退治してください」
老人は両手をついて頭を下げた。続いて村の女性たちも頭を下げる。
「あぁ、どうか頭を上げて下さい! もちろんです! そのために俺たちは来たんですから」
「ありがとうございます!」
俺は老人から手を握られた。
そして俺たちはオークのいる村の外に向かった。村の外には森があり、オークはそこにいると言われた。
「さーて、いっちょやりますか!」
「張り切ってるな、アキト」
「そりゃそうっすよ。今度はちゃんと俺も戦いますからね!」
「うん。頼りにしてるよ」
俺の言葉にやる気が出たのか、「よっしゃーっ!」と言って走り出してしまった。
「あらあら、元気がいいわねぇ」
「……あれは単に単純というだけでは?」
「ははは……」
俺たちが話しながら森に入ると、先に行っていたアキトが走って戻ってきた。
「どうした、アキト!」
「お、オークの群れがすぐそこまでやって来てるっす!」
「なら、早く仕留めてしまいましょうよ」
俺たちが構えていると、ガサッと音がしてオークの群れが姿を現した。オークは、巨大な体に大きな牙を持った豚の頭の魔物である。
「ぐへへへ……また人間がやって来たぜ。返り討ちにしてやろう!」
オークの中で1番巨大な奴がそう言うと、他のオークはそれに応えるように雄たけびを上げてこちらに向かってきた。
「ひえぇっ! こっちきたっすよ!」
「いくぞ、皆!」
俺たちは全員駆け出した。
「はあぁっ!」
俺は持っていた大剣を振って応戦する。しかし数が多い。アキトやツルギも苦戦していた。
「このままじゃまずいな……そういえばモラさんは?」
俺が辺りを見回すと、少し後ろでモラは弓を構えていた。
「あなたたち、ちゃんと避けなさいね!」
モラはそう言うと矢を放ってきた。それは見事にオークの頭に命中した。
「さぁ、どんどんいくわよん!」
モラの矢は次々とオークの頭や体に命中した。体に当たったオークは苦しんでいた。
「あれ、絶対矢だけの痛みじゃないっすよね……」
「私の特製毒矢よ。後からじわじわきくわよ」
「恐ろしいっすね……」
「アキト! しゃべってないで戦ってくれ。弱ってる今がチャンスだ!」
「り、了解っす!」
「あ、それから何体かのオークの頭は残しといてくれるかしら!」
「わ、わかりました!」
それから俺は1番大きなオークと戦うことにした。そのオークにもモラの矢が刺さっており息が荒かった。どうやら毒がきいているらしい。
「おのれ、人間の分際で……」
「お前たちは少しやりすぎたんだよ」
俺の言葉にオークのボスは高笑いをした。
「はははっ! やりすぎだと? 人間は敵だ。そして俺たちの食料になってもらうのだ!」
「そんなことはさせない!」
俺は一気に駆け出した。オークのボスは、持っていた斧を振り上げた。俺はすかさず大剣で攻撃をした。それにボスは斧で応戦する。
しばらく打ち合っていると、背後から矢が飛んできた。モラの毒矢である。それは体に刺さり、ボスは悲鳴を上げた。
「これで終わりだ!」
俺は大剣でボスの首を切った。ボスの頭は地面に落ち、体は力なく後ろに倒れた。アキトやツルギも何体か倒しており、残ったオークたちは逃げ出していた。
「もう悪さするんじゃないぞー!」
「これでしばらくは大丈夫かな」
「……1番上の奴がいなくなったんだ。もう統率はとれんだろう」
「だったらいいんだけど……」




