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12 団長との一騎打ち

 俺と団長の一騎打ちはもう始まろうとしていた。俺たちは互いに剣を構える。

 少しの間お互いじっとしていたが、先に動いたのは団長だった。

「先手必勝っ!」

 団長はそう言うと、何度も剣の打撃を入れてきた。俺は難なくそれを受け止める。

「おらおら、どうした! タクトも攻撃してこいよ!」

「え、いいんですか? はあぁっ!」

「何?」

 団長のお許しが出たので、俺は大剣で団長の剣を振り払った。すると、勢いが出てしまったためか、団長が吹き飛ばされた。

「お、お前……一体何をした?」

「俺は何もしてませんよ。ただ剣を振るっただけです」

「そんなことあるか! それなら俺が吹き飛ばされるわけがない。なんかインチキしただろ!」

 いやいや、してませんて。俺が呆れていると、団長は意識を集中させる。

「ならば、これならどうだ。サンダーボール!」

 いくつもの雷の球が俺に向かってくる。しかし、俺は大剣でその球をどんどん斬っていく。斬った瞬間爆発した。

「おっと。目くらましか」

 俺が大剣を構えると、横から団長の剣が現れた。

「くらえっ!」

 しかし、俺はそれを難なく避ける。団長が呆気に取られていたので、俺はすぐに大剣で団長の剣をはじいた。

「しまった!」

 団長の剣は、はるか遠くに飛んで落ちた。

「終わりです、団長。俺の勝ちです」

 団長はその場に膝をついた。

「アマネは俺の仲間です。だからもう、ちょっかいかけないで下さい」

「仲間だと? あいつは元々俺の所にいたんだ。連れ戻しに来て何が悪い?」

「だったら、アマネの気持ちを考えてあげてください」

「うるさい! 俺に指図するな!」

「団長……」

「もういい……お前に関わった俺がバカだった。そうだな、もう何もかも終わりにしてやる」

 団長はそう言うと、懐から赤い大きな石を取り出した。

「団長、一体何を……」

「言っただろう。終わりにするってな!」

 すると、団長の体や顔に黒い模様が現れた。そして、その周りを光が包みこんだ。それは真っ赤な光だった。

「団長!」

 俺は近づこうとしたが、光に阻まれ近づくことが出来ない。

「ちょっと! 一体何が起こってるのよ!」

 様子がおかしいのがわかったのか、アマネたちが近づいてきた。

「団長は一体どうしたの?」

「わからない。なんか赤い石みたいなものを取り出したらこうなっていた」

「……それはもしや魔王の石かもしれん」

「魔王?」

「……魔王と契約すれば、その証に宝石のような石を手に入れることが出来るらしい。団長殿は契約してしまったのだろう。もう後には引けん」

「」ツルギ……

「……なんだ、アキト」

「今回はよくしゃべるんすね」

 アキトが感心していると、ツルギは無言でアキトの頭を殴った。

「あいたっ! 何するんすか!」

「……知らん」

「2人とも話してないで、ここにいる人たちの避難を頼む! 他の皆も頼めるかな」

「わかったわ、任せなさい」

「わかりました。タクトさんも気を付けて」

「お姉さんも協力するわよ?」

「皆、ありがとう。じゃぁ頼んだ!」

 そして、俺を残して、アキトたちは走り出した。

「アマネさん、兄貴大丈夫っすかね。相手魔王なんでしょ?」

「大丈夫。タクトなら平気よ。だって強いんだもの」

「それはそうっすけど……」

「心配はわかるけど、今は私たちに出来ることをしましょう」

「は、はい!」


 アキトたちが他の人たちを避難させてくれたおかげで、広場には俺と団長だけになった。あ、魔王もか。

「さて、どうしたものか。一応、広場に結界をはっておくか」

 俺は意識を集中させて広場全体に結界をはった。

「これでよし。さぁ、団長。もう俺たちだけですよ」

 俺がそう言うと、真っ赤な光はだんだん弱くなっていった。そして、団長とその後ろに大きなツノと獣のような顔と体をした魔王が立っていた。というか、飛んでいた。

「な、なんだあいつは……」

「我が名はギガノス。魔王である」

 あ、よかった。会話が出来るのね。俺が少しほっとしていると、団長が口を開いた。

「ギガノスよ、俺の魂はくれてやる! だからあいつを倒せ!」

 団長が俺を指さすと、ギガノスは目から赤い光線を出してきた。

「おっと!」

 俺はなんとか避けたが、俺がさっきいたところは焼けて黒ずんでいた。

「マジか……」

 そして、ギガノスはどんどん光線を出してくる。これじゃ、近づけない。

 俺がギガノスを見ると、さっき団長が持っていた赤い石が胸の所にあった。

「あれを壊せば……」

 俺は心を決めて駆け出した。ギガノスの光線を避けながら、近づいていく。

「させるか!」

「団長、すみません!」

 団長の剣を避けて、そのまま俺は団長を踏み台にしてギガノスまで飛んだ。

「我に近づくでない!」

 また俺に向かって光線を出してきたので、俺は大剣でそれを受け止める。

「くっ! 魔王は大人しく魔界に帰れーっ!」

 俺は光線を振り払い、赤い石めがけて、大剣を突き刺した。すると、一気にひびが入り、粉々に砕けた。

「ああぁぁーっ!」

 ギガノスは悲鳴を上げて消えていった。団長は気を失ってその場に倒れた。

「魔物たちが活発化していたのは、ギガノスが影響していたからかもしれないな……」

 全てが終わった俺は、静かに空を見上げたのだった。


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