10 ゴーレムとの戦闘
ゴーレムたちはこちらに向かって大きな岩をいくつも放ってきた。
「うわわっ! こっち来るっすよ!」
「……うろたえるな、少年よ」
「だってツルギ! あれ、けっこうでかいっすよ!」
「……問題ない」
ツルギは意識を集中させると、刀を抜いた。
「……剣の舞」
ツルギが刀を振ったら、岩が真っ二つに割れた。
「うそでしょーっ! あれ岩っすよ?!」
「……だから言っただろう。俺に斬れぬものはない」
「すごいぞ、ツルギ。よし、皆行くぞ!」
「おーっ!」
そして俺たちは一気に駆け出した。アマネは後方で援護にまわってくれている。
「清き水たちよ、かの者を貫きなさい。ウォータートルネード!」
アマネの呪文で水の攻撃がゴーレムを襲った。ゴーレムは一瞬よろめいたが、すぐに拳を突き出してきた。
それは勢いよく俺とたかしに向かってくる。俺はすぐに避けたが、たかしは持っていたタテでゴーレムの拳を受け止めた。
「たかし!」
「だ、大丈夫です!」
たかしはそのタテでゴーレムの拳を振り払い、持っていた巨大な槍を突き出した。
「はあぁっ!」
たかしの攻撃はなんとかきいているようだった。しかし、他のゴーレムたちも攻撃をしかけてくる。
「しょうがない、強化魔法!」
俺は自分に強化魔法をかけた。俺が駆け出すと、素早さが高まっているためゴーレムたちは目で追えず戸惑っていた。
「これで仕留める!」
俺は大剣を振り下ろした。すると、ゴーレムの体にひびが入った。他のゴーレムたちにも打撃を与える。だんだんとダメージが蓄積されたらしく、ゴーレムはよろめいていた。
「後は任せた!」
「兄貴、さすがっす!」
「わかりました! はあぁっ!」
たかしたちの攻撃でゴーレムたちは消え、代わりに宝箱が現れた。
「ふぅー。なんとか終わったな」
「ではでは、早速宝箱あけましょうよ!」
「こら、アキト! それはタクトの役目でしょ!」
アマネが止める間もなく、アキトは宝箱に手をかけた。
「こういう時って、案外宝箱のモンスターだったりしますよね」
たかしの言葉にアキトの手が止まる。そして俺を見て開けるよう促してきた。
「や、やっぱりここは兄貴があけてください」
「お前なー……」
そのやり取りを見て、ツルギは呆れ、アマネとたかしはくすりと笑う。
そして、俺が宝箱を開けると、中にはたくさんの水晶が入っていた。
「わー! これ全部売ったらいくらになるんすかね?」
「だめだよ。これは依頼された品なんだから」
「ちぇー……」
アキトがすねていると、アマネがステッキを振った。
「なら早くそれを届けましょう。どこに向かえばいいの?」
「これは、街の集会所でいいみたいだよ」
「わかったわ。じゃぁ行きましょう」
俺は袋に水晶を詰めていった。アマネは意識を集中させ、また魔法陣を出した。
「ほら兄貴、急いで!」
「おまたせ! さぁ行こう」
そして俺たちはワープする。アマネのおかげで一瞬で街の集会所に着いた。
「はぁ……人数制限はないけど、転移魔法はやっぱり疲れるわ」
「じゃぁアマネは中で休んでてよ。俺が届けてくるから」
「ありがとう。そうするわ」
俺たちは中に入った。アマネは近くの椅子に腰かけ、ツルギとアキトも一緒にいることにした。
「そうだ、たかしもこのクエストやるって言ってただろ? これ、分けようか」
「いえ、それはタクトさんが提出してください」
「え、でも……」
「あの時1番戦ったのはタクトさんです。それに、僕はもっと一緒にタクトさんと戦いたいです!」
「そ、そうなの? 俺は構わないけど……」
「ありがとうございます。さぁ早く持っていきましょう」
俺はたかしに促され、受付に水晶を提出した。
「はい。確かにクエスト完了ですね。お疲れさまでした」
そして俺たちはアマネたちのところに戻った。
「よかったっすね。これで持っていたクエスト全部終わりましたよ」
「そうだな。また新しいの探すか。あ、それとたかしが新しく仲間に加わることになりました」
「よろしくお願いします!」
たかしが頭を下げると、アキトがずいっと前に出てきた。
「じゃあぁ、これからは俺が先輩ということでよろしくっすよ。で、レベルはいくつっすか?」
「僕は45です」
「ちなみに、私は50よ」
たかしとアマネのレベルにアキトはショックを受けていた。
「ガーン! 俺が1番下じゃないっすか!」
「でも、僕より先に入っていたから先輩ですよ?」
「ありがとうっす……でも、余計むなしくなるからやめてくれっす……」
「……調子に乗った罰だな」
ツルギの一言でアキトはまたショックを受けていた。それをたかしが肩を叩く。
気づいたらたくさん仲間が増えたな。今はここが俺の居場所なんだ。俺が静かに微笑んでいると、誰かから声をかけられた。
「やぁ、タクト! 久しぶりだな」
俺が振り返ると、とてもガタイのいい大柄な男がこちらに手を振っていた。それは前のパーティーの団長だった。