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症候群✕症候群  作者: ひみこ
Karte07 『空から女の子が』症候群
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第42話 『空から女の子が』症候群⑥





「もう! 先にちゃんと説明してください! 先生はいつもいつも急すぎるんですよっ!」


「悪かったよ。急がないとタイミングを逃してしまうところだったんだ」


 よく考えれば先生が意味もなく人殺しなんてするわけはなかった。でも先生は症候群の事となると常識が通じない時があるからいつもハラハラさせられてしまう。

 先生は誤診であると認めたものの要経過観察と判断。

 私たちは王女の後を見守ることにした。

 

 王女を助けた男は名前はケビンという。

 どこかの騎士団崩れの剣士だったようで、そこそこは戦えるものの、王女を狙う敵と戦うには圧倒的に力不足だった。

 先生やナナコさんが気づかれないように二人の逃避行を助けて回る必要があった。

 王女とケビンさんはなんとか無事に国外に逃げられたものの、どんどんと追い詰められていっていた。



「お前らの相手はにゃにゃコがするにゃ!」


 王女たちを追う大量の追手を分断するようにナナコさんが飛び出した。

 追手は三〇名以上しかも見た目では分かりづらいが全員が剣などで重武装され、戦闘に特化した特殊部隊だ。その前にたった一人で立ちふさがるナナコさん。

 目を金色に輝かせて飛び回るナナコさんの動きは目で追うことすら難しく、あっという間に一〇人程を地面に転がしてしまった。

 ナナコさんは残りの追手も簡単にあしらうとそのうちの一人を捕まえて捕虜にした。

 

 ――あの子、あんなでたらめに強いのにどうやって捕まったんだろ……


 先生の指示通り、捕虜に聞き込みを行った結果、追手は王宮の親衛隊らしい。

 これも先生の診断通りだ。

 ナナコさんが失神するくらいまで脅したんだけど、誰からの指示かはわからずだった。

 ナナコさんが追手のほとんどを引き受け、三名ほどになった追手が相手にも関わらず、もたもた逃げていた王女とケビンは追い詰められ、とうとう最後には王女を逃がすためにケビンは捕まってしまったのでした。


 






「先生、無事でしたか!」


 王宮内にある来賓用の小さな部屋で私とナナコさんはすでに白衣を着ている先生と合流した。

 先生はこの国の王族ともなにかコネクションを持っているらしい。もう驚かないけど。


「二人ともご苦労さま。ここまでは問題なく進んでいるよ」


「でも、ケビンさんが捕まってしまいましたし、まだ黒幕もわかっていませんよ?」


「黒幕は第二王子だ。正確に言えば第二王子の母親とその側近だな。君たちと交戦した親衛隊は王族のみが扱える近衛部隊だ」


 先生はすでに黒幕を突き詰めていた。

 この国では女王も認められており、王位継承権を持つことが出来るという。

 言ってみれば今回の騒動は、次期王位継承権第一位の王女と第二位の第二王子の後継者争いだった。

 ただ、王女の味方は後ろ盾の貴族が没落し、第二王子の母親が政権獲得に貪欲だったことが今回の闘いの火種となった。


「ん? 近衛部隊? それってかなりの精鋭部隊なんじゃ……」


 先生は「そうだ」と肯定する。そんなもの相手に一人で、しかも私というお荷物を抱えたまま圧倒していたナナコさんの戦闘能力は一体どうなってるんだろう。いくら獣人族が人間より運動神経が少々高いとは言ってもさすがに強すぎる気がした。先生が前に言っていた通り、ナナコさんはなにか特別な能力を秘めているんだと思うけれど、ナナコさんの方はと言うと、別に何かを気にするようでもなく大きな欠伸をしていた。


「まずはケビンくんを救うために王女はどうするかが│《ポイント》だ。ここでケビンくんを見捨てるようであればやはりボクの誤診。『空から女の子が症候群』としては軽度なもので治療の必要はなくなる。だが、もし、王女がケビンくんを助けようとするようであれば……」


「重度の症候群の可能性がある、と?」


 私の問いに先生は頷いた。


「さあ、今晩が山場だ。ケビンくんは明日には王女誘拐の罪で死刑が確定することになっている。もちろん第二王子陣営の差し金だ。王宮内での勢力は第二王子側が優勢なようだね。王女の協力者は王宮内にも外にもほとんどいないようだ。となればケビンくんを助けに行くのは王女自身しかいない」


 ケビンさんは地下牢とは別の場所。王宮の西の塔の最上階に幽閉されているらしい。さながら捕らえられたお姫様だ。ケビンさんは男だけど。






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