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恋する乙女は何を思う?  作者: カルロス
第1章.貞操逆転世界
6/30

6.それぞれの想い

今回はさくらとひまわり視点となります。


 さくら視点



 その日の帰り、陽子は部活動の見学に行くというので、私は一人で帰ることにしました。


 思い出すのは、陽子が太陽くんの腕をとって、名前でお互いを呼び合っている光景…


 うらやましい。そんな感情が私の中を支配していく。


「私も、名前で呼んでもらいたいな…」


 私は一人、そうつぶやいた。


 一体どうすれば、私も名前で呼び合うことができるのかな…


 そう考えるも、陽子がしたみたいに彼に直接呼び方を変えてもらうように伝えることくらいしか、方法は思いつかない。


 でも、緊張しすぎて話すのでさえやっとだったのに、そんなこと直接言うなんてムリだ!


 結局、答えは出ないまま、時間だけが過ぎ去っていく。




 しばらく歩いていると、後ろから声がかけられる。


「ヤッホー、さくらさん」


 忘れることのない、彼の声だ!


「あ、太陽くん…」


 私は太陽くんに話しかけてもらえた嬉しさと、下の名前で呼んでくれない悲しさで、心の中が支配される。やっぱり、名前じゃ呼んでくれないよね…


 そんなことを考えていると、顔に出ていたのか彼が心配してくれる。


「さくらさん、なんか調子悪くない?さっきからボーっとしているように見えたけど…」


「い、いいえ、大丈夫ですよ」


「大丈夫そうな顔には見えないよ?何かあった?」


 そんな風に優しく接してくれるだけで、私の心は満たされていく。それと同時に、名前で呼んでほしいという思いも、強くなっていく。でも、あなたに名前で呼んでもらいたいんですなんて、私の口からはとても言えない。


「うーん、なんでもないです」


「本当に?無理してない?」


「ありがとうございます。大丈夫ですよ、本当に」


 私はこれ以上彼に心配をかけないように、無理矢理笑顔を作る。


「もし何かあったら、いつでも話してくれよ。俺はさくらさんの味方だからね」


 でも、せっかく無理矢理作った笑顔も、さくらさん、という言葉を聞いただけで、崩壊していく。


「心配かけてごめんなさい。ほんとに大丈夫ですから気にしないでください」


 これ以上この話題を続けても私が傷つくだけだ。何とか話題を変えないと。


 そう思っていると、彼の方から話題を変えてくれた。でも、その中には私が聞きたくない単語も含まれていた。



「陽子とは中学一緒だったんだよね?帰りは一緒じゃないの?」







 陽子のことは、名前で呼ぶのに…







「…陽子は面白そうな部活動がないか見学に行ってますよ。あとで走って追いかけてくるって言ってたので、もうしばらくすると来るかもしれませんね」


 できるだけ、顔に出さないように注意しながらも、私は彼との会話を続けていく。




「おーい、光くん、咲ちゃん!」


 しばらく歩いていると、陽子が後ろから追いついてきた。


 また、彼らが名前で呼び合うのを見せつけられることになるのか。


 私の中で、黒い感情が噴き出してくる。


 ダメだ、こんな気持ち彼にばれるわけにはいかない!


 私は周りからはバレないように、唇を噛んでこの気持ちを痛みでごまかしていく。


 そうしていると、彼から話しかけられた。


「さくらさんは何か部活やるの?」


「私はどうしようかな…文芸部とかも興味はあるけど、運動部も悪くないんだよね」


 まだ入りたい部活が決まっていなかった私は、彼が運動好きだと言っていたのを思い出し、そこまで興味もないのに、運動部もありだと答えてしまった。


「じゃあさくらさんも一緒に見て回る?」


 彼と一緒にいることができる。それだけで私の選択は決まっている。


「ではご一緒していいですか?」


「もちろん!」


 私の心の中は、彼との予定ができた喜びと、二人が名前で呼び合う光景をまた見せつけられるのかという気持ちで、乱れ狂っている。





 そうこうしていると、駅に着いた。どうやら彼も同じ方向のようだ。


 そのことを知った陽子が、彼に声をかける。


「ねえねえ光くん、もしよかったらだけど、明日からは私達と一緒に登校しない?」


 ん?私…達?私も一緒に行っていいの?


 陽子は彼と二人きりになりたいんじゃなかったの?


 そんなことを考えていると、彼からあまりにも魅力的な提案がありました。


「いいね!じゃあお友達の印に連絡先交換しとこうか」


 嬉しい…


 でも、私は名前で呼び合う陽子に対する嫉妬と、陽子のおかげで連絡先を入手することができた喜びでおかしくなってしまいそうです…





 そうこうしていると、彼とのお別れの時間となりました。


「じゃあ俺はここで降りるから、また明日な!」


「またねー、光くん!」


「また明日。太陽くん!」


 何とか、最後には笑顔を出せたと思います。












 そして私は、陽子と二人きりに…






 陽子視点



「はじめまして!太陽 光です!身長は173cm、趣味は体を動かすのが大好きです!みなさんと一緒に色々な事を経験したいなと思っています!好きな色は赤色です!たくさんの友達を作りたいので、じゃんじゃん話しかけてください。これから一年間よろしくお願いします!」


 彼を始めて見たとき、この人はあたしの運命の人だ!と確信した。


 しかも、じゃんじゃん話しかけてほしいと言ってくれている。


 あたしは、行動あるのみだ!と積極的に彼にかかわることにした。


「こんにちは、太陽くん。あたしひまわり!じゃんじゃん話しかけてって言ってたから早速話しかけに来ちゃった!」


 早速話しかける。咲ちゃんも隣にいるので、話しかけやすいのもあり、あたしのテンションはうなぎ登りだ。


「陽子は私と同じ中学から来た親友なんですよ」


 咲ちゃんがあたしのことを紹介してくれる。親友なんだ。きっとあたしが彼に一目ぼれしたのが分かったのだろう。応援してくれている。そう感じたあたしは、さらに積極的に彼にアピールしていくことを決心する。


「はい、そうです!咲ちゃんにはいつもお世話になってます。太陽くんも仲良くしてね♪」


 私は、できるだけ愛想のいい顔をしながら、彼の腕をとる。


 彼の腕は、運動が得意なだけあって、筋肉質でとても固く、女の腕ではありえないような感触を返してきた。


 まだまだあたしのアピールは止まらない!あたしはさらに勇気を振り絞る。


「苗字呼びだと距離感じちゃうから光くんって呼んでいい?あたしのことも陽子って呼んで♪」


「お、おう!」


 !!!!!!!!


 流石に無理かなって思っていたけど、彼は予想外にもOKしてくれた。


 嬉しい。あたしの気持ちはそれだけでいっぱいになった。


 あとは、彼と予定を作らないと…


「光くん、今度一緒になにか運動しよう!私と一緒なら、もっと楽しく運動できるはずだよ♪」


 彼は体を動かすのが大好きだと言っていた。これなら彼も混ざりやすいだろう。


「うん、いいね!陽子と一緒なら、いつもより楽しくなりそうだよ」


 あたしの学園生活は、幸福に満ちたものになるだろうと、あたしは信じて疑わなかった。





 その日の帰り、あたしは部活道見学で少し帰りが遅くなってしまった。


 今から走って追いかければギリギリ追いつけるかな…


 そう思ったあたしは咲ちゃんと合流するために駆け出した。





 しばらく走っていると、前に咲ちゃんが見えてきた。隣には光くんも一緒みたいだ。


 もしかして咲ちゃんがあたしのために時間を稼いでくれていたのかな?


 さっすが親友!あたしが喜ぶことを分かってくれてる!


 おかげであたしは光くんの横へと並んで帰ることができた。


 ありがとう!咲ちゃん!









 咲ちゃんはあたしのことサポートしてくれてるみたいだし、これからも3人で行動したほうがいいかもしれない。


 そう思ったあたしは、早速光くんとの約束を取り付けることにした。


「ねえねえ光くん、もしよかったらだけど、明日からは私達と一緒に登校しない?」


 すると、光くんからのお返事はとても魅力的なものだった。


「いいね!じゃあお友達の印に連絡先交換しとこうか」


 いきなり連絡先ゲット!!


 もうちょっと仲良くなってからじゃないと難しいかなって思ってたけど、まさか光くんの方から提案してくれるなんて!


 そんなやりとりをしていると、あっという間にお別れの時間がやってきた。


「じゃあ俺はここで降りるから、また明日な!」


「またねー、光くん!」


「また明日。太陽くん!」


 そしてあたしは咲ちゃんと二人きりになった。






「咲ちゃん、光くんかっこよかったね!」


「うん、かっこよかった!」


 咲ちゃんには光くんのことで色々と手伝ってもらったけど、あたしは何も返せていないような…?


 咲ちゃんもやっぱり光くんのことはよく想ってるみたいだし、あたしは咲ちゃんにも幸せになって欲しいんだよね。


 だから、咲ちゃんにもあたしの幸せをおすそ分けしてあげる♪


「咲ちゃん、よかったら明日の朝早めに集まって作戦会議しない?」


「作戦って、なんの作戦?」


「そりゃもちろん、光くんボディタッチ大作戦だよ!」


「…え?」





 こうして、あたしと咲ちゃんは同盟を組むこととなった。



さくらとひまわりがこれからどうなっていくのか、作者も楽しみです(笑)

次回もとあるヒロイン視点を予定しています。ストーリー進まなくて申し訳ないm(_ _)m


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