5.帰宅
書きたい内容はいっぱいあるけど、ストーリーが追いついていないからかけないもどかしさ。
その日の帰り、優一は早速サッカー部の見学に行くということで、俺は一人で帰ることにした。
誰か知ってる人とか周りにいないかな?そう思って辺りを見渡すと、隣の席のさくらさんが視界に入った。
俺はさくらさんの方に駆け寄り、声をかけることにした。
「ヤッホー、さくらさん」
「あ、太陽くん…」
さくらさんは振り向くと、少し驚いた顔をしたが、すぐにシュンとしてしまった。
少し様子がおかしいな…何かあったのだろうか?
「さくらさん、なんか調子悪くない?さっきからボーっとしているように見えたけど…」
「い、いいえ、大丈夫ですよ」
「大丈夫そうな顔には見えないよ?何かあった?」
せっかくの美少女も、笑顔が曇っていれば台無しだ。できれば彼女にはずっと笑顔でいてほしいもんだ。
「うーん、なんでもないです」
「本当に?無理してない?」
「ありがとうございます。大丈夫ですよ、本当に」
ほぼ初対面だし流石にこれ以上は踏み込めないかな。できれば話してほしかったけど、無理して言わせるものでもないしな。
「もし何かあったら、いつでも話してくれよ。俺はさくらさんの味方だからね」
あれ、一瞬だけどまた表情が曇ったな。なんなんだ?
「心配かけてごめんなさい。ほんとに大丈夫ですから気にしないでください」
頑なに大丈夫と言い張るさくらさん。でも明らかに様子が変だし、これからも少し気にかけておくか。
そういえば陽子は一緒じゃないのかな?聞いてみるか。
「陽子とは中学一緒だったんだよね?帰りは一緒じゃないの?」
「…陽子は面白そうな部活動がないか見学に行ってますよ。あとで走って追いかけてくるって言ってたので、もうしばらくすると来るかもしれませんね」
そんな会話をしながらも俺たちは駅に向かって歩いた。
「おーい、光くん、咲ちゃん!」
しばらく歩いていると、後ろから声がかかってきた。どうやらほんとに走ってきたみたいだ。陽子は俺達に追いつくとさくらさんとは反対側の隣にやってきた。
「あ、陽子だ。どうだった?面白そうな部活見つかった?」
「うん、今日はテニス部を見に行ったんだけど、なかなか楽しそうだった!でもまだ他の部も見てみたいから、明日も見学に行くつもり」
「そっか、陽子に合った部活が見つかるといいね」
テニスか、面白そうだけどやったことはないんだよな…
俺も近いうちにどこかに見学に行かないとな。
「光くんは何か入りたい部活あるの?」
「うーん、そうだな。何か運動部に入ろうとは思ってるけど、具体的に何に入るかはまだ決めてないんだよね。何か見つけるまでは俺も見学かな」
「そっか。よかったら一緒に見学しない?色々な部活を見てみるのもきっと楽しいよ!」
「お!いいね!じゃあ明日にでも見てまわろっか!」
「やった♪」
こんな美少女と一緒に部活動とか、男子からの嫉妬の視線が針のように突き刺さりそうだな…
「さくらさんは何か部活やるの?」
「私はどうしようかな…文芸部とかも興味はあるけど、運動部も悪くないんだよね」
ほう。さくらさんは運動もできる人なのか。おしとやかな雰囲気だったから少し意外だ。
「じゃあさくらさんも一緒に見て回る?」
「ではご一緒していいですか?」
「もちろん!」
よし!これで美少女二人と予定ができたぞ!今から明日の放課後が楽しみだ!
そんな会話を続けているうちに、駅についてしまった。美少女と過ごす時間はあっという間だ。
二人とも家は同じ方向のようで、一緒の電車に乗ることになった。これはもうデートといっても良いのではないだろうか。
話を聞いてみた感じ、どうやら俺よりも遠い駅で降りるようだ。
「ねえねえ光くん、もしよかったらだけど、明日からは私達と一緒に登校しない?」
なんだろう、めっちゃモテてるみたいに感じちゃうな。
…頼んだらヤラせてもらえないかなぁ。
そんな気持ち悪いことを考えてしまったが、多分まだ友達としか思われてないんだろうなぁ。
ま、それでも嬉しいものは嬉しいけど。
…てか一緒に登校するなら連絡先聞いておいた方がいいよな。
「いいね!じゃあお友達の印に連絡先交換しとこうか」
俺たちは電話やチャットができるアプリで連絡を取り合うことができるようにしたのだった。
美少女二人の連絡先を入手できるなんて、入学初日から幸先がいいな!これで高校生活の青春は約束されたようなものじゃないか!
そんなことを思っているうちに、最寄りの駅についてしまった。
「じゃあ俺はここで降りるから、また明日な!」
「またねー、光くん!」
「また明日。太陽くん!」
俺は電車を出ると、少し肌寒さを感じた。陽射しの力強さが少しずつ増しているようだが、風に吹かれると体がほんのり震える。だが、心が晴れやかなせいもあってか、歩いて帰るのが気持ちよく感じる。
駅の周りには樹木や花壇があり、風に揺れている。日差しがそれらにあたると、キラキラと輝いているように見える。
そして、目の前に広がる街並みも明るくて綺麗だ。新しい高校生活が始まるという気分に、胸が高鳴る。
これから何が起こるかわからないけど、とりあえず今日は家に帰ってゆっくりと休もう。
そんな気持ちで、俺は家路についた。
俺が家に帰りつくと、廊下から妹の声が聞こえてきた。
「おかえりなさい、お兄ちゃん!今日はどうだった?」
妹はニコニコと笑みを浮かべ、こっちに向かって歩いてくる。お出迎えしてくれるなんて、何か心境の変化でもあったのだろうか…
「今日は楽しかったよ。早速新しい友達ができてな」
「え、そうなの!?」
そう言うと陽菜は急に抱きついてきた。今日は本当にどうしたんだ?
俺が戸惑っていると、陽菜が大事な事を確認するかのように聞いてきた。
「…新しい友達って、男の子?女の子?」
「女の子だよ。まだ友達だけどね」
「…そっか。ちなみにどんな人か聞いてもいい?」
俺の友達がそんなに気になるのか?
俺はそんな陽菜の言動に違和感を覚えながらも、質問に答える。
「二人いるんだけど、二人ともかわいらしい女の子だよ。一人は優しそうな感じで、もう一人は明るくて、一緒にいると元気が湧いてきそうな人かな」
一瞬、抱きついている陽菜の腕に、グッと力が込められたような気がした。一体何なのだろうか。今日は朝から変だったし、もしかしたら昨日何か悪いものでも食べたのかもしれない。だとしたら同じものを食べてる俺にも影響がありそうなものだが…
「今日はどうしたんだ?もしかして具合でも悪いのか?」
「…んーん、大丈夫!お兄ちゃんこそ疲れてるだろうし、今日はゆっくりしてていいよ」
そう言って陽菜は自分の部屋に戻っていった。
妹の様子は気になるが、考えても答えは出てこない。俺は考えるのをやめて、自分の部屋に戻ることにした。
………おかしい。これはどう考えてもおかしい!俺の部屋には、服や書類が散らばっていたはずだ。なのに、なぜ、こんなにもきれいになっているのだろうか。
もしかして、これも妹の仕業か?
俺は深呼吸して自分を落ちつけながらも、妹の部屋の前に来た。
「おーい、陽菜。俺の部屋が綺麗に片付いてるんだが、もしかして掃除してくれたのか?」
「うん!お兄ちゃん大変だろうと思ってやっておいたよ!これからは私が毎日掃除してあげるね!」
一体俺の妹はどうしてしまったんだ…
次回はまたヒロイン視点でやる予定です。
本来なら主人公がここで貞操逆転世界にいることに気が付く予定だったのですが、気付かせないのも面白いかもと思ったので、妹ちゃんがおかしくなったと勘違いさせてみました。
…妹ちゃん、ごめんな。
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