28.ボウリング(後編)
うーん、難しい…
今までどれだけお色気成分に助けられてきたかがよくわかりました。
俺たちはその後もボールを投げ続け、1ゲーム目が終了した。
それぞれのスコアはこんな感じだ。
うめにゃん : 74点
ゆうくん : 98点
まなちゃん : 162点
ひまちゃん : 148点
さくちゃん : 62点
スケベ : 154点
残念ながら1位は真奈美先輩となってしまったが、何とか汚名返上できたといってもいいのではないだろうか。
最初のミスさえなけりゃ1位だったのになぁ。
「ぐわぁ、真奈美先輩が強すぎる!」
「へっへ~ん♪私ボウリングも結構得意なんだよね!」
「よし、何とか最下位は免れたにゃ!」
「あうう、皆さんうますぎませんか?」
「うーん、いい線いったと思ったけど、3位かぁ」
「うっわ、こんな点数初めてとったかも…」
それにしても優一、一体どうしたんだ?
普段は200点まではいかなくても、それに近いぐらいの点数は取れてただろ?
優一の反応を見るに、こっちの世界では苦手だった…なんてこともなさそうなんだけどな。
「優一は本当に今日は調子悪いな…具合でも悪いのか?」
「い、いや、そんなことはないんだが、イマイチ集中できなくてな…」
へぇ、珍しいこともあるもんだな。それこそ体調不良を疑ってしまうわ。
少しの休憩をはさんでから2ゲーム目を開始する。
「次こそは1位とるぞ!!」
そして結果はこの通りだ。
うめにゃん : 64点
ゆうくん : 125点
まなちゃん : 167点
ひまちゃん : 141点
さくちゃん : 73点
スケベ : 149点
先輩には勝てなかったよ…
「ええい、3ゲーム目からが本番だ!!」
熱くなってきた俺は、上着を脱いで本気モードに移行する。
「「「「…………」」」」
あれ?なんか急にみんな静かになったな。
「太陽君、その首元…」
「ん?どうかした?」
「い、いや、何でもない…」
みんなの視線が首元に集中していることに、俺は気が付かないかった…
そして3ゲーム目。
現在8フレーム目で、それぞれの点数はこんな感じだ。
うめにゃん : 52点
ゆうくん : 84点
まなちゃん : 126点
ひまちゃん : 108点
さくちゃん : 42点
スケベ : 119点
やばい 今回も勝てないかもしれない。
いや、駄目だ 気持ちで負けるわけにはいかない。俺は何としてもこの試合で勝ちたいんだ。
集中しろ、集中するんだ!
中央のピンに狙いを定めて、フォームを意識しながらボールをスイングする。
ゴロゴロと転がるボールを見ながら、俺はボーリングの神様に祈る。
ボールは中央の線にまっすぐ沿うようにして転がっていき、やや右側から中央のピンに当たって、そのまま周りを巻き込んで全てのピンが倒れていく。
「よっしゃ!ストライク!」
そしてそこから俺の快進撃は始まった。
9フレーム目もストライク。10フレーム目の1球目、2球目も俺はストライクを出し、3球目は8ピンを倒すという結果になった。最終的な点数は以下のようになった。
うめにゃん : 85点
ゆうくん : 140点
まなちゃん : 175点
ひまちゃん : 126点
さくちゃん : 84点
スケベ : 207点
そして 3ゲームの合計得点はこうなった
うめにゃん : 223点
ゆうくん : 363点
まなちゃん : 504点
ひまちゃん : 415点
さくちゃん : 219点
スケベ : 510点
「よっしゃ 俺が1位だ!」
「あーん、ギリギリのところで抜かれちゃった!」
「あうう…私が罰ゲームですか」
「さて、それじゃ早速、咲の好きな人を教えてもらおうかな」
俺がそういってニヤリとしながら咲に近づく。
「あの、その、ごめんなさい」
そう言って咲はトイレに向かって走り出した。
「太陽君、さすがに今のは残酷すぎるよ…」
「え?何が?」
もしかしたら俺のことが好きなのかも?とは思っていたが、本人の前で言わせるのってそんなに残酷なことかね?
「だから、その、首元!その赤いマークはあれでしょ?その、キスマーク、だよね?」
「えっ?」
何のことだ?
真奈美先輩はカバンから手鏡を取り出し俺に渡してくる。
俺はその鏡を受け取り、自分の首元を確認する。
そうすると確かに赤いキスマークのようなものがそこにはあった。
こんなの、いつの間に?
虫にでも刺されたのかと思ったが、全然痛みや痒みはない。
もしかして咲はこれを見て俺に彼女がいると思ったのか?
そうか!もし咲が俺のことを好きなのだとしたら、確かに俺はかなり残酷なことをしてしまったのかもしれない!
なら急いで追いかけて誤解を解かないと!
さくら視点
私、何やってるんだろ…
いたたまれなくなって、つい逃げ出してしまいました…
光くんの首元にあった赤いマーク、アレって、キスマーク、ですよね?
てことは、光くんにはすでに結ばれてる人がいるハズ…
そんな人に、告白するなんて私にはできません!
それよりもその相手の人、一体誰なんでしょう?
陽子かな?って一瞬思いましたけど、それならさっき、思いを伝えればうまくいくかも…なんてセリフは出てこないと思うんですよね。
あとは真奈美先輩とか?
光くんはよく真奈美先輩のことを見てますけど、二人を見ている感じ付き合ってるってわけじゃなさそうでしたし…
もしかしたら私たち以外にも仲のいい人がいるのかな?
…妹ちゃんに、聞いてみましょう!
私は妹ちゃんにメッセージを飛ばしてみます。
《いきなりですみませんが、光くんって私たちの他に仲のいい人とかいるんですか?》
するとメッセージはすぐに帰ってきました。
《小さい時からずっと仲良しだった女の子が一人だけいるよ》
…そうだったんだ。
《そうでしたか、ありがとうございます。急に変なこと聞いちゃってごめんなさい》
《気にしないでいいですよ》
はぁ…
確かに光くんはイケメンだし、性格も良いしで周りの女の子がほっとかないとは思ってましたけど、実際に確認してみると、やっぱり落ち込んじゃうなぁ。
もういっそのこと、消えてしまいたい・・・
そんな風に思っていると、電話がかかってきた。相手は、光くんだ。
今だけは、声を聞きたくないなぁ。
でも、無視するわけにもいかないよね…
意を決して、私は電話に出ます。
「………もしもし」
「よかった!繋がった!」
光くんの声には、すこし安堵が混ざっているように感じました。
心配、かけちゃったかな…
やっぱり光くんは優しいね…
「あの、ごめんなさい。急にお腹が痛くなってしまって、思わずトイレに駆け込んでしまいました!」
私はできるだけ明るめの声を出します。
「えーっと、1つ言いたいことがあってな」
今は、そっとしておいてくれないかな…
「あの、それって、トイレが終わってからではダメですか?」
「ダメだ!今すぐ言いたいんだ!」
「うええっ!?」
「さっき真奈美先輩から鏡を貸してもらって、首元を確認しろって言われたんだけど、なんか赤い跡があってさ。少なくとも俺には心当たりがなかったから、虫にでも刺されたんだと思うんだけど、もしかしたら勘違いさせちゃったかな?って思って…」
そんな必死にごまかさなくてもいいのに…
私、もう光くんには他に女がいるって知ってるんですからね?
「そんな嘘つかなくても大丈夫ですよ。光くんは、他に付き合ってる人がいるんですよね?」
「付き合ってる人なんていないよ!確かに俺の周りには可愛い女の子がいっぱいいて、目移りしちゃったりもするけど、その、咲のことだってキレイな人だなって、俺は思ってるよ」
……………
はぁ…
もう、いいや。
「ありがとうございます。ちょっとトイレから出るので、一旦電話を切ってもいいですか?」
「ああ、わかった」
そう言って通話を切ります。
そしてトイレから出ると、光くんが目の前で待っていました。
「よかったよ、でてきてくれ…」
何かを言おうとしていた光くんの唇を、私は問答無用で奪います。
「!?!?!?」
「私の心を弄んだ罰です!しっかり責任とってください!!」
主人公には毎日一緒にお風呂に入っている仲のいい子(妹)がいるからね。
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