24.ダーツ、裏での駆け引き
できるだけ盛り上げようと頑張ってみました。
さくら視点
《ピロン♪》
「ぅーん…」
時間は早朝、私はまだ気持ちよく寝てる時間帯です。こんな時間にメッセージなんて、一体誰?
普段なら無視して寝過ごすのですが、今日はなんだか気になって、段々と目が覚めてきました。
いつも置いてあるところからスマホを取って、メッセージを確認します。
「ん?友達ではないユーザー?」
一瞬迷惑メッセージの類かと思い、そのまま画面を消そうとしましたが、チラッとだけ内容が目に入り、私の脳は一気に覚醒しました。
《こんな朝早くにごめんなさい。太陽光の妹の太陽陽菜といいます。起きた時でいいのでメッセージいただけますか?》
光くんの妹ちゃん!?
もしかして光くんに何かあったの!?
そんな不吉な予感とともに、私は急いで返信します。
《メッセージ見ました。私はさくら咲です。何かありましたか?》
もし光くんに何かあったら…
そう思うと、私の心は不安でいっぱいになります。
連休初日から光くんと会えると楽しみにしていた昨日との気持ちの落差に、私は目眩を覚えるほどでした。
しばらくして、妹ちゃんからメッセージが届きます。
《単刀直入に聞きますが、最近お兄ちゃんの制服に女の人の匂いが残ってるんです。何か心当たりはありませんか?》
そのメッセージを見た途端、スマホを持つ手が震え、目の前が一瞬真っ白になったかと思いました。
一瞬だけど、心臓が止まったんじゃないでしょうか…
毎日満員電車で毎日おっぱいを押し付けてます。なんて当然言えるはずもなく、私は返信を打つ指が止まってしまいます。
ああ、一体なんて返せばいいのでしょう…
そんなことを考えていると、まるでそれを見透かされたかのようなタイミングで、メッセージが届きます。
《私は別に咎めようと思ってこのメッセージを送っているわけではありません。なので正直に言っていただけますか?》
ああ、これ誤魔化せないやつだ…
《多分ですが、私と親友の匂いだと思います》
私は正直に言うことにしました。
そしてしばらくして、こんなメッセージが届きました。
《そのことには目をつぶるので、私と取引しませんか?》
ひまわり視点
《そのことには目をつぶるので、私と取引しませんか?》
そのメッセージを見た瞬間、あたしはまるで蛇に睨まれたかのような、極度の緊張感に包まれた。
ひえーっ、悪魔だ!
でも、でもでも、その取引とやらを断れば、私たちが電車でセクハラしていることが、周囲にバレてしまうかもしれない。だから、その取引を受けるしかないのだ。
「あたし、あたし…大丈夫かな…」
取引の具体的な内容は分からないけど、こうやって逃げ道をふさいでから取引を持ち掛けるなんて、やり方がえげつないよぅ…
だって、もしこの提案を断ろうものなら、その時は私たちの秘密を周囲にバラすから覚悟しとけよ?と脅しを仕掛けているのだ。
うう、これから先、光くんのご家族とうまくやっていけるかなぁ…
その取引の内容はこうだった。
最近女性に対してあまりに無防備になった光くんに、他の女が近寄らないようにガードしてほしい。また、近寄った相手の情報をわかる範囲で教えてほしい。というものだった。
確かに、光くんはあまりにも女子に対して無防備だ。
妹ちゃんが私たちにお願いしてきたのは、自分じゃ介入することが難しい学校での出来事やクラスメイトとの交流などの時に、光くんを守ってほしいということだ。
そこだけ聞くとお兄ちゃん思いの妹なんだけどなぁ。
光くんたちと合流し、世間話をしながら過ごしていると、早速私たちの出番がやって来た。
真奈美先輩がありえないくらい露出した状態でやってきたのだ。
光くんの視線は、ある部分へと集中してしまっていて、他のことは見えていないみたいだ。
電車でいつも押し付けているからわかるけど、光くんはどうやら女性の身体に興味があるようだ。
だけど、あんな規格外のおっぱいまで興味があるなんて!
どうにかして苦言を入れて、着替えてきてもらわないと…
でも残念ながらその試みは失敗してしまった。
他でもない光くんが、その露出魔的な服装にオッケーをだしてしまったのだ。
うう、こんなのどうやって守ればいいのさ…
光くんの暴挙はそれだけでは収まらないかった。
「じゃあ1位の人が、最下位になんでもいうことをきかせられるってのはどうだ?」
「「「「「ええーーー!!!」」」」」
みんなが驚いたけど、あたしたちは違う意味で叫んでしまった。
もう、どうしてそんなにもサービス精神旺盛なのよ!
これが普段なら絶対喜んでいるのに、今朝の妹ちゃんとの取引のせいで、喜ぶどころじゃなくなっちゃった。
こうなったら、あたしと咲ちゃんのどちらかが1位になって、光くんを守るしかない!
ヤバい…
どうしよう、マジでヤバい!
ゲームが開始してからずっと、真奈美先輩が高得点をたたき出し続けているのだ。
真奈美先輩、絶対ダーツ経験者でしょ!それも結構ガチなタイプの!
うう、こんなことならあたしたちのどっちかがビリを狙えばよかった!
ちなみに現在の得点はこんなところだ。
1位 棉花:13点
2位 月城:37点
3位 ひまわり:58点
4位 さくら:76点
5位 梅田:94点
6位 太陽:123点
……………
いやいや、光くんさっきの威勢はどこに行ったの!?
さっきから思いっきりハズしてばっかりじゃん!!
1ターンで最大180点が取れることを考えれば、まだみんなに勝機はある。
よっぽどダーツが上手な人の場合ならね…
「あうう、また外れちゃいました…」
「ドンマイ、俺も似たようなものだし、気にしない気にしない!」
梅田さんが2本外し、当たったのも6点という何とも悲しくなる結果だった。
そして、あたしのターンが回ってきた。
この3投にすべてがかかっていると言っても過言ではないのだ。
緊張して手が震える。でも、深呼吸をして、無理矢理にでも落ち着かせる。
ダーツを持つ手に力を込めて、的をじっと見つめる。
真奈美先輩のスコアを見てしまうと、ちょっと絶望的に思えてくるけど、それでもあきらめずに頑張らなきゃ。
ダーツを投げる。
「よし!」
ダーツは的の20ポイントのエリアに刺さった。まだ、何とかなる。
あと2本、しっかりと狙って投げよう。
2本目を投げる。結果は…それほど悪くない。17ポイントのエリアに刺さった。
残りの得点は、21点。
このターンに投げれるのは、次が最後だ。
おそらく真奈美先輩は次のターンで決めるだろう。
なんとかしてここで勝たないといけない。
このターンで勝つには、7ポイントのエリア上にある、トリプルの中に決めないといけない。
かなり狭いゾーンだ。
でも、ここで外すわけにはいかない!!
そして、最後の1本を投げる。
結果は………
19のトリプル。7のトリプルの、ほんの少し右下だ。
得点表に、Burstの文字が現れる。
これで、あたしの持ち点はこのターンを開始したときの点数に戻り、次の人へと交代となった。
結局あの後、次のターンで真奈美先輩が13点を華麗に決めて決着となった。
その時点での最下位は、光くんだ。
「ねえねえ太陽君、約束、ちゃーんと覚えてる?」
ニマニマした顔で、真奈美先輩が光くんに詰め寄る。
ああ、このままじゃ光くんが蹂躙されちゃう…
「…ああ、もちろん!男に二言はねぇ!」
…それを言うなら、女に二言はない、じゃないかな?
あたしの頭は、なんだか一周回って冷静になっていた。
だってもう、あたしたちには、光くんを守る手段が残されていないんだから…
「じゃあ、太陽君に命令します!」
……………
「私の今日の服装、どうかな?正直に答えてくれない?」
え?
流石に真奈美先輩もここで襲わない程度には常識があったようです。
…え?襲われる展開がみたい?そんなのあるなら作者が見てみたいです。
でも、せっかくのいいシチュエーションなので、もしかしたら時間を見つけてR18版に上げるかも?
次回は24日23時に投稿したいと思っています。
面白い、ドキドキした、R18版はよ!などあれば、高評価やブックマーク、いいねなんかもお願いします。感想とかレビューとかも書いていただいてもいいんですよ?
あなたのワンクリックが作者のモチベーションアップにつながります!
R18版URL↓※性的な描写を含みます
https://novel18.syosetu.com/n8336id/
それからツイッター始めました!
https://twitter.com/carlos101512345




