2.入学式
初投稿です。不定期更新になると思いますがお付き合いいただければ幸いです。
修羅場になりそうなのに、絶妙に修羅場にならないような絶妙な作品を目指していきたいと思います。最初は明るめにしてますが、後々はハラハラ展開に持っていきたいと思ってます(願望)
俺の名は太陽 光。ついに明日から高校生だ。
俺は初めての高校生活に期待と緊張が入り交じり、何とか気持ちの整理をしようと、夜も遅いというのに友人に電話をかけていた。
「いよいよ明日から高校生だぜ!」
「はいはい、その話は何回も聞いたよ」
「なんだよ、テンション低いやつだな。もっとアゲアゲで行こうぜ?」
「こっちは光と違って眠いんだよ」
「明日クラスメイトに可愛い子がいたらと思うと、眠気なんて吹き飛んじまったよ」
「光は相変わらずだな。俺は明日に備えてもう寝たいから、光も早く寝とけよ。夢の中で可愛いクラスメイトとイチャイチャ出来ると思えば寝たくなるだろ?」
「ははっ!確かに」
「それじゃお疲れさん。また明日なー」
「おう、また明日」
その後、すべての準備に抜かりがないことを確認した俺は、後は寝るだけだとベッドに潜り込む。しかし、興奮が収まらないためか、俺はなかなか寝付けず、何度もベッドの上で寝返りを打っていた。
「はぁ…寝られないなぁ。明日は入学式。どんな人がいるか、楽しみだなぁ」
やがて俺は、疲れ果てて寝入っていった。明日の入学式で新しいスタートを切るために、しっかりと睡眠をとっておかないとな。
「……………きて…」
「起きて!お兄ちゃん!遅刻するよ!」
俺はゆっくりと目を開けた。暗い部屋の中、ぼんやりと妹の声が聞こえた。
目の前にいるのは太陽 陽菜。俺の妹で、今年度で中学2年生になる。
「ああ、陽菜か。もう少し寝かせてくれないか?」
俺はそれだけ言うと二度寝をすることにした。
しかし、妹は俺を起こすために執拗に働きかけてきた。枕を取り上げられたり、布団を引っ張られたり、音楽を大音量で流されたり、本当に色々な手段を使ってきた。
それでも、俺はなかなか起き上がることができなかった。
陽菜が遅刻を心配しているのは分かるが、もう少し時間をくれ。
しばらくして、重たい瞼を根性でこじ開けて時計を確認する。もうそろそろ出発の時間が迫っていた。
「やべっ!!」
急いで起き上がり、洗顔や歯磨きなどの準備を済ませた。
「ありがとう、陽菜。おかげで間に合いそうだ。」
「どういたしまして、お兄ちゃん」
俺は苦労を掛けて起こしてくれた妹に感謝の言葉を一方的に投げかけつつ、玄関へとトップスピードで走り抜けた。
しかし、何か違和感があるな。
陽菜が俺を起こすために俺の部屋に来たことか?
確かに今日は入学式で、遅刻するわけにはいかない日だ。
しかし、陽菜が思春期に入ってからは俺の部屋には上がってきたことはなかったはずだ。
「いってらっしゃい!」
何かが変だった。部屋の雰囲気も何か違ったような気がするし、陽菜も普段と違う様子だった。でも、今は時間がない。俺は入学式に向けて急いで出かけることにした。
「おい、光!」
駅前の人混みの中から聞こえてくる俺を呼ぶ声が聞こえた。そちらを向くと、昨日電話していた小学校からの親友、月城 優一がこちらに向かって手を振っていた。
俺と優一は、同じ学校に進学するほど仲がいい、いわゆるマブダチだ。
「おう、優一!今日から高校生だな!」と俺は笑いながら声をかけた。
優一は、いつものようにニコニコとした笑顔で俺に近づいてきた。
「光は高校生になっても相変わらず元気そうだな」
「そりゃ元気が俺の一番の取柄だからな!…まあ、昨日は考え事しすぎてなかなか寝付けなかったけど」
「もう俺らも高校生になったんだもんなぁ。感慨深いよな…」
そうやって会話しつつも俺たちは電車を待っていると、すぐに遠くから車輪の響く音が聞こえ始めた。
中学までは自転車通学だったから、電車通学は初めてなんだよな。
話には聞いていたけど、やっぱり人が多いな。
毎日これに乗らなきゃいけないと思うと、確かにうんざりするな。
やがて目的の駅に電車がたどり着くと、俺たちは降り口に向かって歩みを進めた。
駅を出て、これから毎日のように見ることになるだろう風景を心に刻みつつも、通学路を歩き続けた。
同じ高校の生徒だろう。周りに制服を着た人たちが増えてきた。もしかしたらこの中に同じクラスになる人がいるのかもしれない。そう考えるとワクワクしてくる。
「クラス分け楽しみだな。今回も優一と同じクラスかもな」
「今までは偶然にもずっと一緒のクラスだったからな」
今まで運が良かっただけなのか、それとも先生方が気を利かせてくれていたからなのかはわからないが、今までずっと一緒だったんだ。急に離れるかもしれないと思うと少し寂しくなる。
「きっと今回も大丈夫だろ。それにもしクラスが違ったとしてもそれで縁が切れるわけでもないしな」
考えてもどうすることもできない問題については頭から追い出し、俺は学校へと向かうのだった。
やがて、学校の門が見えてきた。先輩たちが生徒たちを迎え入れる姿が、俺たちを待ち受けていた。
こうしてみると色々な人がいるな。特に目立つのは金髪の美女だ。背が高くて、体はほっそりとスレンダーなのにグラマラスな物をお持ちだ。ぜひああいった先輩とお知り合いになりたいもんだ。
「あれ?」
一瞬目が合ったような気がした。
もしかしたら俺の近くに知り合いでもいるのかもしれないな…
それ以上気にすることはなく、俺たちは人込みをかき分けてクラス分けの結果を確認する。
「よっしゃ!おんなじクラスだ!!」
俺たちの名前を確認し、ほっと胸をなでおろした。
周りの人たちも様々な感情を浮かべながらクラスを確認した後、後ろの邪魔にならないようにとそれぞれのクラスごとに分かれていった。俺たちもそれに倣って自分の教室へと向かう。
いよいよ教室の前までたどり着いた。
コミュニケーションは初対面の印象で大体決まるもんだ。だからこそ俺らしく元気に挨拶しないとな。
「おはよう!みんなこれからよろしく!!」
教室のドアを開けた瞬間、みんながこっちを向いてきて少しだけ怖かったが、それに負けないように元気に挨拶できたぞ!
ん?黒板に何やら書いてある。どうやらもう少しすると担任の先生が来て、体育館へと案内されるようだ。おそらくそこで入学式が行われるのだろう。
俺は自分の席を確認する。残念ながら優一とは少し離れてしまっているようだ。
「じゃあ近くの席の人に挨拶してくるわ」
「おう。また後でな」
そんなやり取りをしたあと、俺は優一から離れて自らの席へと向かう。
「おはよう!隣の席の人でいいかな?俺の名前は太陽 光。これからよろしく!」
「あ、はい。さくら 咲です。こちらこそよろしくお願いします」
物腰柔らかで優しい清楚系の女の子だ。背が低めで髪は肩くらいまである黒髪だ。目は大きくてまつ毛も長く、顔立ちが整っている。彼女の左手首には白い腕時計がついている。
緊張してるのかな?話している途中に何度か目を逸らされた…
男としてはちょっとへこむけど、こういうのはさっさと打ち解けるに限るな。
そう思い俺は、そのまま彼女に話しかけることにした。
その後、俺達はお互いの趣味や好きなことなどについて話し合った。
始めのうちは手元を見たり、髪を触ったりと、何かに気を取られている様子だったが、話していくうちに緊張が解けたのか自然体で笑えるようになっていった。
そうこうしているうちに、担任の先生と思える人が教室に入ってきた。どうやらこれからすぐ移動して入学式に移るようだ。
そして、いよいよ入学式が始まった。校長先生のスピーチや、先輩たちの歌声が響き渡る中、俺たちは緊張しながらも、新たなスタートを切った。これからの学校生活が、楽しみだ。
小説を書くのって自分が思っていた以上に大変ですね…
想像以上に物語が進みませんでした。
面白いと思った方はぜひ評価をお願いします。モチベーションにつながりますので。