19.恋愛相談
今回は優一視点です。
優一視点
「優一くん、ちょっと相談したいことがあるんだけど、今いいかな?」
「うん、いいよ。どうしたの?」
休み時間、可愛らしい天使が俺に話しかけてきた。
ひまわりさんから相談なんてなんだろう?
今日、光は日直で、先生の手伝いをしているのでこの場にはいない。
いつも俺と話すときは近くに光がいたので、初めて二人きりで話すこととなる。
心臓がドキドキして落ち着かない。
「えっと、多分気がついてると思うんだけど、あたし光くんのことが好きなんだよね。それで恋愛相談に乗ってもらいたいの!」
さっきまでドキドキしていた心臓が、今度は止まったのかと思った。
手や足の先が段々と冷たくなっていくような感覚に、俺は吐き気を感じる。
はっきり言って俺はひまわりさんのことが好きだ。
だが、ひまわりさんが俺ではなく、光に惹かれているのはすぐに分かった。
だから、この気持ちは、ずっと隠していようと思っている。
俺と彼女は結ばれることはない。
そう、分かっていたことだ。
なのに、どうして…
ひまわりさんの口から、光のことが好きという言葉が聞こえただけで、俺の心はこんなにも傷ついているんだろう。
「そっか、光のことが好きなんだね」
俺は笑顔で返事をするふりをして、ひまわりさんの話を聞き続ける。
でも、心の中では彼女の言葉が繰り返し響いている。
『光くんのことが好き』
そう、もう一度言われてしまえば、俺の心は決定的なダメージを受けてしまう。
だが、ひまわりさんが悩んでいる姿を見ると、それ以上に彼女のことを支えたいと思う気持ちが湧いてくる。
「光とはこれからどうしたいの?」
俺は、落ち着いた声で聞いた。
「あのね、光くんの好きな人とか、どういう人がタイプとかって聞いたことないかなって…」
ひまわりさんは、小さな声でつぶやくように言った。
「光の好みのタイプか…んー、聞いたことないなぁ」
俺は、嘘をついた。
本当は知っている。
あいつは、積極的な女の子を好きになる傾向がある。
だから、ひまわりさんとさくらさんどちらにも好意を向けているはずだ。
もし、光がひまわりさんだけを大事にするとわかっているなら、こっちも応援しようと思えるかもしれないが、正直、そんな優柔不断なヤツにひまわりさんを渡したくはない。
だが、彼女の悲しそうな表情を見ると、本当に何もできない自分に悔しさを感じる。
『ひまわりさんが好き』
そんな気持ちを抱いた俺には、今のひまわりさんの悩みに対してどうすることもできなかった。
その日の夜、光から電話がかかってきた。
「よう、優一。今ちょっと時間いいか?」
「どうしたんだ?時間ならあるぞ」
「おお、そりゃありがたい!実はな…」
光の話したことは、俺が危惧していたことそのものだった。
「なんとなくだけど、咲と陽子の二人から好意を向けられているような気がしてな?」
「まあ、周りから見てもそうだと思うけど、それがどうした?」
ひまわりさんについては今日相談を受けたばかりのこともあり、俺は冷静さを保つので精一杯だった。
「いや、二人が向けている好意ってなんなのかなってふと思ってさ」
「どういうことだ?」
「えーっと、恋愛感情なのか、それとも性欲なのか、どっちなんだろうって話だ」
なるほど、確かに女は男より性欲が強い。だから俺たち男からすると愛なのか性欲なのかわからないことがある。
「まあ、そうだな。その辺はよくわからんよな」
俺は漠然とした返事をした。
少なくともひまわりさんの方は本気で好きなのは知っているが、それを伝えて光が本気になってしまっても困る。
「そうだろう?だから咲と陽子との関係も、どういうものかわからなくてさ」
「ああ、それはモヤっとするな」
光の言葉には、何か複雑な感情が含まれているように感じた。
だが、それ以上に複雑なのは俺のほうだ。
そんなことを思っていることは噯にも出さずに、俺は光の相談相手を勤め上げるのだった。
優一辛すぎんか…
今回で第一章の最後となります。
次回からはついに新章に突入!
今まで出番がなかった他のヒロインたちも出てくる予定です。
お楽しみに!
次回は明日23時に投稿したいと思っています。
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