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転校生って漫画の世界だけだと思った

初投稿です!

文章に拙いところがあるかと思いますが、温かな目で見守ってください。

 




「今度向かいの伊藤さん家に男の子がくるんですって。」


「・・・はい?」



 今日のおやつのせんべいを頬張ろうとしていた私こと明莉(あかり)は、口をおおっ開きにしたままフリーズした。母はいつも前置きなく突然話題を出すので、全く内容が把握できない。


 道路を挟んで向かいに住んでいる伊藤さん夫婦は確かすでに四十を越えていたはずだが、男の子が()()とはこれ如何に。最近では高齢出産も増えていると聞くし、あそこの夫婦は今まで子供もいなかったため、妊娠したとしてもそこまで不思議ではないのだが、男の子がくる、とは一体どういうことか。そんな娘の困惑を他所に、何食わぬ顔で母は続けた。



「年はあんたと同じらしいから、仲良くしてあげな。いきなりこんなとこに来たんじゃ不安だろうからね。」



 それだけ言って皿洗いを再開する母は、間抜けな顔のまま固まった娘に何の興味も無いらしかった。とりあえず訳の分からないことだらけだったため、せんべいは一度諦め、母が洗い物を続けるキッチンのカウンターへと近づいた。洗い物をしている際は水音で声がかき消されてしまうため、こうしないと無視されてしまうのだ。カウンターに両肘をつき、身を乗り出して心持ち大きな声を出す。



「ねぇ、男の子が()()って何よ。親戚の子が遊びに来るとか?」



 自分で言いながらも、違うんだろうな、と思った。今は春休み中だが、それもあと二日でおしまいだ。明後日から新学期が始まり、明莉は小学4年生になる。それに『仲良くしてあげな』というからには、長期滞在が決まっているのだろう。どう考えてもおかしい。



「うーん、親戚の子なんだけど、遊びにくるとはちょっと違くて。なんか色々あって親御さんと一緒に暮らせなくなるから、しばらくこっちに住むんだってさ。新学期からこっちの学校に通うらしいから、あんた面倒見てあげなさいよ。登校班いっしょでしょ。」


「はい?」


「明日こっちに着くから。来たらその子連れて挨拶に来るって言ってたわ。何時くらいになるかはわかんないけど、いつでも人に会える格好しといてよね。そろそろ学校も始まるんだから、いつまでもぐーたらしてないの。」



 そう言って手元から視線を上げ、こちらをじとっとした目で見てくる母から逃げるため、りょーかい、とつぶやいてそそくさとテーブルへ戻った。どうせ一日中家でぐうたら過ごすからいいやと放置していた寝癖を手櫛で梳かしながら、ようやくせんべいをかじった。


 正直情報が多すぎて頭が追いつかないのだが、どうやら近所に男の子が越してくるらしい。私の住む町は河岸段丘で、周りを山に囲まれた田舎町である。少子高齢化を体現したような町であり、同年代の子供は非常に少ない。よってこんな町に越してくる変わり者はほとんどおらず、転校生が来る、などとんでもないビックニュースだ。それなのに春休み前にそんな話題は1ミリもなく、春休み中に友達と遊んだ時もそんな話題は全く出なかったため、おそらくその子がくることになったのは急なことだったのだろう。


 せんべいをお茶で流し込みながら、だんだんと状況を理解し始め、明日のことを思いそわそわするのだった。




頑張って連載していこうと思いますので、応援よろしくお願いします!

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