クエスト1 ハーレム候補を見つけ出せ 1人目 その7
メロス:主人公の少年、邪神が宿っている。職業は『奴隷』。
邪神 :メロスに憑りついている。現代知識となろうに詳しい。ハーレムを作りたい。土下座と三下ムーブは得意。
グリ :王都でスリをやっている孤児の子供。冒険者になってお金を稼ぎたい。
ストア:王都でスラムの子供たちの面倒を見ている少女。順調に好感度を稼げているはず(邪神視点)。
内務卿:王都の内政を取り仕切る不気味な老人。子供が好き(意味深)。
「あの内務卿はよくあたしたちの家にくるのよ。」
内務卿が不気味な笑みを残して去るとストアが掻い摘んで状況を話してくれた。何でも、もっと良い場所に家を用意してやろうとか、苦労しているようだから豪華な食事を運ばせようとか。理由を聞けば子供が好きだからと、それしか言わない。どう考えても誘い込んだ子供たちがろくな目に合うとは思えないその誘いをストアたちは何とか断り続けている。あちらも外聞があるせいか強引な手には出てこないがそれがいつまでもつか。その焦りもあってグリは冒険者になりもっと金を稼いごうとしているらしい。
そんな話を聞いて邪神はちょっと自分が予習した分野に無い展開に返答に困っている。とりあえず金をめぐんでやればスラムのガキどもなんてころっといくだろうぐらいにしか考えていなかった浅はかな邪神にはこれは難易度が高すぎた。
(あの、邪神様。とりあえずお暇した方が。)
「うむ、そうだなメロスよ。俺はぬるいギャルゲーしかやってこなかったから、これはちょっとジャンルが違うな。」
メロスの提案に邪神はうなずき。とりあえずグリとこれからの約束をして去ることにした。ところがまたもやストアたちの家に来訪者が現れる。
「おうおう、相変わらずボロッちい家だな。俺たちが壊して建て替えてやろうか。」「いいっすね、兄貴。こいつらもこんなしみったれた家住みたくないでしょ。」「違げえねえや。」
スラムで見かける陰湿な大人とは違う、活気があるがそれが暴力的な方向に向いている声が家の中にズカズカと入ってくる。
「やめてよ。僕たちの家なんだよ。」「ごめんなさい、ごめんなさい。」「うえーん、ストアねーちゃーん。」
その荒くれ者たちは子供たちを連れていた。どうやらこの家で暮らす子供は他にもいたらしい。
「あんたたち、家の子たちに何してるのよ。」
ストアが泣いている子供たちを見て男たちに激昂する。そんなストアの様子に、しかし、男たちはひるむ様子はない。よく見れば男たちは冒険者ギルドでメロスに絡んできた連中だ。
「おいおい、俺たちはこのガキどもが森に入ろうとしてたから優しく連れ帰ってやっただけだぜ。」「そうだよ、感謝こそすれその態度な無いんじゃないのか。」「おっ、奴隷の坊主もいるじゃねえか。お前もこのあばら家に厄介になるのか。それじゃあ、俺たちがまとめて面倒見てやるぜ。」
口々に好き勝手を言っていた冒険者の一人がメロスに絡む。いっそこういうわかりやすい輩の方が対応しやすい。だが、ここで不用意に争うとスラムの子供たちに恨みが向いて後々厄介なことになるかもしれない。思案する邪神をよそに話が進んでいく。
「ストアもこの数のガキどもを面倒見るのは大変だろう。どこから金を稼いでくるのか知らないが、大方その体を使って効率の良い稼ぎをしてるんだろう。俺たちが面倒見てやるから、そう意地を張るんじゃねえよお。」
何やら邪神にとって聞き捨てならない話題が出た。おい、その話をもっと詳しく。そう要求したかったが新たな闖入者によってその願いは遮られた。
「おうおう、お前ら。あんまりいじめてやるなよ。かわいそうじゃねえか。なあ。」
最後にこれ見よがしにこのガラの悪い連中のまとめ役、ジョルトが現れたのだ。