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クエスト1 ハーレム候補を見つけ出せ 1人目 その6

メロス:主人公の少年、邪神が宿っている。職業は『奴隷』。

邪神 :メロスに憑りついている。現代知識となろうに詳しい。ハーレムを作りたい。土下座と三下ムーブは得意。

グリ :王都でスリをやっている孤児の子供。冒険者になってお金を稼ぎたい。

ストア:王都でスラムの子供たちの面倒を見ている少女。順調に好感度を稼げているはず(邪神視点)。

ストアが邪神の軽率な言葉を強くとがめていると、新たな客が外からやって来た。

「きっしっし、どうやら取り込み中のご様子。しかし、わたくしめも後回しにできぬ用事故、お邪魔しますよ。」

スラムのあばら家に似つかわしくない上等な服を着た老人だ。老人はしわがれた顔に気味の悪い笑顔を貼り付けてスラムの子供たちを見る。1人ずつ子供の顔を見ていき、そして先ほどまで泣いていた小さな子供のところで目を止める。

「きっしっし、この飴を差し上げよう、きっしっし、これ一つで子供はすぐに泣かなくなる。」

老人が差し出す毒々しい色の飴はどう見ても別の意味で子供が泣かなくなるようにしか見えず、差し出された小さな子供は恐怖で固まった。

「きっしっし、飴はお好きではないらしい、残念残念。」

突然の気味の悪い老人の来訪に固まっていたストアが子供たちをかばうように前に出て言う。

「コクナー内務卿様、このような汚い場所にどういったご用件でしょうか。立ち退きの件でしたら姫殿下のお口添えで撤回されたはずですが。」

敵意を押し隠すように丁寧な言葉でストアが老人に話す。どうやらこの老人は王都でもかなり高い役職についているようだ。内務卿といったら国の内政の一切を取り仕切る立場のはず、そんなお偉いさんがなぜ一人でこんな場所に。

「きっしっし、わたくしめはただただ子供が好きなだけで、きっしっし、そう邪険にされますと寂しいですな。」

その言葉にさらに子供たちが怯える。好きというのは果たして一般的な大人が子供に向けるときの好きの意味で合っているのだろうか。内務卿の顔からはもっとおぞましい意味しか想像できない。それはストアも同様らしく押し隠していた敵意がむき出しになる。これはマズい。

「まあまあまあまあまあまあまあ、ここはボクの顔に免じて。ささ、内務卿閣下、本日はこんな人も住めないようなあばら家にどういった用向きで。ほら、ここは本当に臭いでしょう、ご用事の方をささっとお片付けになった方がよろしいのではと、ボクは愚考する次第で。」

邪神が内務卿の機嫌を取り、争いを未然に防ごうとする。言葉の綾でストアたちの家をディスってしまったがそこは目をつぶってくれることを祈るしか無い。ストアの目が剣呑なものになっているが今は気付かないふりをする。

「きっしっし、わたくしめはここの臭いが好きでして、癖になるというか。いつまでも吸っていたいのですが、しかしわたくしめはお邪魔なようだ、本題に移りましょう。実は占いでこちらにわたくしめの財布があると。」

「ち、違う。俺は拾っただけだ。この財布はスったんじゃない。」

内務卿の言葉に慌ててグリが財布を放り出す。さっきまで今日の成果と自慢していた金貨の詰まった財布は一転して厄介物に変わった。その財布を拾って内務卿は中を検める。

「きっしっし、どうやら中身は抜かれていない様子、実に感心なことではないですか。ここは正直な子供たちのご褒美に三割ほどあげましょう。」

「いいから、出て行ってください。あたしたちに施しはいりません。」

内務卿の差し出す金貨は何かの赤黒い汚れが付いている。恐らく触れば呪いか病気の類がついてくることは間違いないだろう。あそこから少しばかり引き抜こうなどという考えが如何に愚かだったかがわかる。内務卿は思惑が外れて残念そうな顔をすると差し出した手を引っ込める。

「きっしっし、それではお邪魔なようですので、またの機会に。」

きっと別れの挨拶の定番なのだろうが、またこのおぞましい老人が来ることを想像して子供たちがぶるりと震える。それにまた気味の悪い笑い顔を返し内務卿は去っていった。

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