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クエスト1 ハーレム候補を見つけ出せ 1人目 その4

メロス:主人公の少年、邪神が宿っている。職業は『奴隷』。

邪神 :メロスに憑りついている。現代知識となろうに詳しい。ハーレムを作りたい。土下座と三下ムーブは得意。

「おい、兄ちゃん。」

邪神がギルドを出るとさっきのスリの子供が声をかけてくる。

「兄ちゃん、ホントに『奴隷』なのか。『奴隷』でも冒険者になれるのか。」

子供が興味津々といった様子で近づいてくるのを、邪神は忘れていたとばかりに捕まえる。

「クソガキ、丁度いいところに来たな。お前美人の姉ちゃんいるだろう。俺はそう言うことには鼻が利くんだ。紹介しろ、もしくは下着を取ってこい。」

「おい、止めろよ兄ちゃん。オイラはクソガキじゃねぇ、グリっていう立派な名前があるんだ。」

スリの子供、グリは邪神に羽交い絞めにされ何とか抜け出そうとするが、びくともしない。そうやって大通りの真ん中で騒いでいると、鋭い声とともに二人の前に少女が現れた。

「こらっ、グリ。あなた、また他人様の財布に手を付けたんですって。何度も言っているでしょ、目をつけられたら、どんなひどい目にあうか。」

「げぇ、ストア姉ちゃん。」

グリが羽交い絞めになったまま、まずい人間に見つかったと、声を上げる。ストアと呼ばれた少女は、発育の盛んな胸の前で腕組みをすると、切れ長の目尻をさらに吊り上げてグリに説教を始めた。2つ3つ年上のちょうど大人になりかけの少女が放つ魅力に邪神は圧倒されている。

「グリ、この前も言ったでしょ。この辺を縄張りにしている盗賊団に目を付けられたらどうるの。もしかしたら、利き腕の腱を切られちゃうのよ。それでサンじぃは、」

邪神は小言を続けるストアを凝視し、特に発達した部位を二度確認すると、羽交い絞めにしたままのグリに小声で話しかけた。

「おい、あの素晴らしいものをお持ちの方はお前の姉か?もしうまいこと紹介してくれたら、さっきの件はチャラにしてやってもいいぞ。」

「ストア姉ちゃんはホントの姉ちゃんじゃねぇけど、オレたち孤児の面倒をみてくれる姉ちゃんだ。」

その返事で大体の事情を察した邪神は、グリを丁寧に地面に下ろし、ついでに服に着いた泥も払ってやる。若干右斜め前を向き、相手から鼻が高く見えるように姿勢を調節してから、ストアに話しかけた。

「失礼、お嬢さん。ボクはこちらのグリ坊ちゃんと、ついさっきそこでたまたま偶然知り合いましてね、冒険者ギルドまで案内をしてもらったところで、いやぁ実によくできた坊ちゃんだ。ボクはその正直で真摯な性根に心を打たれましてね、彼が冒険者になりたいというので、それならボクの下で修業すればいいと話していたところなんですよ。」

邪神は先ほどまでクソガキ呼ばわりしていた同じ口で薄ら寒くなるようなことを言い出す。そんな邪神を胡散臭げに見ていたグリだったが、冒険者の話になってから目を輝かすようにして邪神の嘘八百に同意し始めた。

「そおなんだよ、ストア姉ちゃん。オレ、ココロをアラタメヨウって道行く人に親切にしていたら、たまたまこのココロの広いシンシに出会ってさ、これからはマットウに働くって決めたんだ。」

先ほどまでのいがみ合っている様子とは随分と異なる説明にストアは腑に落ちない顔をしつつ、しかし心配していた事態には陥っていないことに安心した様子で邪神にお礼を言った。

「ありがとうございます。グリは手癖は悪いですけど本当はいい子なんです。この子のことよろしくお願いします。」

ストアはそう言って頭を下げた。だが邪神はその胸元に目は釘付けにしてほとんど聞いていない。孤児の世話をしているというストアの服装はみすぼらしいというほどではないが幾度も手直しした跡があり、特に発育が著しい部分は直しが間に合わない様子ではち切れんばかりに押し上げられている。頭を下げた姿勢だと谷間だけでなく襟元の普段隠れている日焼けの境目までが見え、邪神は思わず目を伸ばし覗き込んだ。

(邪神様、僕子供の世話は得意なんですよ。家では弟と妹の世話をよくしてましたから。邪神様?邪神様?)

「ふう、実はボク、子供が大好きで良ければこれからのことをおうちでお話しできないかと。いや何せ坊ちゃんの将来がかかってますから。」

邪神は微妙に断りづらいことを言って、ストアの家に行こうとする。女の子の家の場所を調べるのはギャルゲー攻略の基本。チャンスを逃してはいけないのだ。

「あの、でも、あたしたちの家はスラムにあるので。とても危険ですから。」

「なに、ボクも冒険者として危険と隣り合う生活をする身。むしろ望むところですよ。なんでしたらお嬢さん方を危険にさらす不逞の輩を成敗しても構わないんですよ。」

ストアは断りたい様子だが邪神の強引さに押され気味だ。

「大丈夫だよ、ストア姉ちゃん。こいつ、じゃなくてこのシンシはオイラが撒こうとしたのに後をつけられちゃったんだから。」

どうやらグリはスリを生業にしているだけあって人を撒く隠密技術に関しては自信があるらしい、そのせいかギルドまで後をつけてきたメロスに対して評価が高い。グリの後押しもあったストアは渋々邪神を家へと招待することにした。

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