クエスト2 ハーレム候補たちを口説け 2人目 その3
メロス :主人公の少年、邪神が宿っている。職業は『奴隷』。
邪神 :メロスに憑りついている。現代知識となろうに詳しい。ハーレムを作りたい。土下座と三下ムーブは得意。
ルート姫 :邪神を偶然に馬車で轢きかけたことで知り合う。王都の民に人気がある。脈あり(邪神視点)
内務卿 :王都の内政を取り仕切る不気味な老人。スラム街の子供に執着している。
スクート王子:石化した王の代行。生意気系プリンス。
新父派のセット国失敗した王子はうなだれながら帰城した。迎えた内務卿は送り出したときからさして表情は変わっていない。
「きっしっし、どうやらうまくいかなかったようでございますね。」
内務卿の言葉に思わずメロスは内務卿を睨む。だが当の王子は気にした風も無く疲れた体を椅子に預け、しばらく宙を見ていた。
何とか励まそうとメロスは王子に話しかけていたのだが、そのたびに視線を逸らす王子にメロスは最後は何も言えなくなり結局、黙り込んでしまった。
「きっしっし、さて、どうしますかな、王子殿下。」
その中で、さして必死さも見せずどこか他人事のように内務卿が王子に尋ねた。
「ああ、そうだったな。私にはもう何も浮かばん。」
王子は内務卿の言葉にはしっかりと答える。メロスはなんだか自分だけが王子から無視されているような気がして少しショックを受けた。
「お兄様、ここはわたくしが何とか、いたしますわ。」
「お前は何もしなくてよい。」
姫が思いつめた顔で提案するが、王子にすげなく断られる。まるで姫には何も期待していないような言い方がメロスは気になったが結局何も言えなかった。
王子の返事に姫の顔がますます思いつめたものに変わったことを気にしていたのはおそらくメロスだけだろう。
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メロスは依頼の終了を言い渡されその場で報酬を受け取ると宿に帰った。苦い結末だったが、元々はただの護衛任務のため無事に王子たちを城まで送り届けた段階で依頼としては成功している。そのため報酬を突き返すわけにもいかない。結局、重い報酬袋を片手に宿に辿り着いた。
「チュ、チュー。」
宿では銀ネズミがメロスを待っていた。
「ネズミ師匠、御土産ですよ。」
帰る途中で買ったチーズはずいぶん大きく銀ネズミの倍はありそうだが、そんなことは気にせず銀ネズミは黙々と齧っていく。そういえば、結局邪神様が言っていたチューとは何だったのだろう。
「チュー、チュー。」
瞬く間にチーズを食いつくした銀ネズミが膨れた腹をさすり満足げに仰向けになる。その様子を見て銀ネズミのお腹をさすりながらメロスは考え事をしていた。
あの時、自分にはもっと何かできなかったのか。
「チュー?」
銀ネズミが怪訝そうな顔でメロスを見上げる。銀ネズミの膨れたお腹はあの大司教にそっくりだった。銀ネズミのお腹をさする度にお腹の形が変形し銀ネズミが抗議するように鳴く。
メロスの頭に天啓が降りる。
「そっか、チューっていうのは、このことなんですね、邪神様。」
だが、まだ意識の表層まで戻ってきていない邪神はそれにこたえる答えることは無かった。
ふと、メロスは部屋の外に人の気配を感じた。
音を立てずに剣を取り扉の隣に態勢を低くして待ち構える。だが外にいる人間はなかなか動かない。このまま相手の動きを待つのもいいが相手に仲間がいた場合、宿に迷惑がかかる。相手の意図がわからない状態で仕掛けるのは危険だが仕方ないだろう。
メロスは扉を最小限だけ開けるとその隙間から剣を滑り込ませる。
「動くな。」
気配だけで位置を特定し相手の喉元に音もなく突きつけた剣先が動きを封じる。妙な動きをすればそのまま喉から延髄まで貫き一瞬で絶命させられる。その自信が相手にも伝わったのか、扉の前で待ち構えていた人物は微動だにできない。
「あ、あの、メロス様。」
だが、メロスが剣を突きつけていたのは姫だった。
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「すいません、つい。最近、誰かに監視されている気がして。」
「いえ、メロス様。突然押し掛けたわたくしが悪いのですから。」
取りあえず姫には部屋に入ってもらい、メロスは深々と頭を下げる。本来なら不敬罪で斬首も免れない真似をしたわけだが、姫は怒った風でもなくいつもの慈愛に満ちた態度で接してくる。
「そんなことよりメロス様。わたくし、お願いがあって参りました。これは内密にお願いしたいことなのでギルドを通すわけにはいかなくて申し訳ないのですが。」
つまりこの依頼を受けてもメロスのギルド内での評価が上がるわけではことを意味している。日々の依頼達成で将来より良い条件のクエストが回されることを約束してくれるギルド内での評価は長い目で見れば冒険者にとって金銭による報酬よりも重要度が高い。
「ええ、別に構いませんよ。姫様。」
しかし、特に悩むこともなくメロスはあっさりと姫の依頼を受けた。
「それじゃ、行きましょうか。」
メロスは姫の依頼内容を確認することなく立ち上がると姫を促す。
「あの、メロス様。依頼内容の方は、あの、ご確認にならなくて良いのですか?」
「ええ、だって、教会に行くのでしょう?さっ、行きましょう。」
姫が何をしたいのかわかりきっているという態度でメロスは先に宿を出た。




