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クエスト1 ハーレム候補を見つけ出せ 3人目 その1

メロス :主人公の少年、邪神が宿っている。職業は『奴隷』。王都に来て冒険者になった。

邪神  :ハーレムを作りたい。スラム街のストアに一目惚れ。王城のルート姫に一目惚れ。

ルート姫:王都の民に人気がある。確実に邪神メロスに惚れている(邪神視点)。

バーザン:王城に出入りする商人。派手で下品でデブ。この世界でリボルビング払いを発明している。

「あれは、絶対俺に気があるね。」

(はあ、そうなんですか。僕にはよくわからなかったですが。)

「だって、ボディータッチだぞ。いいか男の体に女が触るときは気がある証拠なんだ。つまりあの姫はもう俺たちのハーレムに入ったも同然だ。」

(はあ、そういえば街道で助けた女商人もよく僕の体を触ってきましたね。)

「あれは、ノーカンだ。」

馬車に揺られながら邪神がメロス相手に熱弁を振るっている。広い馬車の中では土を噛む車輪の音でそうそう小声の独り言など同乗者にも聞こえないだろう。対面に座るバーザンを気にせず邪神は好き勝手言っている。

「お前、なぜワシの馬車に乗っている。ワシの顔など知らないのではなかったか。」

王城での最後のやり取りを根に持っているのかバーザンは不機嫌顔で邪神を睨む。そんな険悪な空気にも邪神は軽薄な態度で平然と言い訳する。

「やだなー、バーザン様。俺とあなたの中じゃないですか。ほんの冗談ですよ、冗談。」

だが、当然のようにバーザンの機嫌は治らない。

「まあまあ、バーザン様。ご商談がうまくいかなかったとは言え、あの内務卿ならお話も通しやすいではないですか、ほら袖の下とか鼻薬とか。」

邪神の中ではあの気味の悪い老人は悪人認定され裏では汚職や背任で富を築いている事になっている。

「ふん、お前ごときに言われんでも、とっくに試しておるわ。だがあの内務卿、なかなかの食わせ者だ。わたくしめはそういった金銭は受け取れませぬ、とかぬかしおる。知っているか、あの内務卿はな王陛下を裏切った疑いがあるのだ。本来なら悪魔ごとき玉座の聖なる壁で阻めるはず、しかし不思議たことに王陛下が襲われた時は玉座はすんとも反応しなかった。実に興味深いであろう。」

商売がうまく行かないことが腹に据えかねているのか、その原因の1人である内務卿について本当か嘘かわからない噂がバーザンの口からスラスラと出る。

いたたまれなくなったメロスが邪神に真意を聞く。

(どうして、この人について行くんですか。もう王城への用事は終わったじゃないですか。)

「ばっか、いいか、既に次のハーレム要員をゲットするための作戦は始まっているのだ。」

(はあ、そうなんですか。でも相手の女の子なんてどこにもいないですよ?)

「いいか、次は獣人の女の子だ。しかも奴隷の。こういう札束でケツを拭いていそうな悪徳商人っていうのはな、ぜっったいに獣人の奴隷で商売してるんだ、間違いない。それをだな俺が優しく解放してまともな人間扱いしてやるとだな、コロッと惚れられるんだ。もう一生分の恩をそれだけで稼げるボーナスステージなんだ。なろうでは常識だぞお前。」

(そうなんですね。僕、知りませんでした。でも獣人ってすっごく強いのに奴隷になんてなるんですか?)

「そりゃお前、そこを知恵と勇気とエロで何とかするのが人間様ってもんだろう。俺は異世界の商人を信じてるからな。」

邪神が自信に満ちた声で言う。だが、その妄想はすぐに否定された。

「ワシの商会では奴隷など扱っておらんぞ。」

しっかりと邪神の小声が聞こえていたバーザンは不機嫌そうな声で釘を差したのだった。

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