第九十七話 兄からの誘い
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渚の話を聞き、瑞穂は黙っている。紫電の話を聞き、声が出ないといった様子だろう。
「てか、テレビ電話にしていい?兄ちゃん瑞穂の顔が見たいなぁ」
「絶対嫌」
「しゅん……小さい頃はお兄ちゃんのお嫁さんになりたいって言ってくれてたのに」
「切るよ?」
「ごめん」
渚の落ち込んだ声に瑞穂は呆れた。こんなシスコンだが、高校野球ファン以外の女子からも絶大な人気を誇り、SNS界ででバズりまくってるとは、何とも笑えてしまう。
「ま、とりあえず紫電君の謎が少しわかってスッキリした。ありがとう、兄さん」
瑞穂は電話越しに頭を下げた。
「瑞穂、改めて聞くけど」
また渚は真面目なトーンに戻った。
「西京でマネージャーするつもりはないか? 瑞穂の分析力なら、自信を持って監督に推薦できる」
「兄さん、改めて伝えるけど、ごめんなさい。私は守と一緒に甲子園を目指したいの」
渚の誘いを瑞穂は即答で断った。
「また振られちゃったな―― 守ちゃんは元気か? 男子に紛れて、すごい活躍しているみたいだけど」
「ええ。私の守は相変わらず元気よ。ただ、自分が敵わなかった皇帝をアッサリ倒した兄さんたちに驚いてたけど」
「はは……点差は離れたけど皇帝は強いからな。紫電たちがいなかったら、もっと僅差の試合だったよ」
――あくまで負けることはない、という事を含ませた言葉だろうか。西京の強さはこういうところにも出ていると、瑞穂は感じた。
「じゃあ、これならどうかな。瑞穂、しばらく甲子園を生で観戦しないか? 明来がより強くなるチャンスが、何か見つかるかもしれないよ」
「――観たいかも。私たちが目指す場所を感じたい」
思いがけない提案だったが、瑞穂は思うところがあるのか、兄に相談をすることにした。
「だけど、何泊もできるほどお金に余裕はない……かな」
「大丈夫、兄さんの部屋は個室だから! コッソリ夜中入ってもらえれば」
「絶対嫌」
「しゅん……」
このやり取り、何度目だろうか。
「ま、まぁそしたら贔屓にしてくれてる芸能事務所に相談してみるよ! 報酬として何枚か雑誌用に瑞穂のスナップをお願いするかもだけど」
「まぁ、仕方ないか。悪いけどお願いするね」
瑞穂は芸能界には全く興味ないが、自分のルックスにある程度の価値があることは分かっていた。写真撮影程度で何日も甲子園ツアーに行けるなら安いものだろう。
――明日あたり、監督に相談しなきゃな。私がもっと明来を強くしてみせる。
瑞穂は電話越しに、手を握りしめた。
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