第九十二話 カリスマコンビ
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攻守交代になり、ようやく我に帰った二人は、ようやくランチセットに手を伸ばした。
好みの味だったのか、先ほどまでのリアクション芸とは一変、映える今時女子の雰囲気でランチを楽しんだ。
――だが、世の中には空気を一変させ、その世界に引き込まれてしまう、そんなカリスマの様な素質を持つ者が存在する。
それも、この試合だけで二人もいる。
「入ったぁぁぁぁぁ!!」
実況も興奮を抑えきれないようだ。
「今度はレフトスタンド上段! 紫電君、二本目も完璧なホームランです!」
宮西は顔を上げることが出来ないようだ。あの太刀川でさえ呆然と立ち尽くしていた。
――光を浴びているのは紫電だけではなかった。
「カーブとストレートのコンビネーションが光る黒江君、皇帝トップバッター南崎君を二打席連続三振ですっ!」
あの粘り打ちが得意な南崎が、黒江のピッチングに手も足も出ていなかった。
「白川君のミットが一ミリも動きません! 百四十キロ台のストレートが面白いくらいに決まります!」
「カーブとストレート、球種はたったこの二種類しか使っていませんが、リリースや腕の振りが全く一緒です。そして構えた所に正確に投げ込まれるので、打つのは難しいですね」
解説者のレポートは続いた。
「体は小さいですが、体全体を使った理想的な投球フォームです。しっかり下半身を使って投げていて腕に余計な負荷がかかっていません。全国の少年野球の選手たちに、ぜひ参考にして欲しい完璧なフォームです」
黒江も最高レベルの評価を受け、スターダムの階段を駆け上がっていた。打っては二打数二安打、ピッチングでも皇帝打線を相手に三回をノーヒットで抑えていた。
――そして。
「ピッチャー宮西君に代わりまして、神崎君。五番ピッチャー神崎君」
五回表、バッター紫電の所で中島監督が動いた。五対ゼロ、ツーアウト。一塁ランナーには今日二本目のヒットを打った白川渚がいる。これ以上の失点は許されない。
「ここで来ました! 皇帝の至宝、神崎君です!」
「一年生で百五十キロを投げる、スーパールーキーですね。リトルとシニアでの実績は十二分。天才一年生同士の対決です」
「太刀川君がマウンドへ向かいます。今日チーム唯一のヒットを放ち、気を吐いている太刀川君ですが、どうにか流れを変えたいと考えているでしょう」
解説も実況も興奮を抑えられないようだ。確かに高校野球ファンなら感じるだろう。この対戦は、歴史的瞬間だという事を。
太刀川との確認が終わった神崎は、右腕を回し、そしてマウンドを慣らしていた。
その瞳には試合を諦めない、強い光が灯っていた。
五回表 西京学園 五対ゼロ 皇帝学院
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