第四十二話 ヲタは今のなかで
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よろしければ第一話から読んで頂けると、より楽しめると思います。ぜひご覧下さい!
「松本氏ー! ときめきを抱いたら進めたでござるー!」
「山神殿、その輝きを待ってたでござる」
守には二人が何を言っているかサッパリわからなかった。恐らくヲタ同士の電波発信だろう。
だが、素人の助っ人である松本がクリーンヒットを打ったのは事実だ。そのためベンチにいる全員が山神に質問攻めをした。
「山神! 松本にどんな助言をしたんだ!」
「山神っちー、ガチ頼むから教えてよー」
氷室と青山の質問に対して山神は、ネクストバッターサークルへ行く準備をしながら首を横に振る。
「この作戦は拙者たちにしか使えないでござる」
「なんでよ! 勝ちたいんだ、教えてよ山神」
守も必死になって山神に問いかけるが、山神は再度首を横に振る。
「だから無理なんでござる」
「なんでよ! ちょっと意味がわからないよ」
「千河氏、拙者は別に嫌がらせで言っている訳ではござらん。ただ……」
「ただ……?」
守一同は首を傾げる。
「ライブライブ! のとある曲のテンポを完全に把握しないと無理でござる」
「は?」
守一同は思考停止したのか、その場に立ち尽くしている。
「あのピッチャー、ストレートを投げるフォームがほんの少しだけテンポが変わり、それがライブライブ! の曲のテンポと見事に一致するでござる」
「だからその曲を完璧に脳内再生できる松本氏にストレートを打つタイミングを教えただけでござる」
意外な攻略法を見出したヲタ二人に感心しながらも、たしかに直ぐは無理だと守一同は諦めた。打席に入りながら聞き耳を立てていた兵藤も同様だった。
――スパッ
兵藤のバットをするりと避けたナックルボールがミットに収まる。松本は巨体を揺らしながら走り、二塁へ到達していた。
だが盗塁を気にする事なく、一色はナックルを投じ続けた。
――ギンッ!
何とかバットに当たった打球は、前進守備のセカンド方向に向かって行った。
流石に俊足の兵藤でもここまで守備位置を徹底されると厳しい。一塁に早期されアウトになった。しかしその間に松本はしっかり三塁へ進み、ツーアウト三塁となった。
この三塁にランナーがいるというのは大きい。なぜならナックルボールを投げるのがより大変だからだ。
南場キャッチャーの十文字はナックルを何とか体を張って捕球、ブロックしている。ただそれでも数球に一度は上手く捕球ができず、ミットや身体を弾いたりしている。
もしワイルドピッチになったら、その瞬間一点が入ることになる。
次のバッター不破ももちろん分かっている。同じキャッチャーとして、ワイルドピッチへの懸念は当然持つケースだ。その為彼はストレートに狙いを絞っていた。
――キィン!
乾いた打球音が響きわたる。
狙い通りのストレートをはじき返した不破の初球攻撃。打球は右中間方向へ飛んでいる。
「やった! 先制点だ!」
ベンチで守たちは喜んでいる。
――しかし、センター八城が決死のダイビングキャッチを試みた。
八城はグラブをはめた左腕を上に掲げた。グラブの中にボールは収まっていた。
「アウト! スリーアウト、チェンジ!」
「うおおおおおお! さすが南場のキャプテンだ!」
「普通とれねーぞ今の打球!!」
「キャー、八城くーん! カッコイイー!」
南場実業キャプテンのプレーに観客席のボルテージが一段と上がる。
「まだまだ一点は遠いな」
守はドリンクを飲み干し、マウンドへ向かっていった。
三回表 終了
明来 ゼロ対ゼロ 南場実業
今日もご覧頂きありがとうございました。
ごめん、ラ●ライブ好きすぎた。どーしても何かしらの形でパロりたくて我慢できなかった。
引き続き頑張っていきますので、是非また守たちの活躍を見に来てくださいね!
初めてご覧頂いた方は、宜しければ第一話からお読み頂けるとより楽しめます!
この作品が、少しでも皆様の楽しみになれますように。




