表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/249

第三十四話 フィッシュ

 前回の続きです!

 今回もよろしくお願いします♫


●初めての読者様●

 この度はアクセス頂きありがとうございます!

 少しでも楽しんで頂ける様、一生懸命書いております!


 よろしければ第一話から読んで頂けると、より楽しめると思います。ぜひご覧下さい!

 ベンチに戻る守は、確かな手応えを感じていた。

 今まで見たこともないバッターの反応が、守の出来を物語っていた。


 特にチェンジアップが上手く効いていて、相手バッターはストレートに振り遅れている。

 守の百二十キロ程度のストレートが十分通用していたのだ。


 いける……守は左手を強く握りしめた。


 ベンチに戻った明来ナインは、相手ピッチャーに視線を送る。

 先ほど絡んできた犬井が投球練習をしている。


「鎌瀬のエース、犬井さん……ストレートはMAX百四十キロを超え、鋭いスライダーに注意だったかな?」


 兵藤が瑞穂に確認をとっている。


「うん。ただコントロールは大雑把。ランナーがでるとさらに荒れるよ」


「了解、任せな」


 兵藤が静かにヘルメットを被り、準備を開始した。


 ――犬井の投球練習が終わり、兵藤は左打席に立った。

 犬井は大きく振りかぶり、鍛え上げた右腕から快速球を投げ込んだ。


 ――パキィン!


 だか速球に負けることなく、兵藤は初球からバットを振り抜いた。

 力強く引っ張った打球は一塁線を抜けて、兵藤は電光石火の様な速さで二塁に到達した。

 明来ベンチは大いに沸いている。早速得点のチャンスが訪れた。


 二番の不破はバントの構えをしている。

 犬井はランナーを目で牽制しながら、投球フォームに入った。


 ――その時、兵藤が走りだした!

 

 慌てて送球体勢になる鎌瀬キャッチャー。

 だが兵藤は走ったフリをしただけで、二塁に残っていた。


 兵藤は塁上で、度々盗塁のフリを行った。

 犬井はそれを警戒するあまり、ストライクゾーンから外れたボールばかり投じている。


「ボールフォア!」


 結局不破はフォアボールを選んで出塁した。完全に犬井の自滅だった。


「ど真ん中で良いから、思いっきりこい!」

 

 鎌瀬キャッチャーが犬井に喝を入れた。

 犬井は大きく息を吐き、ロジンパックを手に取った。どうやら少し落ち着いた様に見える。

 

 三番山神に対して犬井はコントロール重視の、甘いストレートを投じた。


 ――パキィン!


 甘い球を見逃す山神ではなかった。入れにきたストレートを完璧に叩き、右中間に長打を放った。

 兵藤が楽々ホームに生還し、明来は得点をあげた。


「この猛攻、兵藤君の揺さぶりが引き寄せましたね」


 上杉は独り言を呟きながら、生還した兵藤にハイタッチを行った。

 

 ――その一方で鎌瀬のキャッチャーは、たまらずタイムを取っていた。


「なぁ……あいつら本当に一年か? 俺の球を簡単に打ちまくってやがる」


 犬井が明らかに動揺している。

 明来の攻撃力は、彼の予想を遥かに超えていたのだろう。


「コントロールが甘かっただけだろ。ボールは走ってるぞ」


「ああ……」


 長時間のタイムは許されない為、直ぐ様キャッチャーはポジションに戻る。

 有効なタイムにはできなかった感覚を持ったまま彼は腰を下ろし、乾にサインを送った。


 ――その後も犬井は安定せず、制球に苦しんでいた。何とかスリーアウトを取るも、明来は初回だけで四点をあげていた。


「ざまぁみやがれ、フィッシュ野郎」


 この猛攻の火種となった兵藤が、守備に行く準備をしながら悪い顔をしていた。


「フィッシュ? なにそれ魚?」


 ドリンクを飲み干した守が尋ねた。


「ポーカーでいうカモって意味だよ。一年坊だと思って舐めてた犬井には、お似合いのニックネームだろ?」


「はは……怖いな兵藤は」


 兵藤はたびたびポーカーに例えて話をしてくる。


 彼がポーカーに何かあるのか守は知らないが、彼の勝負カンや戦略は素晴らしい。

 現に初回の猛攻も、兵藤の揺さぶりが犬井を大いに動揺させていた。


 敵じゃなくて良かったな……安堵の気持ちで守は投球練習を行った。


 投球練習が終わり、鎌瀬の四番を張る犬井が右打席に入ってきた。

 守を睨みつけているが、どこか気持ちの揺らぎを感じる。

 

 ……だから、私を舐めんじゃねぇ!

 守の気持ちが入ったツーシームはインコースに攻め込んでいった。


 ――ギンッ!


 犬井は初球からバットを振ったが、どん詰まりピッチャーゴロとなった。

 

「よし、フィッシュ打ち取ったり」


 守は誰にも聞こえない様な声で呟きながら打球を処理した。


 守の快投は続き、二回も三者凡退で打ち取り、鎌瀬に流れは引き寄せさせなかった。


 二回表 終了


 明来 四対ゼロ 鎌瀬

 今日もご覧頂きありがとうございました。


 引き続き頑張っていきますので、是非また守たちの活躍を見に来てくださいね!

 

 初めてご覧頂いた方は、宜しければ第一話からお読み頂けるとより楽しめます!

 

 この作品が、少しでも皆様の楽しみになれますように。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ