第二百四十七話 舐められたままじゃ終われない件
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守が投げた渾身のストレートで七番打者を三振に切り、明来のベンチ、守備陣の「ほぼ」全員が盛り上がる中、ただひとり東雲だけはグラブをただ静かに叩いていただけだった。
『言ってアイツらからバカ扱いされてるからねアンタ!!』
先程の守からの苦言が、彼自慢のプライドにボディブローを与え続けていた。
「この俺様をバカにしている……? 実質エースで四番、チームの最重要選手の俺だぞ……?」
東雲は高過ぎる自己評価をボソボソと呟きながら、ボンヤリと守備に就いていた。
「東雲! ワンナウト三塁!」
守が東雲にも声をかける。
「……あぁ」
東雲らしくない返しに守は首を傾げながらも、またロジンパックを手に取り息をふぅっと吐いた。
この場面で永愛ベンチが動いた。八番打者の所で、代打を起用した。背番号十八番、一年生の寺梅が右打席に立った。
「来たな。代打の切り札」
不破はバックに細かく指示を送った。内野はバックホームシフト、外野も前進守備で浅い犠牲フライも許さない守備体系である。
「さすが不破君、寺梅君はまだあまり試合に出していないのに完璧な指示ですね」
永愛の安藤監督は笑みをこぼした。
「ただ……データ通りに行かないのが野球であり、人間という生き物なんですけれどね」
――キィィィィン!!!
場内が一瞬静まり返った。寺梅の鋭い打球はサード氷室を抜けたが、僅かにファウルとなった。守の百三十キロストレートに、初球からタイミングが合っている様だ。
寺梅は雲空と同じ、永愛の特例選手だ。他の全選手が耐球メインで行なっている中、初球から好きにバッティングする事を許されている。
『何でこんなやつが超進学校に行ってんのかねぇ』
不破は少し疑問を抱いたが、すぐに目の前の勝負へ集中した。
「俺がバカに……俺が舐められてンのか……?」
東雲は、そんな筈はないと思いながらも、今日のやり取りを思い返していた。
キャッチャー愛亭の言葉は、謙遜と東雲へのリスペクトを込めながらも、あくまで全打席東雲と勝負をしていた。その確証として東雲専用の球種、スローボールを用意して対策をしているが、有効かもしれないこのボールを他打者には使わない。つまり長打になりやすいデメリットを踏まえても、東雲には絶対的に有効と判断しての配球であるといえる。
「は? ダッサ……キッショ」
東雲は己を俯瞰して、ようやく今の状況を理解し、恥じた。それと同時に、胸にメラメラと熱いものを感じる様になった。
「千河ァァ!!」
「気にせず腕振りやがれ!! 俺ンとこ打たせりゃ抑えてやる」
東雲を見て、守はフッと笑みをこぼし、セットポジションに入った。
――キィィィィン!!!!
寺梅は真芯で守のボールを捉えた。ライナー性の打球が守の左側へ向かってきた
「くそっ」
守はグラブを差し出すが打球に届かず、打球の方向へ振り返った。
次の瞬間、守の目がパッと見開いた。そして場内から大歓声が轟いていた。
セカンドの東雲がダイビングキャッチでこの打球を捕球した。スーパープレイだ。
「オラァッ!!!」
東雲はすぐに立ち上がり、サード氷室へ豪速球を投げた。
サードランナーは慌てて戻るが、三塁塁審の右手が高々と上がった。
「アウト!!!!」
東雲のスーパープレイで、明来はピンチを脱した。
六回裏 終了
明来 ゼロ対ニ 永愛
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