第百七十八話 一触即発な件
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「東雲……ぼこっ……こいつらは誰なんだ?」
守は腹部を左手で押さえながら、苦悶の表情を浮かべながら東雲に問いた。
「しゃべってねぇで呼吸でも整えやがれ。こいつらは同じシニアだった奴らだ」
「ということは彼らと友人なのか?」
「はぁ? 氷室オメェ何キモい事言ってやがる! こんなカス共とツルむ何て想像したくもねぇ!」
東雲は彼らとの関係性の深さを真っ向から否定した。
「このマジメちゃん達がお前のチームメイトかよ。ったく青臭せー奴らばっかじゃねーか! なぁ麻布」
赤坂は笑いながら麻布の方に顔を向けた。
「お前らみたいな奴らより、俺らと遊んだ方がこの女も楽しいだろって事で声掛けてやってたんだよ。分かったらさっさと消えろよ」
麻布は瑞穂の方へ腕を伸ばした。
東雲はそれを見逃さず、麻布の右腕を掴んだ。
「テメェ俺の女に指一本でも触れてみろ。殺すぞ」
麻布は掴まれた右腕をさっと引き離し、汚い物に触れてしまったかのように左手でパッパッと払っていた。
「凌牙……お前みてぇな女慣れしてねぇイカ臭野郎に女なんか出来るわけねぇだろ」
「テメェみたいなモブに湧いてくるバカ女とコイツは吸っている空気から違げーんだよ。高望みすんな三下が」
東雲と麻布がどんどん間合いを近づけている。
「童○が粋がるなよ凌牙、マジで殺すぞ」
「テメェこそ股の緩い女でマウント取ってねぇで、少しは野球の練習をしろやヘタクソ」
東雲と麻布の距離が一気に近まり、今にも殴り合いの喧嘩が始まってしまう雰囲気だった。
――その時だった。
大きな警報音が鳴り響いた。
パトカーのサイレン音だった。
「チッ! 良いところだったのに誰か通報しやがったな」
「麻布、置いていくぞ」
そう言い残し、赤坂は瞬時にその場からダッシュで離れていった。
「凌牙……次に会った時は覚えてろよ? 二度と俺に口答えできねーようにしてやるからな」
麻布は捨て台詞を吐きダッシュでその場から立ち去った。
「待てや、逃げるな!!」
東雲がすぐ様彼らを追いかけようとしたが、瑞穂が抱きつくように彼の追跡を静止させた。
「お願い!! 私は何もされていないから、これ以上何もしないで!!」
彼女は目に涙を浮かべながら、必死になって東雲に懇願した。
「……ちっ」
東雲は大きく息を吐き、その場に立ち止まった。彼の顔は若干赤くなっていた。
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